ケータイFlashゲームの今。そして、レクチャー概要紹介
はじめに…
はじめまして。今回から、ななことボブと一緒に「ケータイFlashゲーム制作」について連載していく、Studio無限界の西村(ゲームデザイナー)と藤田(プログラマー)です。よろしくお願いします!
さて、無限界では、はじめてFlashが搭載されたNTT DoCoMoのmova505iよりケータイFlashコンテンツを制作しているが、movaからFOMAへ、そしてauやSoftBankに、今やFlashは、まさにスタンダードな機能として各ケータイに搭載されている。movaの頃は、作成できるファイルサイズが20KB内だったり、ワークメモリが200KB内(端末により違いあり)だったり、端末自体のスペックが非力だったりと、正直とても厳しかったが、現時点、まだまだFlashの真価を発揮できる環境にはないものの、それでもFlashの魅力や能力を随分と活かしたケータイFlashゲームが作れるようになった。…いや、もちろん、アイディアによって生きも死にもするし、Flash(&ActionScript)をどう上手く用いて作るかによってゲームのクオリティや面白さは大きく異なってはくるが、としても、Flashが益々活躍できる状況になっていることは、Flashクリエイターとして大歓迎であるし、Flashに魅了された個人としてもワクワクする。この気持ち、Flashにハマった方はよく分かって頂けると思う。
…と、前置きはこのぐらいで、それでは、始まり始まり!
今、ケータイFlashが盛上がっている!
今から2年前、無限界で企画した「ケータイFlashゲーム制作本」を技術評論社さんの厚いサポートを得て出版に至ったのだが、その頃(執筆開始時期までさかのぼると約3年前)のケータイFlashに対するクライアントニーズと、ここ一年内のニーズを比べると、特に昨今、非常にニーズが高まっている。これについては、後に実例を挙げて紹介するが、これにはケータイFlashのスタンダード化やFlashLiteのスペックアップ(容量アップも含めて)といったハード面での向上や浸透が大きいであろうし、きせかえや待ち受け(FlashLite1.1の機能により、リアルタイムな時刻やカレンダーを表示した待ち受けが可能となった)といったFlash表現の広まりも好作用しているだろう。…が、何より、コンテンツプロバイダ(コンテンツ提供事業者)側から見るFlashコンテンツの好利点は、短期間でコスト低く制作できることであろうし[1]、キャリアや端末依存の機能を使わなければ、どの端末でもほぼ問題なく配信することが可能な利便さは、とても大きいだろう。サービス提供側にとってローリスクであるに越した事はないし、FlashというPlayer(ゲーム機)は、どの端末にも搭載されているのだから!
このレクチャー連載で目指すもの
実例としてSNSサイトを紹介したが、この他にもケータイFlashゲームやFlashコンテンツは様々なサイトで制作公開されている。これらは、連載の中で紹介していくつもりだが、では、このケータイFlashゲームレクチャーは何をしていくのか、簡単ではあるが記そうと思う。
コンセプトと内容概要
まず、レクチャー連載に当たっては、「Flashならではの魅力を意識し、仕事での制作ノウハウも含め、ケータイFlashゲーム制作を熱くレクチャーしていきたい」と考えており、特に「アイディアから、Flash上でどう創意工夫してゲームに仕上げていくか」「プログラム視点から見たFlash(&ActionScript)の上手い使い方やプログラマーレベルなテクニック」について、意識して解説していきたい。
レクチャーしていくラインナップとしては、アクションゲーム、パズルゲーム等々…と構想中なので、ぜひぜひお付き合いのほど、そして参考にして頂ければと思う。
Flashゲームの表現とアプローチ
これは、「ケータイFlashゲーム制作本」にも書いたのだが、Flashゲームといえば「お手軽ゲーム」という位置づけがされてしまっている感が強いのだが、「お手軽=安直な内容」では決してないわけで、Flashが持つポテンシャルと表現力の素晴しさは、アプリゲームとはまた別の、Flashならではのゲーム表現が可能だし、私たちFlashクリエイターは、そうアプローチすべきと思う。
≪Studio無限界のアプローチ≫
私たち無限界では、私たちなりのアプローチとして、Flashが持つベクター描画の美しさとアニメーション表現力の高さを活かしつつ、楽しめるゲーム性を大事にした、アニメ+ゲームな「魅せて遊べるゲーム」を無限界カラーとしてWebやケータイ向けに制作してきた。しかしこれは、Flashを活かしたアプローチの一つであって、ActionScript2.0(FlashLite2.0)以降なら、本格的にプログラム面から攻める事も充分できる。
…などなど、このようなFlashゲームの可能性やアプローチについても、レクチャー連載の中で模索したり紹介していきたいと考えている。
レクチャーで使用するFlashとFlashLite
次のFlash環境でサンプルゲームを作成、それを用いてレクチャーしていく。
- 使用するFlash
- Flash CS3 Professional(Win版)
- 使用するFlashLite
- FlashLite1.1
※FlashLite2.0のキャリア対応状況(NTT DoCoMoの機種は、2.0をまだ未搭載)や業界での使用状況によっては、FlashLite2.0を用いる可能性もあり得ます。