あれから10年、この先10年~gihyo.jp×LL Decade presents

第1回Language Update Decade

LLイベントは、主にスクリプト系プログラミング言語のユーザを対象とする技術カンファレンスです。プログラミング関連の技術発表やパネルディスカッション、ライトニングトークなど、プログラムを書くことが好きな人なら存分に楽しめるセッションの数々が好評で、2003年から続く夏の恒例行事となっています。本連載ではこれから5回にわたって、今年のLLイベント「Lightweight Language Decade」⁠LL Decade)の見どころを紹介していきます。

はじめに今年のイベント名称「LL Decade」ですが、Decadeとは「10年」を表す英単語です。その名の通りLLイベントもついに10年目を迎えました。LL Decadeの開催概要は以下の通りです。

日時2012年8月4日(土)10:30~18:30(19:00から懇親会)
場所銀座ブロッサム
URLhttp://ll.jus.or.jp/2012/

今年は基調講演の話者に世界的なPerlプログラマーである宮川達彦さんをお迎えしたり、夜に懇親会を行ったりと、10年目を記念した特別編成になっています。

なお、懇親会ではライトニングトークの発表者を募集していますので、何か発表したい人はぜひご応募ください。その他、イベントに関する詳細は上述の公式Webサイトをご覧ください。

さて、今回はLL Decadeで実施するセッションの中からLanguage Update Decadeを紹介します。

Language Update Decade

Language Updateは各言語の近況を報告するセッションで、参加者にとっては日頃愛用している言語のことだけでなく、普段使わない言語に関する情報を得たり、あるいは未知の新しい言語と出会うことができます。さまざまな言語のユーザが集うこのイベントならではのセッションであり、LLイベントではほぼ毎年実施されてきました。しかし、セッションの時間は限られているので、紹介できる言語の数も限界があります。また、あまり多くの言語に出てもらうと今度は各言語の持ち時間が短くなり、突っ込んだ話ができなくなります。このあたりのさじ加減が難しいところで、今年はどの言語に何分ぐらい話をしてもらうか、いつも頭を悩ませてきました。

しかし今年に限っては、このセッションで悩むことは一切なく、コンセプトは即決で決まりました。LLイベント10周年なんだから、10年前と同じ言語に、10年分のアップデートを話してもらおうと。

10年前(正確には9年前ですが⁠⁠、第1回のLLイベント「LL Saturday」を開催したときに集まったのは、Perl, PHP, Python, Rubyの4言語でした。これらLLイベントの四大言語に、通常のLanguage Updateだとここ1年の更新状況を話してもらうのですが、今回は10年前と比較する形で言語の進化や推移を語ってもらうことにしました。⁠Language Update Decade」というセッション名もそれに由来します。

しかし、10年分のアップデートを話してもらうには、それなりのキャリアを持った人が必要です。そこで次に考えたのは、LL SaturdayのLanguage Updateを担当した方々に声を掛け、あの時と同じメンバーをそろえることでした。幸運なことに4人とも参加可能という返事があり、10年の時を超えて同じメンバーが再集結という、まさにDecadeの名にふさわしい形が整いました。ここで出演者を紹介します。

Perl小飼弾
PHP廣川類
Python柴田淳
Rubyまつもとゆきひろ
司会法林浩之(日本UNIXユーザ会)

Ruby作者のまつもとさんや、Perlハッカーおよびブロガーとして名高い小飼さんはご存じの方も多いと思いますが、柴田さんはみんなのPython⁠、廣川さんもPHP徹底構築など、それぞれの言語で著書を持つ、名の知られた方々です。

そしてなんと言っても特筆すべきは、10年も経てば1人ぐらいはリタイアしたとか、別の分野に転進したとか、あるいは別の言語に寝返った(笑)とかも十分に有り得るのですが、誰ひとりとしてそういうことがなく、4人ともその言語に関する活動を今なお現役で続けていることです。これは大変なことだと思います。出演者の皆さんがどんな想いでそれぞれの言語に相対してきたか、そんなことも聞いてみたいものです。蛇足ながら筆者もあのときたまたま司会を務めていたため、末席に名を連ねています。

10年目を迎えて

LLイベントも10年目を迎え、歴史を語れるぐらいの長寿イベントになりました。このセッションは、LL Decadeの中でももっとも「歴史」を感じさせるプログラムです。最初期からこのイベントに参加している人には感慨深いひとときとなるでしょう。また、近年この世界に入った人は、言語がどのように変化し、そして現在なぜこういう仕様になっているかなど、歴史を学ぶことで言語に対する理解を深めることができます。Lightweight Languageにも備わってきたヴィンテージの味わいを、ぜひお楽しみください。

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