改めて「情報システム」とは何か
前回は、部門間をまたがる社内の仕事の流れを横断的にまとめられるのは情シスの強みであるということに触れました。それを受ける形で、では社内の仕事の流れ、すなわち社内プロセスとはどういうものなのかということについて、もう少し掘り下げて考えてみます。
情シスは情報システムを構築・運用・保守することを通じて、社内プロセスを支えるのがミッションです。では、情シスが支えるべき社内プロセスとは何か。それは一連の仕事の流れです。すると、そもそも流れの中でのそれぞれの仕事とは何かが浮かび上がってきます。
仕事とは何か
仕事とは「1つの成果と、その成果を作るための活動のセット」です。何らかの行為があって、そして評価されるべき仕事の成果が生まれます。つまり「仕事=活動×成果」と表現することができます。たとえば「活動=検品をする、成果=検品済みの製品」というように考えられます。
大きな成果もあれば小さな成果もあります。たとえば「販売する」という仕事は小さな活動と成果の集合です。商品を仕入れる・店頭に陳列する・接客する・レジ打ちをする・梱包する…と、たくさんの活動とそれに伴う成果の結果、販売するという1つの仕事となり、その成果は売上ということになると考えます。
成果とは何か
それでは、どうなったら活動が終わり、成果になるのでしょうか? たとえば、ようやく仕事ができた! と思って上司のところに持っていくと「何だこれは! これでできたと思ってるのか!?」などと言われたことはないでしょうか。では、この「できた!」と「できてないだろう!」の間のギャップが生じる原因は、「できたとする条件」がお互いに異なっているから、だと言えます。であれば、まずはその条件が双方で一致していないとまずいでしょう。そこで必要となるのが「チェックシート」です。チェックシートの条件をクリアして、初めて「成果を出した」と考える必要があります。
では、たとえば「見積りをする」という仕事があるとして、何をもって見積りができたとするのかをチェックシートにまとめようとすると、意外といろんな項目が必要になることを実感します。
- 見積りできたかな? チェックシート
…などのように考えていきます。つまりチェックシートの項目を決めるということは、成果がどういうものかを決めるのと同時に、この成果を完成させるために必要な活動を明確にするということでもあります。
この例ですと、生産管理と納期について打ち合わせをするという仕事をしないと、見積りができたとは言えないことになります。一方、チェックシートに出てこない事柄については、いくら一所懸命にやったとしても、それは成果には直結しない、いわば無駄な作業ということで除去することもできます。
情報システムは成果創出のための活動を支援する
上記のチェックシート例を見ると、システムエンジニアの方であればなんとなく「こういうプログラムがあれば、もっと仕事が効率的にできるんじゃないか」という風に感じられると思います。
社内プロセスを支えるのが情シスです。支えるべき対象を理解しなければ適切に支えられません。その社内プロセスが創出するべき成果とはいったいどのような基準のチェックをクリアしなければならないのか。その理解を深めていくことは、会社の経営への理解を深めていくことにほかなりません。つまり、情シスとは経営そのものを意識でき、また意識すべき仕事なのです。
次回は、社内プロセスの最終成果としての顧客接点いう観点から、プロセスとマーケティング/フィナンシャルについて触れます。