LL Future実行委員の柴田(ats)です。
開発系のイベントでは「ライトニングトーク」という名前のプログラムをよく見かけます。名前の通り、短い時間で繰り広げられる電光石火の印象的なプレゼンテーションが次々と展開されてゆくプログラムで、とても見応えがあります。参加者のみなさんの中にも、このプログラムを楽しみにしている方が多いはずです。
実行委員の小山さんによると、ライトニングトークとLLとはとても深いつながりがあるようです。「ショートプレゼン」という仕組みを作ったのはPythonカンファレンスで、「ライトニング~」という名前をつけたのはPerlのカンファレンスYAPC。日本で最初にこのプログラムを導入したのは、2001年に開催したYet Another Ruby/Perl Conference(YARPC)で、このイベントは、LLイベントの前身とも言えるイベントです。こう見ると、ライトニングトークはLLのコミュニティの隆盛とともに産声を上げ、日欧問わず一緒に歩みを進めてきたプログラムと言えるのかも知れません。
LLイベントでは、例年プログラムの終わり近くにライトニングトークを開催してきました。もちろん、今年のLL Futureでもクロージング直前のトリのプログラムとして、ライトニングトークを開催します。
カオスだから面白い!
「カオス感」がLLイベントのライトニングトークの大きなウリの1つです。パネルディスカッションや基調講演のようなプログラムでは、プログラムの運営にあたる「番長」が発表者を決めていきます。ライトニングトークでは出場者を一般から公募をします。プレゼンテーションの時間が短いこともあって、年齢、内容や性別などパラエティに富んだトーカーが集まる傾向にあります。
カオス感をさらに高めているのが、「ハードルの低さ」だと思います。純粋に技術的で面白いトークももちろんあるのですが、なぜか毎年のようにデンジャラスなトークが紛れ込んできます。
この方向性の口火を切ったのが、2004年のLL Weekendにご出場いただいた「LL侍」さんではなかったかと思います。2005年のLL Day & Nightにおける竹迫氏の「ppencode」などを経て徐々に状況証拠が蓄積されて行きました。2006年のLL Ringでは、実行委員自体が「プロレスのリングに発表者を上げて時間が来たらゴングを鳴らす」という他団体に真似のできない暴挙に出たことで、「ネタ容認」「カオス上等」という空気感が完全に形成されたと言えます。2007年のLL Spiritで「会場からピザを頼む」という見るだに危なそうな申し込みがあったときも、実行委員会が容認せざるを得なかったのは、むしろ自業自得と言えるかも知れません。
ライトニングトークで未来を作ろう
今年のライトニングトークの募集では、例年にない試みがありました。イベント名「LL Future」にちなんでいくつかのレギュレーションを設けたのです。
今回は「過去のLLイベントで発表したことのない方」「『未来』を感じさせるテーマで発表してくださる方」「若い人(30歳以下)」といった方を優先的に、番長の小山さんが選考を行いました。発表者のリストを見ていただければわかるとおり、今年も濃密でインスピレーションに富んだトークが楽しめると思います。
- twitterで人工無能を作ろう!(予定)
/showyou(studio vesper)
- Client-side database storageで実際にアプリケーションを作成してみた
/藤井太洋(e-frontier)
- 私は如何にしてNarioを作り、一面をクリアしたか
/authorNari(ネットワーク応用通信研究所)
- 「Pit」で救う世界
/庄司嘉織(java-ja)
- Babel21(仮) LLにLLを埋め込んでみた
/yhara/原悠(ネットワーク応用通信研究所)
- Ruby on Railsで実現する自走式Webサーバー
/akio0911/佐藤伸吾(ケイビーエムジェイ)
- ちょっと草植えときますね型言語Grass
/うえのかつひろ(日本Grassユーザー会(仮))
- Scilabで数値計算
/Y.Sawa(東京大学大学院)
- Yet Another Prototype Oriented ~NewtonScriptに見るもうひとつのプロトタイプ指向~
/GNUE/鵺
- 超未来言語 Gallina
/yoshihiro503/今井宜洋(ocaml-nagoya)
- 未来の並列プログラミング言語としての Haskell
/shelarcy
ライトニングトークは見ていて楽しいプログラムですが、一番楽しんでいるのは実は発表者自身なのではないかと思っています。誰でも申し込むことができますし、参加のハードルが比較的低く、発表時間も短いので「腕試し」の場としては最適です。
これまでの発表者の名前を見るとわかるとおり、トークをきっかけにLLの世界で有名になった開発者はたくさんいます。ライトニングトークには「ヒーロー製造器」としての役割があるのです。
今年の申し込みはもう締め切ってしまいましたが、今年のライトニングトークを見て「やってみたい!」と思った方は、ぜひ発表者として参加し、LLの未来を作ってください。