若干の違いはあります)。
型紙をダウンロードして筐体を組み立て
作り方から説明します。最初にはちゅねの体と腕を作ります(図2)。
標準サイズのはちゅね(3cm)を作るのであれば、以下から型紙をダウンロードして利用するのが一番手っ取り早い方法です。
型紙を印刷したら、ラミネート(パウチ)するか、もしくは両面にセロファンテープを貼り付けて補強します。そのうえで体と腕を切り抜き、型紙中の指示どおりに折り曲げます。体と腕の接続については後述します。このように紙をベースに作るとどうしても強度に限界が出てきますので、どこにでも安心して連れて行ける丈夫なはちゅねを作りたければ、0.3~0.5mm厚くらいのアルミ板などを使うのも手です。
細いエナメル線を買ってきて電磁石を組み立て
続いて電磁石を作成します。学校の実験などで使うエナメル線で巻くとコイルが大きくなりすぎるので、直径0.05mm前後の細いエナメル線(UEW)を使います。「マグネットワイヤ」や「インドアプレーン」でネットを検索すると、すぐに通販サイトが見つかります(数百円で、はちゅねを数十体作れるくらいの量が手に入ります)。または、「リレー」という安い電子部品を分解しても、ワイヤを入手できます。
さて、抵抗やコンデンサの足のような細い針金を3mm×3mmほどの「コの字」に曲げ、そこにワイヤを800回ほど巻きつけます(図3)。回数はそれほど正確でなくても構いません。巻き終わったら、線の両端を1~2cmほどよじってバラけないようにしてから、瞬間接着剤などを垂らして固めます。この電磁石作成にあたっての大事な注意点は、次の3つです。
- 釘などのような磁石にくっつく素材にはコイルを巻かない(理由は後述)。鉄心を入れたりしてもいけません。
- ワイヤを丁寧に扱う。細い線でも意外に丈夫なので怖がる必要はないが、無理に引っ張ると切れる。何かにひっかけたりした時に切ってしまいやすい。
- 一度でうまく巻けなくても諦めない。ワイヤではなく軸の方を回して巻きつけるとよい(動画でのやり方を参照)。
また、磁石には、ネオジム磁石と呼ばれる非常に強力なものを使います。これもネット通販で安く手に入ります(二六製作所のサイトやマグファインのサイトなど)。標準サイズのはちゅねでは、3mmの丸型がちょうど良いです。
全体を組み立てて動作チェック
磁石を腕に瞬間接着剤で貼ってから、腕を本体に取り付けます。腕に細い針金の軸を通し、軸を持った時に腕が図4のような位置になるかを確認します(なっていなければ、軸の取り付け位置を左右にずらしてみる)。問題なければ、軸をコの字型に曲げて本体に接着します。このとき、本体と腕が接触しないように隙間を作っておきます。また、腕の重みで本体がしならないように補強しておくと良いでしょう。
次に電磁石を本体に接着します。このとき、電磁石に3V~5Vほど通電した状態で磁石に近づけてみて、一番大きく反発する位置を探してから固定します。反発しない場合は電流の向きを逆にしてみてください。また、はちゅねの大きさによっては、電磁石の取り付け位置を変えて吸着を利用するようにしても良いです(図4)。
以上でメカ部は完成です。コイルに電流を流したり切ったりすればネギを振りますが、手動でのON/OFFが物凄く面倒だとすぐに気づくはずです。なお、電磁石と電池の接続ですが、ワイヤ(UEW)の被覆を溶けた半田に15~20秒つけて取り除いてから普通のより線に半田付けし、それを介して電池とつないでください。
いろいろな試行錯誤を経て現在の形にまとまっています
今回説明したマイクロはちゅねは、最初からこのような形であったわけではなく、簡単・確実に作れるようになるまで、色々な試行錯誤を経ています。面白い工夫点をいくつか挙げますので、自分のはちゅねを作るときの参考にしてください。
1.コイルの巻き数
コイルの巻き数や磁石の品種は、実験を繰り返してバランスの良い組み合わせを見つけ出したものです。たとえば、コイルの強さを調整しようとしても、磁力は巻き数と電流に比例しますが電流が巻き数に反比例するので、そう単純ではありません。また、電流を増やすために電圧を上げたり太いワイヤを使ったりすると、コイルが大きくなったり発熱したりする、という別の問題も出てきます。とくに、電圧や電流が大きくなると、電子回路で制御をする時に色々面倒が生じてきます。
2.磁石の選定
磁石の選定についても、単純に強い物を選ぶだけでは、重くなって逆にネギ振りが弱くなってしまう場合があります。はちゅねの大きさが変わると、以上のようなバランスが全部変わってくるので、自分で色々な部品を用意して実験してみる必要があります。
3.鉄心がないという条件
先に述べたとおり、コイルに鉄心を入れません。「非常に弱い電磁石+非常に強いネオジム磁石」という組み合わせであるため、鉄心を入れてもネオジム磁石が吸い付くだけで、電磁石が負けてしまうからです。学校で習う電磁石とは条件の異なる点です。
4.腕の吊り下げ方
腕をどのような方法で吊り下げるか、という点が工夫のしどころです(図5)。マイクロはちゅねの最初期のバージョンは、腕の支点が1箇所しかなかったために、垂直から少しでも傾くと腕と本体が接触して動かなくなる不安定なものでした。今回紹介したアホの子バージョンでも、本体がたわむと腕の位置がずれて動かなくなるという問題が残っていて、改良が続いています。
次回は、ネギ振りを手動で行っていると手がとても疲れるので(笑)、自動化するように拡張していきます。