Evernoteでできること
皆様こんにちは、加藤と申します。本連載では、Evernote が提供している各種APIについて、概要や使い方を説明をしていく予定です。今回は第1回ということで、APIの話に入る前にEvernoteのサービスについて紹介したいと思います。
Evernoteは、テキストや画像、PDFなどのデータをクラウドで管理してくれるサービスです。フリーミアムなので、基本的には無料で使用可能です。有料のプレミアム版では、データのアップロード量や通信の暗号化、多くのファイル形式が扱えるなど、機能の追加がされています。
Evernoteにはさまざまなプラットフォーム用にクライアントソフトウェアがあり、クラウドを通して各クライアントが自動で同期できます。また、クライアントではオフライン作業も可能です(iPhone/Androidなどはプレミアム版のみ対応)。私は現在、自宅と職場のPC、またiPhoneやiPadでもEvernoteを使用していますが、それによっていつでもどこでも作業が継続して行えます。
データを一元化する場所
個人で集めた情報をまとめる
個人のデータ管理で重要なのは、データを一元化することです。よく情報整理術やライフハック本などでは、紙の手帳にすべて書くとか、メモのメールを自分宛に送ってメールボックスにためるとか、データ入力についてさまざまな方法が提案されています。これらは全て、何らかの方法で同じ場所にデータを置くようにして、そこを見れば必要なことがわかるようにしておくということです。
Evernoteはデータを一元化する場所として向いています。直接メモを書くだけではなく、Webサイトをクリップしたり、写真で撮った手書きメモや名刺をアップロードしたり、必要なメールを取り込んだり、会議の音声をそのまま保存したりと、さまざまな入力方法をサポートしています。サードパーティのアプリケーションが、Evernoteをデータの格納場所として使うこともできます。そうやってどんどんデータをEvernoteに取り込むことで、Evernoteを見れば必要なことがわかるという状況を作ることができるのです。
せっかくさまざまな方法でEvernoteにデータを蓄積したので、活用しないともったいないということになります。データの活用というと、まず検索が挙げられます。Evernoteでも蓄積されたデータは後から検索することができますが、検索対象はテキストデータだけではなく、画像内やpdfのテキスト等も含みます。そのため、とりあえず入れておいたデータを後から必要なときに見直すのが容易です。また、データにタグをつけたり、ノートブックにまとめることで、明示的に整理しておくことも可能です。
自分と他人との共有も
時には自分が整理したデータを他の人と共有したいという場合がありますが、Evernoteは共有機能も備えています。共有したいデータを1つのノートブックにまとめて、そのノートブックを“共有”に設定すれば良いだけです。そうすると、ノートブックに加えられているデータが、そのままEvernoteのドメイン下で公開されます。共有用のURIはわかりやすく、“http://www.evernote.com/pub/ユーザ名/ノートブック名”となります。また、他人の共有ノートブックを自分のEvernoteに関連付けることも可能です。
東日本大震災に際してEvernoteの取り組み
3/11に発生した大地震は、東日本に大きな影響を与えました。すでにさまざまな企業が支援を打ち出していますが、Evernote社は、日本語でEvernoteを使用しているユーザ全員を1ヶ月分無料でプレミアム会員にアップグレードすると発表しました(Evernote 日本語版ブログ)。
すでにプレミアム会員の場合は、3月分の料金が災害援助団体に100%寄付されます。プレミアム会員ならば1Gバイトのアップロード容量があるので、より多くの写真や音声など記録したり、災害の救援や避難生活の知恵などをまとめて共有するなども容易になるからとのことです。実際に、災害時のマニュアルや計画停電の資料など、今回の震災に関連する情報のまとめをEvernoteで共有公開する事例が@EvernoteJPにも寄せられています(sinman/saigai、kazrin/kazrin)。今までこのようなことをしたい場合には、どこかにWebサイトを持っていたりする必要がありましたが、Evernoteをうまく利用することで、誰もが手軽にデータを整理して公開することができるのです。
Evernoteはクラウドのデータ管理サービスであり、使い方は人それぞれです。是非読者の皆さまには、このAPIの連載を通して、Evernoteを活用した新しいサービスを考えていただければと思います。