業務を改善する情報共有の仕掛け~DevOpsの実現、RPAの導入に向けて~

第11回Alfrescoを業務自動化プラットフォームとして使ってみよう(前編)

いま流行りのデジタルトランスフォーメーションを実現するには、文書やファイルに属性情報(メタデータ)を付与することが重要といわれています。しかし、属性情報(メタデータ)を手作業で入力しては本末転倒です。それだと生産性のアップにはつながりません。

前回は、Alfrescoの拡張モジュール「自動タグ付け:imgRecognition」を使用し、属性情報(メタデータ)の付与を人工知能(AI)に行わせる自動タグ付けを行いました。そこで今回は、付与されたタグ情報をもとに、Alfrescoのルール機能を利用して業務自動化を実現する方法を紹介したいと思います。

フォルダにルールを設定する

Alfrescoの「文書ライブラリ」には、コンテンツを自動的に管理できるフォルダルール機能があります。ルールを定義することで、コンテンツのフォルダ振り分けや属性情報(メタデータ)の付与などを手作業で行わずに自動化できます。

「文書ライブラリ」は、Alfrescoの「サイト」の配下に存在します。⁠文書ライブラリ」から「作成...」をクリックしてフォルダを作成し、作成したフォルダにルールを設定します。ルールを設定するには、フォルダの右メニューの「その他...」をクリックし、⁠ルールの管理」を選択して表示される画面の「ルールを作成する」をクリックします図1⁠。

図1 作成したフォルダにルールを設定する
図1 作成したフォルダにルールを設定する

ルールを定義する際に設定する項目は次の3つです。

  1. ルールの実行条件
  2. コンテンツが満たすべき条件
  3. コンテンツに対して実行するアクション

1. ルールの実行条件(トリガー)

ルールの実行条件として設定できる項目は次のとおりです。1つでも複数でも設定できます。

  • アイテムがこのフォルダに作成または入力されたとき
  • アイテムが更新されたとき
  • アイテムがこのフォルダから削除または送り出されたとき

2. コンテンツが満たすべき条件

ここで設定した条件に基づいてルールが実行されます。条件は1つでも複数でも設定でき、⁠条件を満たす場合」「条件を満たさない場合」の分岐を設定することもできます。

条件として設定できる項目は表1のとおりです。

表1 コンテンツが満たすべき条件
設定項目説明
1すべてのアイテムすべてのファイル(アイテム)を対象にする
2サイズファイルサイズについて「以上」⁠以下」⁠等しい」などを設定できる
3作成日時作成日時について「以上」⁠以下」⁠等しい」などを設定できる
4変更日時変更日時について「以上」⁠以下」⁠等しい」などを設定できる
5作成者文字列について「で始まる」⁠で終わる」⁠含む」⁠等しい」を設定できる
6変更者文字列について「で始まる」⁠で終わる」⁠含む」⁠等しい」を設定できる
7著者文字列について「で始まる」⁠で終わる」⁠含む」⁠等しい」を設定できる
8MIMEタイプ動画、音声、オフィスファイル、CADデータ、JSON、Java、HTMLなど計175種類のMIMEタイプ(ファイル形式)を選択できる
9エンコーディングエンコーディングを文字列で指定
10タイトル文字列について「で始まる」⁠で終わる」⁠含む」⁠等しい」を設定できる
11名前文字列について「で始まる」⁠で終わる」⁠含む」⁠等しい」を設定できる
12説明文字列について「で始まる」⁠で終わる」⁠含む」⁠等しい」を設定できる
13タグがあるあらかじめ設定されたタグを選択できる
14カテゴリがあるあらかじめ設定されたカテゴリを選択できる ※デフォルトでは「ソフトウェアマニュアルの分類」⁠タグ」⁠言語」⁠地域」の4種類
15コンテンツのタイプまたはサブタイプコンテンツのタイプを選択できる
16アスペクトを持つあらかじめ設定されたアスペクトを選択できる
17続きを見る...Alfrescoのプロパティ情報を選択できる

3. コンテンツに対して実行するアクション

最後に、実行するアクションを定義します。設定できる項目は表2のとおりです。

表2 コンテンツに対して実行するアクション
アクション標準機能/
拡張機能
説明(実行条件に合致した場合の動作)
1スクリプトを実行する標準機能Data Dictionary/ScriptsフォルダにあるカスタムJavaScriptスクリプトを実行する。利用可能なサンプルスクリプトがいくつかある
2コピー標準機能指定した場所にファイルをコピーする。サブフォルダとその内容もコピーする場合は、⁠ディープコピー」オプションを選択する
3移動標準機能指定した場所にファイルを移動する
4チェックイン標準機能ファイルをチェックインする。たとえば、マイナーバージョンとメジャーバージョンのどちらとしてチェックインするかを選択する場合は「オプション」を選択する
5チェックアウト標準機能ファイルをチェックアウトする
6カテゴリにリンクする標準機能ファイルやフォルダを、地域や分類など選択したカテゴリにリンクする
7アスペクトを追加する標準機能ファイルにアスペクトを追加する ※アスペクトを利用した機能や動作を付与したい場合に有効
8アスペクトを削除する標準機能ファイルからアスペクトを削除する ※アスペクトを利用した機能や動作を削除したい場合に有効
9簡単なワークフローを追加する標準機能ワークフロー設定(承認タスク、却下タスク)を付与する。デフォルトでは承認タスクがある。却下タスクを追加することもできる
10Eメールを送信する標準機能通知をEメールで送信する。メッセージをクリックして受信者を選択し、選択したメッセージを追加する
11コンテンツを変換およびコピーする標準機能ファイルを選択した形式に変換して指定した場所にコピーする。たとえば、Word文書のコピーをPDF形式で別のフォルダに生成できる
12画像を変換およびコピーする標準機能画像ファイルを選択した形式に変換して指定した場所にコピーする。たとえば、PNG形式のファイルをGIF形式に変換し、別のフォルダにコピーする
13共通のメタデータフィールドを抽出する標準機能ファイルの埋め込みメタデータを抽出してプロパティに追加する。Microsoft Officeドキュメントのプロパティ、LibreOfficeなど、さまざまな形式をサポートする
14インポート標準機能ZIPやACPなどの圧縮ファイルを自動的に解凍する。解凍したファイルを選択した場所に保存する ※パスワード付きの圧縮ファイルには対応していない
15タイプを特殊化する標準機能ファイルのコンテンツタイプを変更する。たとえば、標準ファイルをポリシー文書に変更し、そのコンテンツタイプに適したメタデータを追加する
16カウンタを増分する標準機能数値(整数)プロパティの値を自動的にインクリメントする
17プロパティ値を設定する標準機能選択されたプロパティ値を付与する
18画像認識タグ付け拡張機能画像ファイル(jpeg)から人工知能(AI)サービスを使って自動的にタグを追加する
※リックソフトがオープンソースとして公開しているAlfresco拡張モジュール「imgRecognition」を追加

以上のようにして、文書ライブラリに対して行う自動処理のルールが作成できます。後編では作成したルールを実行するとどんなことができるのか具体例で確認してみましょう。

Alfrescoの製品情報:
https://alfresco.ricksoft.jp/
Alfrescoのコミュニティサイト(日本専用)
https://alfresco.ricksoft.jp/qa/
Alfresco拡張モジュール:
https://github.com/Ricksoft-OSS
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