G-CLOUDの狙い
2009年、Web業界を中心に「クラウドコンピューティング」というキーワードが流行りました。これはインターネット上にあるさまざまなリソースを意識せずに、活用していく考え方を表した言葉です。非常に画期的な概念ではありますが、ときに単なる流行り言葉として、本質から離れた意味で使われるシーンを見かけます。
しかし、2010年に入りその様相が変わってきました。とくに日本のビジネスシーンにおける活用、いわゆる「エンタープライズクラウド」の考え方が浸透し始め、これまで技術者のみの興味の対象だったクラウドコンピューティングを、ビジネスパーソンたちも意識し、取り入れるようになっています。
また、mixiをはじめとしたSNSをプラットフォームとしたソーシャルアプリケーションの台頭により、これまでのWebアプリケーションは異なる運用体制が求められるケースが増えてきたことも、クラウドへ注目が集まる理由の1つになっています。
gihyo.jpでは、これまでもクラウドの黎明期から、技術的・ビジネス的両方の観点から、クラウドコンピューティングをキャッチアップしてきました。ここで、2010年をクラウド元年と位置付け、真のクラウドコンピューティングの幕開けに「Web」「 雑誌」「 イベント」の3つを軸とした、クロスメディア展開による企画「G-CLOUD」をスタートします。
3つのメディアからのアプローチ
G-CLOUDでは、以下のようなマッピングでコンテンツと読者対象を想定しています。
G-CLOUDの対象領域と対象読者
G-CLOUD Web
「G-CLOUD Web」では、おもにビジネスシーンにおけるクラウドコンピューティングの活用にフォーカスを当て、CIOをはじめとした経営層からのクラウド、またクラウドによるビジネスメリット、ITCにおける価値などについて取り上げます。
さらに、これからの人材教育という部分にも注目し、どのようにエンジニアやマネージャを育てるかそのヒントについてもお届けします。
予定コンテンツ
徹底取材!クラウドコンピューティング、各社の取り組み
クラウドエンジニアの育て方
クラウドがもたらすビジネスメリット
G-CLOUD Magazine
「G-CLOUD Magazine」は、これまで技術評論社が『Software Design』や『WEB+DB PRESS』で培ってきたエンジニア向け技術情報誌の編集・制作ノウハウと人脈を最大限に活用し、技術評論社でしか実現できない、最新のクラウド技術情報を軸とした内容で構成します。
たとえばAWSのようなIaaS活用に必要なスキル、あるいはEucalyptusなどオープンソース技術を利用したクラウド環境の構築、Visual Studioなど統合開発環境からのクラウドアプローチといった企画を予定しています。
クラウドという複数技術がクロスオーバーしていく中で、インフラエンジニア、アプリケーションデベロッパー、システムエンジニア、それぞれに特化したスキルだけではなく、その周辺領域を体系的にまとめていく予定です。
第1号の刊行は2010年8月を予定しています。
予定コンテンツ
最新AWS活用ガイド
オープンソースで実現するクラウド環境
ソーシャルアプリエンジニアのためのIaaS導入の手引き
G-CLOUD Summit
Web、雑誌、両方の読者をすべて網羅するのが、リアルイベント「G-CLOUD Summit」です。これまで「エンジニアの未来サミット」や「Agile Conference Tokyo 2009」など、技術を軸に、人に注目した多数のセミナーを開催してきた経験をふまえ、今回は、クラウドに集まる「人たち」が生み出す力、その先にあるクラウドの可能性を広げることを狙いとしたセミナーを開催します。
G-CLOUD Summitでは、「 ソーシャルクラウド」と「エンタープライズクラウド」の2トラックを用意し、利用シーン、利用者など属性を意識して、クラウドコンピューティングの本質からぶれない内容で構成します。
セミナーの開催は9月15日を予定しています。
クロスメディアで展開する意味
今回、このようにクロスメディアで展開する最大の意味は、コンテンツプロバイダー、メディアとして「クラウド」という言葉が持つ意味、技術の価値を正しく明確にお届けすることです。
一言でクラウドといっても、それがサービスレイヤ(SaaS)なのか、プラットフォームレイヤ(PaaS)なのか、インフラレイヤ(IaaS)なのか、非常に幅広い意味を持ちます。また、単純に分散環境で利用することがクラウドかというと、実はそうでないケースも見かけます。
技術評論社として、IT業界、インターネット業界にとって、期待が集まる「クラウドコンピューティング」に正面から向き合い、読者の皆さまに正確な情報をお届けすべく、3つのメディアを活用して展開することに致しました。G-CLOUDのこれからの展開にご期待ください。