MA受賞への5つのアプローチ

第1回たき工房メディアエクステンション ~本当にやりたいことを実現して最優秀賞~

日本最大級のWebアプリケーション開発コンテスト「 Mashup Awards(MA⁠⁠」の受賞者の方へのインタビューを連載でお届けします。第1回のゲストは、昨年度(MA5⁠⁠、最優秀賞/Design Oriented Development賞をW受賞された株式会社たき工房メディアエクステンションに所属する市川仁史さん、手塚貴昭さん、前田直仁さんです。

株式会社たき工房は、紙・WEB媒体など広告全般の制作会社で、この度、受賞された皆さんは、メディアエクステンションという部署において、市川さんはプログラマー・手塚さんは3DCGが得意なデザイナー・前田さんはデザイナー兼フラッシャーとしてご活躍されています。

それでは、自分たちが楽しいと思うサービス制作することで、見事、最優秀賞に輝いたお3方に、受賞作品「SocialCombat V」の誕生やMAの魅力についてお聞きしましょう!!

株式会社たき工房メディアエクステンション 『SocialCombat V』 MA5「最優秀賞」「Design Oriented Development賞」W受賞

左から:市川仁史さん、手塚貴昭さん、前田直仁さん
左から:市川仁史さん、手塚貴昭さん、前田直仁さん

こういう機能があったら面白いね。APIは作りながら足していく感じ

-「SocialCombat V」についてのご説明をお願いします。

市川さん:
MA5最優秀賞受賞作品「SocialCombat V」は、⁠ステイタスバトルゲーム」のソーシャル版で、Twitterやmixi等の自分のソーシャルメディアのアカウントでログインすると、そのアカウント名と同じ名前のキャラクターがゲームの中に誕生し、他のキャラクターと対戦できるというゲームです。
MAではAPIを使ったアプリケーションを応募するということで、最初は対象APIのリストをずらっと並べてみんなでアイデアを出し合っていたのですが、APIありきで考えてしまうとアイデアが窮屈になってしまうのではないかと感じられました。そこで、まずはAPI抜きで自分たちが作りたいものは何か考えてみると「バトルゲーム」のアイデアが生まれ、APIは後からはめこむ形で「SocialCombat V」が出来ました。
前田さん:
Flashでリアルタイムに3D表示できる「Papervision3D」というライブラリがあって、たまたまMA5に応募する少し前にPapervision3Dを勉強していて。これをバトルゲームに使えるのではないかと思い、SocialCombat Vの3D表示はPapervision3Dを使っています。
市川さん:
ソーシャルバトルなので各ソーシャルサイトの情報を集めなければならないのですが、情報集めは「Twitter」からはじまりました。ユーザーの「つぶやき」を名詞、動詞などに解析して、そこからピックアップした文言が音声で出るようになっています。必殺技には声が出たら楽しいだろうとか、BGM流れていたらバトルシーンっぽいよね、という流れで機能を追加していきましたね。
手塚さん:
ゲームを作りながら必要なAPIを足していく感じでした。最初からこのAPIを使おうというのではなく、こういう機能があったら面白いね、じゃあ、このAPIが使えるんじゃない?という感覚です。
3人でアイデアを出し合いブラッシュアップ
3人でアイデアを出し合いブラッシュアップ

去年までの作品とは毛色が違った作品。元々広告をやっているので表現に力を入れました。

-MAの最優秀賞で地図を使っていない受賞作品は初めてだそうですが。

市川さん:
去年までの作品とは割と毛色が違った作品だと思います。我々は元々広告をやっているので「表現」に力を入れました。
-ちなみに賞金は何に遣いましたか?
3人:
全部、会社のサーバ運用費用に消えました……。せめて、おいしいものでも食べたかったのですが(笑

-どのような体制で制作されましたか?

市川さん:
MA5応募期間はMA5に集中できるように他の案件はなるべく外してもらって取り組みました。〆切1カ月前くらいから企画を考え始めたので、実際の制作期間は3週間くらいです。後半は休日も出勤して。その期間はほとんどかかりっきりでしたね。
前田さん:
SocialCombat Vの制作は、楽しくて、苦しいけど、帰れない状況でしたね(笑

プログラマー・デザイナー・フラッシャーと、とてもバランスのよいチーム体制

-プログラマー・デザイナー・フラッシャーというチームはいかがでしたか?

