日本最大級のWebアプリケーション開発コンテスト「 Mashup Awards(MA)」の受賞者の方へのインタビューを連載でお届けしています。第4回のゲストは、昨年度(MA5)、特別賞U-23賞を受賞されたmoco03さんです。
moco03さんは愛知県在住の現役高校生。日本語の文章を1度英語に翻訳し、その翻訳文をさらに日本語に翻訳し直すことで最初の日本語よりもおもしろい文章を楽しむことができる「翻訳しまくり」というサービスで、MA5受賞者の中で最年少の受賞に輝かれました。
それでは、moco03さんにプログラミングとの出会いやMA受賞の経緯などについてお伺いしましょう!!
『翻訳しまくり』 moco03さんMA5 特別賞U-23賞 受賞
「翻訳しまくり」は「Google 翻訳」のAPIを使っています。APIを使って何かできないかと考えたとき、普通に日本語を英語に翻訳するだけでは当たり前ですが、翻訳した英文をさらに日本語に翻訳し直してみるとおもしろい結果になったので、これをサービスにしようと開発に取り組みました。
(例文)
- 原文:
- 犬も歩けば棒に当たる
- 翻訳文:
- If you walk the dog hit the bar
- 再翻訳文:
- あなたは犬を歩けば棒を打つ
土曜日曜の部活が終わった後の時間などを使って開発し、期間は1カ月くらいかかりました。開発を始めると1日それに費やしてしまって宿題が出来なかったりしますが(笑
プログラムを始めたきっかけは何でしょうか?
小学校6年生の頃から父親にもらったPCでインターネットを見ていたのですが、「はてなブックマーク」等でおもしろいサービスを作っているひとを見ているうちに、自分でもこういうサービスを作れたらいいなと思うようになったことがきっかけです。実際にプログラミングを始めたのは中学3年の受験が終わった頃で、受験後の暇な時期を利用してPHPの勉強を始めました。進学先も情報系の大学に進みたいと考えていて、将来もプログラミングの仕事に就きたいです。
元々、身の回りの友だちはPCにあまり詳しくないのですが、自分のつくったサイトを教えて使ってもらったりはしています。今まで1~2人くらいプログラミングを始めたいと言う友だちも出てきて本を貸してみたのですが難しかったみたいです。中高生のプログラマーのひとたちとはインターネット上で知り合っています。
学校でのPCの授業はエクセルやワードの使い方など事務的なもので、プログラム関連の授業はありません。ワードで作った文章をみんなで見せ合って評価するといった感じの授業です。そこでSQLのセキュリティホールをついて変なタグを入れるいたずらをして怒られました。
「翻訳しまくり」には、Twitterとの連動やランキングなどソーシャルな機能も付加されていますが、普段からそういったソーシャルサービスをよく使われていますか?
Twitterをはじめた頃はフォロワーが少なかったので、自分からフォローしまくり、それに反応してくれたひとにフォローしてもらっていました。また、MAの授賞式で知り合った方とは今もつながっていて、ときどき会話しています。特にMAで知り合ったu_nekoさんとは年も近いので色々話しています。
今は受験勉強中で自分用のPCをインターネットに接続できない状態にしているので、Twitterは以前ほどは使っていません。どうしてもPCが必要なときは家族共用のPCを使っています。
おもしろいAPIがたくさんあるので、APIから何かを作る発想があります。
MAはどのようにご存知になりましたか?
MAは、はてなブックマークのニュースで知って、たまたま作っていたサービス、翻訳しまくりがあったので気軽な気持ちで応募してみました。
おもしろいAPIがたくさんあるので、それらを使ってみようと、APIから何かを作る発想がありますね。ただ最近では、APIを単に動かすだけではなくて、自分のサーバー上で会員登録を要するようなサービスも作っていきたいと思うようになりました。APIを動かすだけでは持続性がないものになってしまう気がするので、今後は続いていくサービスを作ってみたいです。
翻訳しまくりの前は「小説by地声」という著作権の切れた小説をコンピューターの合成音声で読み上げるサービスや、「キミのサイトの残り寿命・・・」というサイトのソーシャルブックマーク数の合計で残り寿命を表示するサービスをリリースしていました。「小説by地声」は、最初、作ったことで自己満足してしまったのですが、宣伝しないとアクセス数がまったくなくて……。アクセス数が欲しいと思い宣伝をしてみたら、結構、使ってもらえるようになりました。
授賞式では、新しいひととの出会いがとてもよかったです。
受賞後の生活に変化はありましたか?
