Ajaxとは?
Webアプリケーションの世界で、このところ注目を集めている用語があります。それはAjax(エイジャックス)です。これは、Webページの一部のみを書き換えるようにすることで、データの送受信にかかる時間を短くし、見た目や操作性を、よりデスクトップアプリケーションに近づけることをめざす手法のことをいいます。
Ajaxが求められる理由
現在の多くのWebアプリケーションでは、送信ボタンやリンクをクリックするとページ全体が書き換わるものがほとんどです。このとき、メニュー表示など、デザインが統一されていて内容を変更しなくでも良い部分も、変更されたデータと一緒にWebブラウザに送信し直しているのです。
ページのレイアウトによっては、ページ全体のデータの送信が終わらないと画面が表示されないこともあります。その間、ユーザはしばらく操作を待たされてしまうことになります。いわゆる「重い」といわれる状態です。ページの一部だけを書き換えるようにすれば、そのような状況を少なくでき、より「軽い(軽快な)」画面操作が可能になるはずです。
一般的に、Webアプリケーションはデスクトップアプリケーションに比べて操作性が劣り、画面の構成もかなりシンプルだともいわれていますが、Ajaxによって少しでもそうしたイメージを改善しようという動きが起こっているのです。なぜその必要があるのでしょうか。それはWebアプリケーションの利用形態の変化と関係しています。
Ajaxが登場した背景
詳しくは今後の記事で述べる予定ですが、もともとWebアプリケーションは、この記事のように文章や画像といった情報を発信し、ユーザーはそれらを拾い読み(ブラウズ:browse)する形態で利用されていました。その後、多くの掲示板が出現し、そこにたくさんの書き込み(投稿)が行われるようになります。そしてポータルサイトやブログ/SNSなどの出現でWebアプリケーションの用途が拡充され、アクセスランキングやニュースの一覧をはじめとした、たくさんの種類の情報が1つの画面の中に一緒に表示される形に、その利用形態が変わってきています。
そうなってくると、変更しなくても良い部分をわざわざ送信し直すのでは、どうしても無駄なデータの送信が多くなりがちです。アクセス頻度が増え、動画の投稿もされるようになった現在にあって、スムーズな操作を実現するには、そうした無駄をできるだけ省くべきと考えるのが自然ではないでしょうか。そこに登場したのがAjaxなのです。
Ajaxの応用による新たなWebアプリケーションの出現
それまでPCのデスクトップ上でしか実現できなかったパッケージソフトの機能を、Webブラウザ上で実現しようという試みが始まっています。これはAjaxを応用した新たなWebアプリケーションで、たとえば「Google Docs & Spreadsheets(http://docs.google.com/)」や「Zoho(http://www.zoho.com/)」などです。
これらは、Word、Excelといったオフィスソフトに似た機能をもち、これらと互換性のあるファイル形式でデータを保存することができます。当初は英語版のみが提供されていましたが、最近では日本語版の提供も始まっています。ただ文章や表を作成するだけではなく、グラフを描画したりもできます。また、作成したデータを別のユーザと共有するといった、Web上で提供するからこそできる機能も持っています。執筆時点でベータ版のものもありますが、オフィスの生産性などの観点から、これからの発展が期待される分野です。
まとめると
- Ajaxとは、見た目や操作性を、よりデスクトップアプリケーションに近づけることをめざす手法のこと
- Ajax登場の背景には、変更しなくても良い部分も送信する無駄が目立つようになったことがある
- Webブラウザ上でPCソフトの機能を実現しようという試みも始まっている
ということになります。
Webアプリケーションは、Ajaxによって新たな発展を遂げようとしています。