はじめに
当連載は、今回で最終回です。最後に紹介するキーボードは、Happy Hacking Keyboardです。プログラマの間で最も人気のあるキーボードの1つと言っても過言ではないでしょう。
Happy Hacking Keyboard
Happy Hacking Keyboard(以下HHKB)は、( 株) PFUが販売しているUSBキーボードです 。
[A]の横に[Ctrl]があることからもわかるように、独特のキー配列(UNIX配列)と、必要最小限のキーのみに絞った省スペースな形状が特徴です。省スペースであるため、ファンクションキーは単体では存在せず、[ Fn]との組み合わせで入力します。DIPスイッチも存在し、スペースバー両隣にあるキーの割り当てを変更するなど、細かく挙動を変えられます。
現在、手に入るラインナップには次のものがあり、英語配列、日本語配列がそれぞれ存在します。
HHKB Lite2
HHKB Professional2
HHKB Professional2 Type-S
そのほかにもう販売されていない製品で、初代のHHKB(写真1 )やHHKB Lite、HHKB Professionalなどが存在します。ProfessionalとProfessional2の違いは、おおざっぱにはUSBハブを内蔵しているか、していないかです。内蔵していれば、Professional2です。
写真1 HHKB(初代)
そのほかHHKBのUSBインターフェースをBluetoothに変換できるモバイルバッテリー、交換用のキーキャップ、キーボードトランクのようなオプションも数多く存在します。これらはPFUダイレクトという直販サイト で販売されています。
HHKB Lite2
Lite2(写真2 )は廉価版のHHKBです。キースイッチはメンブレンスイッチで、約55gの押下圧があります。そのため、後述するProfessional2やType-Sと比較すると、タイピングしていてかなり重く感じます。また、Lite2はMac専用の刻印を施したスノーホワイトのHHKB Lite2 for Macというモデルも存在します。Lite2の値段はおよそ7,000円です。
写真2 HHKB Lite2
HHKB Professional2
Professional2(写真3 )はHHKBの高級モデルです。キースイッチには、東プレのリアルフォースシリーズと同じ静電容量無接点方式を採用しており、押下圧は45gです。そのため、キータッチはLite2と比べると軽く、タイピングしていて疲れません。本体が白色の白モデルとチャコールブラックの墨モデルの2種類が存在します。キートップに刻印がないものも存在します[1] 。値段は、21,000円ほどしますが、それだけの価値はあります。
写真3 HHKB Professional2
HHKB Professional2 Type-S
Professional2 Type-S(写真4 )は、Professional2の静音モデルです。Professional2との大きな違いはキースイッチです。Type-Sでは静音モデルのキースイッチを採用しており、タイピング時の静音性が増しています。現在のところ、Type-Sには白モデルしか存在しないようです。値段は3万円ほどしますが、静音のためだけにこれを選ぶ価値はあります。稀(まれ)にPFダイレクトで安売りしていることがあるので、Twitterで「@PFU_HHKB」をウォッチしておくと良いかもしれません。
写真4 HHKB Professional2 Type-S
HHKBは種類がいくつかあるので、どれを選べば良いのか悩むかもしれません。筆者はProfessional2もしくは、Type-Sを勧めます。
その理由は、Lite2の購入を考えるのであれば、前回紹介したHHKBライクな配列の小型メカニカルキーボードを候補として考えた方が良いためです。Lite2と値段はそう変わらないのに、Lite2よりキーボードタッチが良いです。なお、Professional2とType-Sであれば、懐に余裕があるならType-Sを勧めます。静音は数千円余計に支払ってでも得る価値があります。
キー配列は、日本語配列は少し窮屈な印象が否めないため、英字配列を勧めます。
HHKBは大きめの量販店に行けば取り扱っていますので、どれを選ぶにしろ、まずは店頭で触って試してみるのが良いでしょう。
連載の終わりに
1年以上にわたって、筆者の独断と偏見に満ちた選出でキーボードを紹介してきました。かなり趣味に走った紹介もしましたが、いかがだったでしょうか。
連載では、現在、手に入るキーボードを中心に紹介してきましたが、古いキーボードでおもしろいものはたくさんあります。たとえば、メカニカルキーボードでは、Cherry軸しか紹介しませんでしたが、ALPS軸というキースイッチを採用しているキーボードもあり、愛好家が存在します。古いキーボードはeBayやヤフオク!に出品されています。接続がPS/2やADBのものもありますが、変換コネクタは探せば販売されているので、大概のキーボードは今でも使えます。
「キーボードはタッチデバイスにおされ、人気が下がっているのではないか」という危惧もありますが、筆者はそうは考えていません。キーボードはPCを扱う際に必須のデバイスで、まだまだ人気があります。日本では2ちゃんねるのハードウェア板にあるキーボード関連のスレッド、海外ではgeekhack やdeskthority などで多くの愛好家が活発に議論を交わしています。最近では、kickstarter で「keyboard」と検索すると、キーボードに関するプロジェクトも見られます。まだまだおもしろいキーボードは出てきそうです。
最後に、本連載で1人でも多くの方がキーボードに興味を持っていただけたならば、うれしい限りです。
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