手塚さん:
チームバランスはすごくよかったのですが、最終審査会を兼ねた授賞式でのプレゼン資料作成にはデザイナーの私が入るべきだったかなと思いました(笑
市川さん:
MA5の授賞式のときにプレゼンをしなければいけなかったのですが、前日まで何も考えていなくて。フラッシャーの前田に何度も頼み、結局、朝の4時から作りはじめました。
前田さん:
2~3時間くらいかけてFlashで作ったのですが、最終審査会では他の受賞者の方のプレゼンがすごくて。これはヤバイ、もっとちゃんと作り込むべきだったと思いましたね。

-今、注目している新技術、APIなどはありますか?

市川さん:
今、社内のサーバ環境をクラウドにしたいと考えていて、クラウド技術に興味がありますね。⁠Amazon」の他、国内でもクラウドを扱うところが出始めているので。サーバ環境でいいところを探したいですね。
手塚さん:
「WebGL」が楽しみです。⁠Papervision3D」ではポリゴンがあまり出ず欠けたりしてしまったので。
市川さん:
将来的にはSocialCombat VもWebGLに変わる予定ですけど……。そのためにFlashの部分以外はHTMLで作りました。ね、前田さん。
前田さん:
こうやって私にプレッシャーをかけてくるんです(笑)確かに、⁠Papervision3D」ではパフォーマンスの点で苦労しました。チームメンバーがゲームの3Dに詳しく、そのクオリティをWebにも求められるので、そういう点ではまだFlashだとしんどい部分がありますね。そこでWebGLだとできるんじゃないかと折に触れて言われます。
あと、Flash Player 10.1を楽しみにしています。マイクの音をより活用できるかもと。音関係は未知の領域なので楽しみですね。

自分たちが作りたいものを楽しんで作ったら、でっかいオマケがついてきた

-最後にメッセージをお願いします。

前田さん:
SocialCombat Vの制作では、賞狙いというより、自分たちが作りたいものを楽しんで作っていたら、でっかいオマケがついてきた感覚です。
手塚さん:
私もそうです。また、普段はクライアント案件が多く、今回のように自由にできることは少ないので、ここぞとばかりに色々やってみました。日頃できなかったことを、やりたいように楽しんで作れたことが大きな収穫ですね。
市川さん:
触っていて自分自身が楽しいかどうか?を大切にしました。認められるか、賞をとれるかどうかというのは、あまり関係なかったですね。
前田さん:
意識した訳ではないのですが、⁠作りたいものに自然にAPIが乗っている」という点を評価していただいたと聞いて、そのアプローチが間違っていなかったとホッとしています。
ソーシャル版ステイタスバトルゲーム【SocialCombat V】
ソーシャル版ステイタスバトルゲーム【SocialCombat V】
http://socialcombatv.com/

APIを盛り込んだバトルゲームという新しい風をMAに持ち込んだ、たき工房メディアエクステンションさん。様々な分野のAPIが出揃った今だからこそAPIを活用してできるサービスの幅が広がっています。

また、MA5にご応募いただいたきっかけは、メディアエクステンションという部署を外部にもっとアピールすることだったそうですが、昨年は、業務の一環として、MA5の他、paperboy&co.の「戻るボタンアワード」等にも出品し、MA5と「戻るボタンアワード」の連続でグランプリを受賞されています。

たき工房さんの入口にはMA5の賞状、トロフィーと賞金のパネルを飾っていただいていました。ご来社のお客様からも反響があるようです!!
たき工房さんの入口にはMA5の賞状、トロフィーと賞金のパネルを飾っていただいていました。ご来社のお客様からも反響があるようです!!
Mashup Awards 5 (MA5)最優秀賞
受賞作『SocialCombat V』
http://socialcombatv.com/
受賞者 株式会社たき工房 media extension
http://www.taki.co.jp/

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