はじめに
今回は、本筋のキーボードとは外れますが、USB to Bluetooth KVMスイッチであるCS533(写真1 )を紹介します。CS533はPCとiPhone/iPadで1つのキーボード/マウスを共有するための製品です。今回はこのCS533を用いて、USBキーボードをBluetooth化して使う方法を取り上げます。
写真1 CS533
CS533
CS533はATEN社が販売する製品でKVMスイッチの1種です。一組のキーボードとマウスを、PCとiPhone/iPad間で切り替えて利用できるようになります。先に海外で販売されていました。現在では、日本でも販売されているため技適マークもついています(写真2 ) 。
写真2 技適マーク
利用方法
CS533はPC、キーボード/マウスを次のように接続します(図1 ) 。
CS533とキーボード/マウスをUSB接続
CS533とPCをUSB接続
CS533とiPhone/iPadをBluetoothでペアリング
図1 CS533の接続例①
PCとiPhone/iPadとの切り替えは、CS533にあらかじめ設定されているホットキーで瞬時に行えます。ホットキーはいくつか存在し、PCとiPhone/iPadを切り替えるキーは[Alt][ Alt]( [ Alt]の2度連打)です。主要なホットキーを表1 に挙げます。
表1 ホットキーの一例
[Alt][ Alt] 別のデバイスにスイッチする
[Alt]+[F1] USB接続のPCにスイッチする
[Alt]+[F2] Bluetooth接続のデバイスにスイッチする
[Alt]+[F6] Bluetoothペアリングをクリアする
[Alt]+[F12] Bluetooth接続を切断する
筆者は、iPhone/iPadは所持していませんので、その代替としてSurface RTを用いて試してみましたが、スムーズにPC、Surface間を切り替えでき、とくに問題を感じませんでした(写真3 ) 。
写真3 CS533とSurface RT
なお、ホットキーなどの詳しい情報は製品のマニュアル を参照してください。
USBキーボードのBluetoothキーボード化
CS533のUSBに接続するデバイスはPCである必要はなく、給電ができれば何でも良いです。そのため、ポータブルUSB電源を代わりに使うこともできます。
これをふまえて、次のようにiPhone/iPadの代わりにPCを接続して、USBキーボードをBluetooth化して使えます(図2、写真4 ) 。
CS533とキーボード/マウスをUSB接続
CS533とポータブルUSB電源をUSB接続
CS533とPCをBluetoothでペアリング
図2 CS533の接続例②
写真4 CS533とHHKB
PCとCS533をペアリングしたあとにキーボードで[Alt]+[F5] 、[ 1] 、[ Enter]と入力してキーボードマッピングをiPhone/iPad用からQwerty配列に変更する必要があります。これを行わなければ、[ Esc]や[Home] 、[ End]などの一部のキーが使用できません。
以上で、USBキーボードをBluetoothキーボードとして使用できます。ただし、次の点に注意する必要があります。
① [ Alt]を2度連続して押すと、USB接続されたデバイスとBluetooth接続されたデバイスの切り替えが実行される
② 一部の[Alt]+ファンクションキー操作が使えない
③ メニューキーが使えない
④ 日本語キーボードと接続した際、[ 変換] 、[ 無変換] 、ひらがなカタカナキーが使えない[1]
①は、もう一度[Alt]を2度押すと使えるようになります。どうしてもキーボード入力ができなくなった場合、CS533と接続している電源を引き抜き、再接続を行ってください。
②は、CS533にホットキーとしてキーストロークが奪われてしまうためです。一例は表1で挙げたキーストロークです。[ Alt]とそれ以外の組み合わせである[Alt]+[a] 、[ Alt]+[Tab]などは使えます。また、[ Alt]+[F4]はホットキーとして登録されていないので、これも使えます。
③は、試した限りでは「=」が入力されるだけでした。
④は、Linux PCで試したところ、[ 変換] 、[ 無変換] 、ひらがなカタカナキーはまったく別のキーとして認識されているようでした。それ以外のキーは不都合なく入力できました。
入手方法
Amazonなどで購入できます。値段は7,000~8,000円ほどです。eBayのようなオークションサイトで出品されていますが、海外のCS533では技適マークがついていない可能性があるので、オークションでの購入は控えたほうが良いでしょう[3] 。
USBキーボードをBluetooth化したいという要望はよく聞きますが、それを達成するための製品は今までありませんでした。有線キーボードを無線化するという観点であれば、ワイヤレスUSBハブとポータブルAC電源を利用するという方法もありましたが、これは大がかりになりがちでした。CS533なら多少制限はありますが、比較的簡単にUSBキーボードをBluetooth化できます。ワイヤレスキーボードの購入を考えるのであれば、今回紹介した制限が許容できるのかどうかを考えたうえで、CS533で使い慣れたキーボードをBluetooth化することを考えてみても良いかもしれません[4] 。
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