PC関連の本は高くて一気には買えなかったのですが、賞金5万円がもらえたので、この機会に思い切ってまとめ買いしてみました。大学に入ったらFlashをやりたいので、MAでもらったお金でFlash関連の本をたくさん買って勉強を始めています。今は、PHPを主に使っていますが、Flashだと表現できる幅が広がるので新しい言語にも挑戦したいと思っています。また、最近では、JavaScriptにもjQueryというライブラリがあって、そういうライブラリがあると取り組みやすいですね。
授賞式への出席に、母親の方は「知らないひとばかりのところに行っていいの?」と心配していたのですが、父親が後押ししてくれました。授賞式がちょうどテスト期間中だったので成績はがつんと落ちてしまったのですが……。
授賞式では、新しいひととの出会いがとてもよかったです。「空飛ぶ」という尊敬しているアプリケーション開発会社があるのですが、特にその会社の方と出会えたことがうれしかったです。
MA以降は、「Twihapi」というサービスをリリースしました。登録するとTwitter友だちの誕生日を教えてくれるサービスで、現在5,000人くらいに使ってもらっています。
また、Twitterは宣伝によく使っていて、サービスを作ったよとつぶやいたものをMAで知り合ったひと等にリツイートしてもらったりしています。
Twihapi以外にも「ブログラフ」というブログの更新情報をグラフ化して更新を促すサービスを作っていて、先日、IDEA*IDEAでブログラフが便利と紹介してもらってからアクセス数が一気に増えました。翻訳しまくりも、IDEA*IDEAで高校生でこういうサービスを作ったひとがいるから使ってあげてねと、紹介されてうれしかったのですが、ブログラフは「便利」と、実用的に紹介された点がうれしくてモチベーションが上がりました。
また、スカイプのチャット機能でも宣伝しています。サイト宣伝にはスカイプを使うことが最も多いかもしれません。「はてな」やWebサービスをつくっている団体など、いろいろなメンバーが集まるチャットルームがあり、そういう場所で告知をするとPCに詳しい方が、「はてブ」等をして広めてくれます。
1度受賞すると、モチベーションも上がるのでアワードへの興味は高いです。
今後、挑戦してみたいことはありますか?
mixiアプリを作ってみたいですね。mixiアプリ開発は18歳未満はNGという制限があるので、大学に入ったら取り組みたいです。
iPhoneもいいなとは思いますが料金が高いので……。今は、iPod touchを使っていて、それで事が足りている感じです。でも、あった方が便利だとは思います。大学生になったら持ちたいです。
また、周りの友だちはPCでの入力がめんどうらしいので、自分がサービスを作るときはユーザーの入力をなるべく少なくするなど、周囲の現状を意識するようにしています。
MA5の受賞者では、moco03さんが最年少だったそうですね。
U-23だと23歳までは毎年、何らかの賞をとりたいですね。次回はTwihapiで投稿してみようと思います。Twihapiでは「WEBデザインアワード(JWDA)というMA以外のアワードに応募して奨励賞をいただきました。
1度受賞するとモチベーションが上がるのでアワードへの興味は高いです。他のアワードにも応募しようと思っています。
最後にメッセージをお願いします。
プログラムと聞くと難しいと思うかもしれませんが、サンプルを動かしながら作っていくと意外とできたり、かたちになるとすごく楽しくなってくるので、まずはやってみて欲しいです。また、見た目が悪いと使ってくれるひとが少ないので、自分もHTMLやCSSも勉強したいです。
【筆者総評】
アイデアを次々に実現し、それを自己満足で終えず、広報宣伝活動を行って、ユーザーを着実に増やしているmoco03さん。U-23の枠にとどまらない大きな可能性を感じます。MAは人との出会いを広げ、またサービスを告知するよい機会。今後も多くの若い開発者の方々に挑戦して欲しいと思います。
- Mashup Awards 5 (MA5) 特別賞U-23賞
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- 受賞作『翻訳しまくり』
- http://h.bokurano.biz/
- 受賞者 moco03さん
- http://d.hatena.ne.jp/moco03/