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第36回ド・モルガンの法則

以前に論理の数学でド・モルガンの法則を学びました。論理式を変形するための便利な法則です。この法則は、集合の式にも適用できます。今回は復習をかねて集合についてのド・モルガンの法則を学びます。集合の数学は、情報を絞り込む・情報を統合するといった用途に活躍します。今回もう一度復習することで、知識の定着をはかりましょう。

大工仕事に例えてみれば、今回のような学習は、以前に身につけた技術を、違う材質でもう一度稽古してみるようなことでしょう。紙と鉛筆を用意して、自らの手で法則が確かに成り立っていることを確認しましょう。

図36.1 異なる材質で技術(うで)を磨く
図36.1 異なる材質で技術(うで)を磨く

ド・モルガンの法則

ド・モルガンの法則は集合の式の変形法則です。考え方は論理の数学で学んだド・モルガンの法則と全く同じです。ただし、論理和の記号(+)が和集合の記号(∪)に、論理積の記号(・)が積集合の記号(∩)に変わります。

ド・モルガンの法則は、和集合の演算子と積集合の演算子を交換します。補集合の記号( ̄)の位置が変化していることに注意しましょう。論理の数学でも同じ名称の法則を学びましたね。図を用いると法則が確かに成り立っていることが具体的にわかります図36.2⁠。

式36.1について、左辺に対して、右辺の式が等しいかどうかを確認してみましょう。右辺のは集合Aに含まれない部分のこと。は集合Bに含まれない部分のこと。でハッチングの施されたところを全て集めたものになりますから、確かに図の通りとなります。

図36.2 集合のド・モルガンの法則(キャップをカップに)
図36.2 集合のド・モルガンの法則(キャップをカップに)

問題:オイラー図を用いて、ド・モルガンの法則が成り立つことを示してください。

ド・モルガンの法則の式36.2の右辺と左辺が等価であることを、オイラー図を用いて示してください。

解説

ド・モルガンの法則の式36.2の右辺と左辺が等価であることを、オイラー図を用いて示してください。

図36.3 集合のド・モルガンの法則(カップをキャップに)
図36.3 集合のド・モルガンの法則(カップをキャップに)

左辺に対して、右辺の式が等しいかどうかを確認してみましょう。右辺のは集合Aに含まれない部分のこと。は集合Bに含まれない部分のこと。両方でハッチングの施されたところを集めたもの。どちらか一方でしかハッチングの入っている部分は含まないことになりますから、確かに図の通りとなります。

集合の数学のおわりに

今回で集合の数学の学習を終わります。集合の数学は、論理の数学を学んだ後ではあまり目新しい部分がありません。あえて新しいことと言えば、物事を集合の数学で表現すると新しい視点を得られると言うこと、和集合を取る際の要素のダブりに気をつける必要があることなどでしょう。しかしながら、実際のデータ処理をJava言語でコーディングしようとすると、なかなか大変です。集合の演算は、数値の加減乗除のように演算子ひとつ記述すれば済むものではないからです。

今回の学習を通じて、以上のようなことを感じていただけたなら、大きな収穫だったと思います。

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