LL Future×gihyo.jp presents 今年もLLのアツい夏がやってきた!

第4回メディアアートが熱くなってきた

なんで今、メディアアートなのか

メディアアートとは、ファインアートの中でもよりビジネスに近い存在で、実際に我々の日常生活の中で接する機会も散見されるようになってきました。たとえば、ファッション関係のショップでは、着ている服を脱がなくてもそのままバーチャルに試着できる「Interactive Mirror」を試験的に設置しているところがあります。これも、1つのメディアアートです。また、メディアアートの制作に関わる対象者も、従来のファインアート的な活動だけでなく、ビジネスベースのデザインや大学などでの表現の研究など、裾野を広げて来ております。

「LLでアート」のセッションでは、あえて「アート」と強調しましたが、もう少し広くとらえてフィジカルコンピューテイングとしての側面にも注目しております。従来、ソフトウェアプログラマが、考えていたより、容易に各種デバイスを統合的に扱えるようになってきております。スクリプトでソフトウェアを書く延長線上の感覚で、ハードウェアを含めたトータルな表現の可能性や自由度が広がってきております。これは、ProcessingやMAX/MSPなどのメディア処理が得意な言語の発展、GainerやArduinoなどの扱いやすいデバイスの出現が、大きな助けになっております。

フィジカルコンピューテイング

Gainerは、IAMAS(岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)の小林氏を中心に開発されたUSB対応のI/Oモジュールおよびその開発環境です。このI/Oモジュールの先にアクチュエータやセンサーを接続し、Processingなどの言語から利用できます。また、Gainerなどの専用デバイスだけでなく、wiiコントローラを使ったインタラクティブ表現が流行っており、youtubeには、wiiコントローラを使ったおもしろいムービーが多数投稿されております。

デバイスなどが簡単に扱えるようになってくると共に、NYU(New York University)のTom Igoe氏などを代表格とするSketching in Hardwareのような試みも出てきました。ハードウェアをスケッチするというのは、唐突な感じがありますが、スケッチとプロトタイプでは、さほどの違いはありません。インタラクティブデザインでは、できるだけ早い段階で実際に製作し「体験する」ことが、最も重要な開発プロセスの1つとなってきております。これは、ソフトウェア開発におけるアジャイルと似たような効果を狙っているのかもしれません。

LLとの親和性

DMXによる照明機器の制御やMIDIによる音源ボードの制御など、既存の機器やプロトコルを利用し、各種デバイスを利用することができます。これらを統合的に扱いたい場合、たとえばインスタレーションを行うような場合、広義のLLを使えば目的のメディアを切り貼りする要領で便利に利用したり、各メディアの統合や管理をすることがプロトタイピング的に容易に行えます。Sketching in Hardwareという考え方とLLは、極めて相性が良いように思えます。

ここまでデバイスを強調してきましたが、それ以外にも、Processingでプロトタイピング的に製作した3Dイメージを化粧品のテレビCMの映像素材として利用される事例なども出はじめております。

「素材の製作」「切り貼り」は、LLでのスクリプトを記述する感覚に近いのではないでしょうか。UNIXの場合ですと、コマンドをパイプでつないで処理をして行く感覚です。利用したいインタラクティブ表現を一度デジタル化してしまえば、one linerの要領で切り貼りしていけます。

LL Futureをお楽しみに!

メディアアートの製作サイド、メディアを上手に扱うソフトウェア開発サイドのキーマンとスピーカの交渉を進めております。メディアアートの最前線の生の声を聞ける良い機会となると思います。ご期待ください。

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