LinuxCon Japan 2013 Preview

第3回日本初開催CloudOpen Japanを楽しもう

2012年、The Linux Foundationは新しく年に一度のテクニカルカンファレンス「CloudOpen」と言われるイベントを行うことを決定しました。初回のCloudOpenはサンディエゴで、昨年の8月29日~31日にLinuxCon North Americaと同時開催され、Chef、Gluster、Hadoop、Linux、oVirt、Puppet、Xen、OpenStack、CloudStackなどの技術が多数紹介されました。筆者はこの時期からCloudOpenを日本でも開催して欲しいと強く願っていたのですが、こんなに早くその時がくるとは思いませんでした。

ここ最近、オープンソースクラウドの動きが激しくなるなか、追いつけない方もいるかと思います。このCloudOpenには、オープンソースのクラウドをリードする世界の第一人者が多数東京に集結します。最新オープンソースのクラウド技術を抑えるうえでこの上ないチャンスになるでしょう。ここでは、その中でも最も熱いプロジェクトの一つであるApache CloudStak、The Xen Projectに関して紹介したいと思います。

Apache CloudStack

Apache CloudStackは、IaaS(Infrastructure as a Service)型のクラウドを提供するオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアです。Apache Software Foundationのプロジェクトとして開発され、XenServer、VMware vSphere、KVMなど各種の仮想化ソフトウェアに対応しています。WebベースのUIにより、エンドユーザがセルフサービスで仮想マシンを展開できる環境を構築できるほか、複数ユーザ間でネットワークを隔離してセキュリティを確保する仕組みや、ファイアウォール、負荷分散、VPNなどの機能もデフォルトで提供します。

多数のクラウドサービス事業者に採用され、日本でもIDCフロンティア、NTTコミュニケーションズ、KDDI、SCSK、インテックなどで採用されています。また、サービス事業者だけでなく、企業や大学での実績も豊富です。Zynga社やベクテル社、北海道大学、九州大学、北陸先端科学技術大学院大学、豊橋 技術科学大学などで採用されています。

CloudOpen Japan 2013では下記の2つのCloudStack関連のセッションが予定されています。

Building a test/dev cloud with Apache CloudStack
David Nalley(Apache CloudStack Community Manager)

こちらのセッションでは、開発、テスト環境用のクラウドを構築する際にどのようなオープンソースの技術を使用して構築するのがいいのかを紹介します。仮想基盤技術としては、KVM, XenServerなどのハイパーバイザーを採用し、クラウド基盤技術として、Apache CloudStackを、さらにサーバー自動構成ツールとして、ChefやPuppetなどの技術を利用することで、フレキシブルなクラウド環境を構築できるでしょう。さらに、利用者の使用率を収集する方法なども紹介します。

CloudStack Networking
Hiroaki Kawai(Senior Engineer, Stratosphere)
Kimihiko Kitase(Solution Marketing Manager, Citrix)

Apache CloudStackは、デフォルトでさまざまなネットワーキングサービスを提供することができます。また、必要に応じて外部ネットワーク機器と連携することも可能です。こちらのセッションでは、Apache CloudStackのネットワークアーキテクチャの概要を説明し、デフォルトのネットワーキングサービスの紹介、また外部ネットワーク機器連携、特にApache CloudStackのSDNへのアプローチについて説明します。Nicira NVP、Stratosphere SDN Platform、MidoNet、Big SwitchのSDNコントローラー等が連携(予定)であり、非常に注目されているエリアでもあります。

The Xen Project

OSSハイパーバイザーXenRが、2013年4月15日、Linux Foundation Collaborative Projectになったのをご存知でしょうか? Xenは、元々ケンブリッジ大学のコンピュータラボで開発されたハイパーバイザーで、2003年に公開されました。その後、開発の中心人物Ian Prattや、Simon CrosbyなどがXenSource社を立ち上げ、OSS版と商用版を提供していましたが、2007年、CitrixがXenSourceを買収し、商用版としてXenServerをリリースし、Xenの開発はXen.orgが行っていました。

今回のThe Linux Foundationの発表により、XenはThe Xen Projectと名称を変更し、よりオープンな新しい体制で再スタートすることになりました。そんな新生The Xen ProjectをCommunity ManagerのLars Kurthが解説します。

10 years of Xen and beyond
Lars Kurth(Xen Project Community Manager)

Xen ハイパーバイザーは今年で10歳になります。この10年、Xenはさまざまなクラウドサービスの仮想基盤として採用され、またいくつかの商用のハイパーバイザーにも使用されました。このセッションでは、そんなXenハイパーバイザーの概要や、現在アクティブなサブプロジェクトについて解説します。また、Xenの開発コミュニティーや将来についても解説します。さらに、アーキテクチャー概要やクラウドのセキュリティ、SELinux、XSM/FLASK、準仮想化、Xen on ARM、オープンソースハイパーバイザーのようなトピックスをカバーします。仮想化に興味のあるユーザや開発者向けのセッションですが、初心者にもわかりやすく説明するつもりですので、どなたでも興味があれば歓迎します。

この他にもCloudOpen Japan 2013ではさまざまな興味深いオープンソースのクラウド技術の紹介があるでしょう。セッションを聞くだけでなく、世界から第一人者が集まってくるわけですから、彼等、彼女等とのコミュニケーションができる非常に機会になるでしょう。言語の壁を気にせず、積極的にコミュニケーションすれば、きっと何か得るものがあると思います。海外のエンジニアは言語の壁など全く気にしていません。あまり来ることのない日本にわざわざ来ているわけですから、日本のオープンソースの状況、コミュニティや文化などを知りたいと思っているはずです。ぜひ積極的にコミュニケーションをとっていただければと思います。

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