高性能と低価格を両立した「EX-LITE」

第2回標準で提供されるコントロールパネルをチェック

VPS型のサービスとしてデータホテルのクラウド環境上で提供されている「EX-LITE」は、SAS接続のHDDを利用するなどパフォーマンスにも配慮しつつ、月額わずか1050円という低価格を実現したサービスです。前回はサービス内容を細かくチェックしましたが、今回はサーバの基本的な管理や操作を行うことができるコントロールパネルの機能をチェックしていきます。

さまざまな作業や設定項目を備えるコントロールパネル

データホテルが提供する「EX-CLOUD」は、手軽に利用することができるシンプルなVPS型のサービスです。VPSと同様に仮想サーバを提供するサービスとしてはIaaSがありますが、基本的にユーザ自身でOSやミドルウェアをインストールする必要があるほか、サーバの管理もコマンドラインでの作業が中心となるなど、サーバ管理に慣れていないユーザにとっては敷居が高いのも事実でしょう。

しかしデータホテルのEX-CLOUDは、OSやミドルウェアがあらかじめインストールされており、申し込み後すぐにサーバとして使い始めることができます。さらにGUI環境で基本的な操作を行えるコントロールパネルを備えているため、初めてVPS/IaaSを利用するというユーザでも安心して使い始められるでしょう。なお、当然ながらsshでサーバに接続し、コマンドラインで操作することも可能なほか、root権限も提供されているため、本格的にサーバを運用したいというニーズにも応えられるサービスとなっています。

それでは、EX-CLOUDではどういった機能が提供されているのでしょうか。ここではEX-CLOUDのラインナップの中でもっとも低価格な「EX-LITE(エクスライト⁠⁠」を利用し、このサービスの機能をチェックしていきましょう。

EX-LITEのコントロールパネルでは、サーバの設定や管理を行う「システム⁠⁠、請求情報などを参照できる「マイ・アカウント⁠⁠、サーバ構成の変更やリソース(グローバルIPアドレス)の追加購入ができる「アップグレードセンター⁠⁠、そして各種ドキュメントやサポート情報を参照できる「ヘルプ」の4つのタブに分かれています。

EX-LITEで利用することができるコントロールパネル。Webブラウザでアクセスする
EX-LITEで利用することができるコントロールパネル。Webブラウザでアクセスする

このコントロールパネルはコマンド操作プラン、Plesk搭載プランのどちらにも提供されており、サーバ全体の操作(再起動やファイルマネージャ)のために利用します。Plesk搭載版の具体的なサーバ操作(メール設定等)は主にPleskを通じて行います。

なお、コントロールパネルには多数のアイコンがありますが、その中には利用できない物も含まれています。具体的には、画像の赤枠内のアイコンだけが利用を推奨されています。ただ、これだけ十分に便利でしょう。そのいくつかの機能を順に紹介していきます。

まず注目したいのはシステムタブの内容です。サーバの状態や割り当てられたグローバルIPアドレス、リソースの使用状況が確認できる「サーバ情報」のほか、GUIで操作できる多数の項目が用意されています。

システムタブには、VPSを再起動するための仕組みもあります。たとえば何らかの障害が発生し、sshでログインができないといった場合でも、この仕組みを使って再起動を試せるのは何かと便利でしょう。実際に再起動を行うには、前述した「サーバ情報」を開き、まずサーバを停止します。サーバの状態が「停止」になった後、改めて「サーバの起動」をクリックすれば再起動となります。

システムに障害が発生する理由はさまざまですが、その多くにおいて再起動することによって元の状態に戻ることは少なくありません。その再起動をコントロールパネル上から即座に行えるメリットは大きいでしょう。

「ファイルマネージャ」が用意されていることもポイントです。これはサーバとの間でファイルをアップロード/ダウンロードするための機能であり、わざわざFTPなどを利用することなくWebサイトで配信するコンテンツをアップロードするといったことが可能になっています。

またファイルの編集やパーミッションの設定も可能なプロパティの参照、ファイル名の変更、ファイルのコピーと削除など、さまざまなコマンドが用意されています。基本的なファイル操作であればコントロールパネルで済ませられるのは、ユーザによっては大きなメリットになるでしょう。

ファイルのアップロードやダウンロード、編集などが可能なファイルマネージャ
ファイルのアップロードやダウンロード、編集などが可能なファイルマネージャ
ファイル編集画面。ちょっとしたテキスト編集なら問題なく作業できる
ファイル編集画面。ちょっとしたテキスト編集なら問題なく作業できる

サーバ管理の基本となる、ユーザとグループもコントロールパネルから作成や設定が行えます。ユーザ作成時にはユーザ名やホームディレクトリ、シェルの種類、パスワード、所属するグループの選択も設定することができます。

