IT戦士 amachangの 突撃!!Imagine Cup 2008

#7愛すべきロクデナシ NISLabの軌跡

Imagine Cup2日目ということで、いよいよ学生たちのプレゼンテーションが始まりました。

ソフトウェアデザイン部門の一次予選は2回あり、同じプレゼンを1回目と2回目で異なる審査員に見せるという方式です。日本から参加しているNISLabのメンバーも、今日1回目のプレゼンテーションを行っています。

ジャッジルームの広さの関係上、僕たちは1回目のプレゼンテーションを見ることができなかったのですが、NISLabを陰で支えてきた小板隆浩先生に、普段の彼らの様子やECOGRIDの開発秘話を聞くことができました。

実際のプレゼンテーションの様子は、明日お伝えします。

写真1:夕食後、ホテルのカフェで小板先生にインタビュー
写真1:夕食後、ホテルのカフェで小板先生にインタビュー

「勉強は嫌い、でも、世界一になら、なってみたい」メンバーのストーリー

NISLabの4人は、小板先生の研究室に所属していて、先生はメンバーのことを「ロクデナシ」と呼びます。

「勉強が好きではない彼らですが、情熱がないわけではない。僕らが示しているもの(勉強)がハマらなかっただけで、世界一になれるかどうかの勝負には興味が持てるのではないか」

そう思った先生が「応募してみたら?」と勧めたことが、彼らがImagine Cup日本代表への切符を手にしたきっかけということでした。

学校では、中島君はセンサーネットワークの研究、加藤君は家電制御の研究、松下君は家電など複数機器の広域制御の研究、前山君は分散ファイルシステムの研究、清水君はリアルタイムセンサーウェブの研究をしているそうです。

今年のImagine Cupのテーマは「環境の持続のためのテクノロジー活用⁠⁠。松下君の研究テーマにほかのメンバーの研究をコラボレーションする形でECOGRIDが生まれました。

ECOGRIDは人を感知するセンサーで電力を制御し、ネットワークを活かして電力の状況を共有しようとするものです。

前山君は、京都大学院に進み距離的にも時間的にも参加が厳しくなってしまった清水君と、日本大会後に入れ替わる形で参加しています。

メンバーは最初、⁠えー、辞めましょうよー」と応募を渋ったそうです。

「でも、日本での最終予選に進出が決まったとき、彼らの目つきが変わりました」

そう小板先生は当時を振り返りながら話してくれました。

この話を聞いていて、僕は目頭が熱くなりました。

学生時代に夢中になれるものを見つけるということは本当に凄いことだと思います。

プログラミングというものは、嫌々何年やってても身につかないもので、夢中になれたときからが真のスタートラインなのです。

彼らはこの年齢で夢中になれることに出会ってしまった。しかもその舞台が世界、というのも本当にすばらしいことだと思います。

写真2:小板先生は38歳。写真を見てもわかるようにとても若々しくて、初めてお会いしたときは学生だと思ってしまいました
写真2:小板先生は38歳。写真を見てもわかるようにとても若々しくて、初めてお会いしたときは学生だと思ってしまいました

学生から見た小板先生

ホテル内のカフェでインタビューをしていると、偶然通りかかった加藤君、中島君が乱入。というわけで、今度は小板先生のことを教えてもらうことにしました。

写真3:インタビュー開始からしばらくして、カフェの前を通りかかった加藤君と中島君も加わってくれました
写真3:インタビュー開始からしばらくして、カフェの前を通りかかった加藤君と中島君も加わってくれました

小板先生はなんでもやらせてくれる先生で、めったなことでは怒らない優しい先生だそうです。 ⁠Imagine Cupの前々日にも、先生はメンバーと一緒に徹夜してくれたんです」と2人はうれしそうに話してくれました。

みんな先生に話すときは、バスの中で先生に恋愛相談を聞いたり、時にはバカな話をしたり、友達のような感じです。このような先生に出会えて、このメンバーは本当に楽しいだろうなと思います。

そして、学生同士の意見が衝突したときは、先生がよく気を使ってフォローしてくれるのだそうです。きっと先生がいなかったら、ここまでのチームワークは発揮できなかったのではないでしょうか。

先生ぐっじょぶ!

写真4:先生と一緒にいる松下君と前山君に遭遇。前山君に「先生ぐっじょぶ!」ポーズをしてもらいました
写真4:先生と一緒にいる松下君と前山君に遭遇。前山君に「先生ぐっじょぶ!」ポーズをしてもらいました

それぞれの特技を活かしたチームワーク

加藤君にチームのことを聞いたところ、⁠みんなそれぞれ癖のある仲間。それぞれの苦手を補い合い、特技を活かし合って開発した」と言っていました。

ソフトウェア開発の現場では、1人の優秀なワンマンプレーヤーだけが活躍して、周りの人間が成長しないといったケースがよく見られます。彼らのように、自分の役割を見つけられるチームが理想の現場像だと僕は思います。

後輩につなぐ意志

今まで真面目とは言えなかった学生たちが、情熱だけでここまでのことができる。大学の友人からは「あいつらが、ここまでやるのか」⁠化けた」と言われ、また研究室では「来年は自分も出たい」と言う後輩も出てきているそうです。

NISLabの活躍は、研究室や学校のほかのメンバーにも大きな影響を与えているんですね!

また、もしかしたら、彼らが先陣となり日本代表という実績を残したことにより、今後こういった大会に出る学生への大学のサポート体制が整えられていくのかもしれません。

そして、この情熱は学校だけではなく、このイベントに参加したすべての人、彼らがこれから出会うであろう幾人ものエンジニアたちに受け継がれていくに違いありません。

写真5:「いいなー」⁠すごい!」⁠うらやましい!」インタビュー中、そんな想いが何度も込みあげてきました
写真5:「いいなー」「すごい!」「うらやましい!」インタビュー中、そんな想いが何度も込みあげてきました

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