(株)データホテルでは、従来のEX-SCALEに代わる新たなクラウドサービスとして「EX-CLOUD クラウドシリーズ」(以下、クラウドシリーズ)をリリースしました。従来からどういった点でパワーアップが図られたのか、EX-CLOUDをじっくりチェックしていきます。
プロが信頼するクラウドサービス
ソーシャルゲームのインフラやキャンペーン用のWebサイトなど、幅広い用途で多くのユーザーに使われている(株)データホテルのクラウドサービス「EX-SCALE」が大幅にパワーアップし、「クラウドシリーズ」として再登場しました。高い拡張性や手厚いサポート、そして低コストであることで高い評価を得てきたEX-SCALEですが、クラウドシリーズはこれらの特徴を受け継ぎつつ、さらに魅力的なサービスに仕上げられています。
具体的なサービス内容を見ていきましょう。まず仮想化ソフトウェアにはEX-SCALEと同じParallels社の「Virtuozzo」が使われています。一般的なIaaSはハードウェアレイヤーで仮想化を行うものが一般的ですが、VirtuozzoではOSレイヤーで仮想化する点が特徴であり、これによって仮想化のオーバーヘッドを抑えて高いパフォーマンスを実現しています。なおOSはCentOS 5.9です。
ディスクには信頼性の高いSASディスクを採用し、これをRAID5構成としています。一般的なIaaSではコストを抑えるためにSATAディスクが使われることが多いことを考えると、(株)データホテルにおけるサービスの安定稼働へのこだわりが見て取れる部分だと言えるでしょう。もちろんハードウェアは24時間365日体制で監視が行われており、障害にも迅速に対応できる体制が整えられています。
もう1つ、(株)データホテルがこだわっているのがサポートの品質です。サポートはサービスを知り尽くした自社スタッフの手によって行われており、ユーザーの課題に真摯に向き合って解決に向けた取り組みを行っています。ユーザーにとって、こうした姿勢は非常に心強いものだと言えるでしょう。
より安価にサービスを利用できる「LCCプラン」を提供
このクラウドシリーズのサービス内容で、まず注目したいのが13ものプランが用意されていることです。具体的には、CPU:1コア/メモリ:3GB/ストレージ:50GBの「スタンダード1」から、同12コア/72GB/1TBの「エクストララージ3」まであり、サーバの用途や予算に応じて選ぶことが可能です。
同スペックのサーバを安価に利用することができる「LCC(Low-Cost Cloud)」と呼ばれる料金プランが追加されたことも見逃せません。このLCCプランは、サポートの有料化、そしてロードバランサーとサーバ間のLAN接続を有償オプションとすることによって低価格化を図ったというもの。ちなみに標準プランでは、いずれも無償で提供されています。
LCCプランについてユーザーの視点で考えたとき、最も気になるのはサポートが有償(2,100円/1回)であるという点でしょう。ただサーバの運用に自信があるというユーザーの場合、サポートを依頼せずにIaaS系のサービスを利用し続けているというケースも多いのではないでしょうか。そうしたユーザーであれば、LCCを選択することによって安価にクラウドシリーズを利用できるというわけです。
なおサポートやロードバランサー/LAN設定が有料である点を除けば、標準プランとの違いはなく、サーバスペックなどは標準プランと同等とのこと。サポートは不要、あるいはサーバを1台しか利用しないためロードバランサーもLAN接続も使わないというユーザーにとっては嬉しいプランでしょう。
柔軟なシステム構築を可能にする多彩な機能を提供
サーバを止めることなくスケールアップできることがクラウドシリーズの特徴です。この機能を利用すれば、サーバの負荷に応じてスペックアップすることが可能なため、たとえばキャンペーンサイトなどアクセス数が読みにくい用途などで特に有効です。
クラウドシリーズは複数のサーバにトラフィックを分散する「ロードバランサー」の機能も用意されているため、仮想サーバを複数台契約してスケールアウトする構成も可能です。ただ特にデータベースなどを利用するソフトウェアによっては、スケールアウトによる処理能力の向上が難しいケースもあります。こうしたソフトウェアを利用するサーバにおいて、無停止でスケールアップが利用できるメリットは大きいでしょう。
別ストレージへのバックアップ機能もあり、手動バックアップであれば10GBまで無料で利用することが可能なほか、月額252円で10GB単位で最大200GBまでバックアップ容量を追加することができます。さらに月額2,625円で50GB、最大200GBまで追加できる自動バックアップオプションも提供されており、これを利用すれば手間をかけることなく重要なデータのバックアップを行えます。
標準オプションであればロードバランサーやサーバ間のLAN接続が無料で利用できることもポイントでしょう。たとえばフロントに複数のWebサーバを配置し、その背後にデータベースサーバを設置するといったシステムを構築する際に、トラフィックをロードバランサーで各Webサーバに分散し、さらにWebサーバとデータベースをLANで接続するといった構成のシステムを追加コストなしで実現できるというわけです。
本格的なサーバ管理は初めて、あるいはLinux系のOSに慣れていないというユーザーにお勧めしたいオプションがサーバ管理ツールである「Parallels Plesk Panel」です。ユーザーの追加や削除、各種設定、モニタリング、Webメール設定などをGUI上で行える管理ツールであり、多くの作業をコマンドラインを使わずに行うことが可能になります。
コストパフォーマンスの高さもEX-CLOUDの魅力です。(株)データホテルが実施したベンチマーク結果を見ると、あるIaaSのスモールインスタンスと呼ばれるプランのUNIX Benchの値は「194」でしたが、そのプランとほぼ同額のEX-CLOUDの「スタンダード1」の値は「926」であるとしています。つまりEX-CLOUDを利用すれば、同じコストで4倍以上も高速な仮想サーバーを利用できるということです。
新しくなったEX-CLOUDのクラウドシリーズは、このようにEX-SCALEの良さを引き継ぎながら大幅にコストパフォーマンスを高め、さらに安価にサービスを利用できるLCCプランを用意することなどによって魅力を高めています。これからクラウドサービスを検討するのであれば、必ず視野に入れたいサービスだと言えるでしょう。
なおEX-CLOUDのクラウドシリーズでは「スタンダード1」プランを2週間無料で利用できるお試しサービスを実施しているとのことなので、まずは実際の使い勝手をチェックしてみてはいかがでしょうか。
- エクスクラウド(クラウド&ローコストクラウド)
- URL:http://ex-cloud.jp/cloud/
- (株)データホテル
- URL:http://www.datahotel.ne.jp/