ユーザ一覧画面。ユーザの検索や削除も行える
ユーザ一覧画面。ユーザの検索や削除も行える
こちらはユーザ作成画面。パスワードの設定も可能だ
こちらはユーザ作成画面。パスワードの設定も可能だ

コントロールパネルでドメインも設定可能

ドメイン設定のためのインターフェイスが提供されている点にも注目です。DNSの設定は非常に複雑で、慣れたユーザでもミスを犯しやすいポイントですが、EX-LITEのコントロールパネルのインターフェイスはわかりやすく、ある程度ドメインについての知識があれば、迷うことなく設定できるよう配慮されています。なおデータホテルではドメイン取得代行も行っており、そこで取得したドメインをそのままEX-LITEで利用できます。また既存のドメインにサブドメインを割り当てることも当然可能です。

ドメイン設定画面。新規ドメイン登録やドメインの移管もできる
ドメイン設定画面。新規ドメイン登録やドメインの移管もできる

バックアップとリストア機能も装備

サーバを運用する上で欠かすことができない、バックアップのためのインターフェイスもコントロールパネルに用意されています。バックアップ方法には、バックアップデータをダウンロードしてローカル環境に保存する「クライアント側バックアップと復元」と、EX-LITEが運用されている環境の外部ストレージにバックアップする「サーバサイド バックアップおよびリストア」の2種類が用意されています。

「クライアント側バックアップと復元」のユーザディレクトリバックアップ画面
「クライアント側バックアップと復元」のユーザディレクトリバックアップ画面

それぞれの方法でバックアップできる対象に違いがあり、クライアント側バックアップと復元では、ユーザディレクトリか指定したディレクトリのバックアップが可能です。一方サーバサイド バックアップおよびリストアはストレージ領域全体をバックアップします。なおクライアント側バックアップと復元ではバックアップ取得数に制限はありませんが、サーバサイド バックアップおよびリストアはバックアップファイル数が最大3つまでという制限があります。

なおEX-LITEでは、1ユニットにつき10GBのストレージバックアップが可能です。10GBを超えた場合の拡張は不可能となっているため、その点を意識しつつバックアップ内容を検討する必要があるでしょう。

これらの機能を利用したバックアップの運用方法としては、たとえば重要なデータが保存されているユーザディレクトリや特定のディレクトリをクライアント側バックアップと復元でローカル環境に定期的に保存しつつ、システムが不安定になった場合に備えて、ミドルウェアを追加、あるいは設定を変更した場合にストレージ全体をバックアップできるサーバサイド バックアップおよびリストアを利用するといった使い分けが考えられるでしょう。

本格的なバックアップ構成を作りたい場合は、EX-LITEを2つ契約し、オプションのLAN接続を利用するという方法もあります。これにより、一方のサーバから別のサーバへファイルを転送することにより、バックアップを行うというわけです。またcronなどを利用すれば、定期バックアップも可能でしょう。

サーバの状態を手軽に監視できる「Munin」を標準装備

サーバ監視ツールとして人気の高い「Munin」が標準で組み込まれていることもポイントでしょう。Webブラウザを使って専用のURLを開き、事前に設定されたユーザアカウントでログインすることにより、ストレージやネットワークトラフィック、CPU、ロードアベレージ、メモリ使用量などをわかりやすいグラフで確認することができます。

サーバリソース監視ツール「Munin⁠⁠。リソースの使用状況をグラフで確認可能
サーバリソース監視ツール「Munin」。リソースの使用状況をグラフで確認可能

root権限を使ってソフトウェアのインストールも可能

サーバ管理に慣れているユーザであれば、こうしたWebブラウザベースのインターフェイスはまどろっこしさを感じるかもしれません。ただ、一般的なVPSと同様にEX-LITEでもsshによる接続が可能であり、コマンドラインからサーバを制御することができます。

もちろん前述したようにroot権限が提供されているため、sshで接続してOSの設定を変更したり、あるいはyumを使ってソフトウェアをインストールことが可能です。

sshで接続しyumを使ってEmacsをインストールしているところ
sshで接続しyumを使ってEmacsをインストールしているところ

このようにEX-LITEはWebサイトのホスティングに特化したレンタルサーバのような多機能なコントロールパネルが提供されているだけでなく、root権限を使ってssh接続で自由にサーバを制御できる柔軟性の高さを持ち合わせたサービスとなっています。既存のレンタルサーバでは物足りないが、OSやミドルウェアのインストールやセットアップは面倒、コマンドラインだけでの操作には不安が残るといったユーザには、まさにピッタリのサービスだと言えるでしょう。

なおEX-LITEでは現在2週間の無料お試しプランを提供しています。使い勝手のよいIaaS/VPSを探しているのであれば、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

次回はEX-LITEでオプションとして提供されている、さらに高機能な管理ツールである「Plesk」の機能などを解説していきます。

エクスクラウド(エクスライト)

URL:http://ex-cloud.jp/

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