各国の法律への対応や納税、あるいは料金回収の問題など、製品のインターネット販売にはさまざまな義務やリスクが伴います。こうした負担を解消し、グローバル対応のeコマースサイトを低リスクで始められるのが「MyCommerce」です。ここでは、MyCommerce独自の販売形態について解説します。
ソフトウェアベンダーのグローバル進出を強力に後押し
ソフトウェアの流通形態として、ここ数年で大きく広まったのがインターネットを利用したダウンロード販売です。これにはいくつか理由が考えられますが、中間業者や販売店を介さず、顧客に直接ソフトウェアを販売できることから、流通コストを大幅に削減して利益を拡大できるメリットがその理由の1つとして挙げられるでしょう。
自社のソフトウェアをグローバルに販売できることも、大きな魅力だと言えます。当然ながらインターネットに国境はないため、ダウンロード販売であればソフトウェアを世界中に提供することができます。従来、他国でのソフトウェア販売には、流通網の整備など大きな苦労が強いられました。しかしインターネット上での直接販売なら、そのような手間を大幅に削減することが可能です。
このようなソフトウェアベンダーのグローバル進出をサポートするためのサービスとして、デジタルリバーで提供しているのが「MyCommerce」です。ソフトウェアを販売するための機能を豊富に備えているMyCommerceは、各国・地域の言語や通貨をサポートしていることに加え、クレジットカードや電子マネーなど多様な決済手段に対応しており、自社のソフトウェア製品を海外に販売するための環境を手間なく整えられます。
そして「販売最終責任」をサービス提供元であるデジタルリバーが負うことも、MyCommerceの見逃せない大きな利点です。
海外でのソフトウェア販売で生じる義務とリスク
前述したとおり、インターネットを利用した顧客へのダイレクト販売は流通コストを低減できる大きなメリットがありますが、一方で販売責任をソフトウェアベンダーが果たすことになります。このため、たとえば決済時に入力された個人情報を保護する義務が生じるほか、顧客が返品を求めればそれに対応しなければなりません。
法制度や税制への準拠も大きなポイントになります。インターネットでの商取引が拡大したことにより、そのための法整備が各国で進められています。グローバルでソフトウェアを販売する際には、各国のこれらの法律を理解して準拠しなければなりません。また製品の内容や販売する国・地域によっては、輸出入に関する法律への対応も求められるでしょう。
これらの課題の対処策として、コンサルタント会社などが提供する海外進出支援サービスを利用したり、あるいは現地の業者へ業務を委託したりすることが考えられます。場合によっては、法対応などのために現地法人を設立することもあるでしょう。ただ、外部のサービス利用や現地法人の設立には、相応の支出を覚悟しなければなりません。また、そこで生じたコストを販売価格に転嫁すれば、製品競争力の低下にもつながります。
デジタルリバーが販売主体となるMyCommerce
しかしMyCommerceを利用すれば、販売元はデジタルリバーとなり、販売最終責任もデジタルリバーが負う形となります。これにより、ソフトウェアベンダーはコンプライアンスや税務、あるいはセキュリティやプライバシーに関するリスクを意識することなくグローバル進出を果たせます。
ソフトウェア製品の迅速な市場展開が可能になることもMyCommerceの利点です。そもそもソフトウェア業界は日々変化しているため、ほかの製品カテゴリ以上に販売機会を逃さずにタイミングよく市場に投入することが重要になります。たとえばユーザーにとって有益なソフトウェアの開発したのであれば、ライバルに先んじて市場に投入することで大きな利益の確保が可能になるほか、その後の競争も優位に進められます。しかしeコマースサイトの立ち上げに時間がかかれば、ライバルに先を越されることになりかねません。
特に競合の数が大幅に増えるグローバルでの展開を意識するのであれば、ビジネスにおいてスピードは極めて大切な要素になります。この点でも、迅速なeコマースサイト立ち上げを可能にするMyCommerceには大きなアドバンテージがあります。
MyCommerceを利用したソフトウェア販売の流れ
それでは、アメリカの消費者がソフトウェアを購入した場合を例に、MyCommerceにおける販売フロー見てみましょう。
顧客がソフトウェアを購入すると、デジタルリバーはMyCommerceのユーザー企業であるソフトウェアベンダーから製品を購入し、それを顧客に対して販売します。デジタルリバーが代理店/再販業者となり、顧客に製品を販売するという形です。
製品を販売したデジタルリバーは、顧客から製品代金と必要に応じて税金を徴収します。なおMyCommerceは物理的なパッケージ製品の販売にも対応しており、その場合はユーザー企業、もしくはデジタルリバーが提携している物流会社に対し、顧客に商品を発送するように受注データを送ります。
製品の販売代金は、MyCommerceの手数料や売上税などの税金が差し引かれた後、ソフトウェアベンダーに月1回振り込まれます。なお税金は各国の税務当局(この例ではアメリカの州税務当局)にデジタルリバーが納税します。
不正取引のリスクもデジタルリバーが負担
このようにMyCommerceでは、デジタルリバーが販売主体となることで、料金の回収や先に解説した返金処理の対応、税金のハンドリングを行っています。また、不正取引や詐欺行為に対するリスクもデジタルリバーが引き受けていることの1つです。実は地域によっては不正なクレジットカード決済が多発しており、不正取引のリスクは決して小さくありません。
日本でのダウンロード販売は不正取引や詐欺の割合が極めて低いことから、こうしたリスクは小さいと考えてしまいがちです。ただ、それはあくまでも日本国内に限った話であり、ほかの国・地域まで同じ物差しで測るべきではないでしょう。こうしたリスクから解放されることもMyCommerceを利用する、大きなメリットの1つになっています。
このほかデジタルリバーでは、顧客に対する現地語でのカスタマーサービス、そして細かなストアオペレーションまで代行しています。特にダウンロード販売などに対する問い合わせに対し、自社で対応する必要がないことは、大きな負担軽減となります。
eコマースサイトのブランドはソフトウェアベンダー自身でコントロールできることも見逃せません。さらに通常の販売代理店などと異なり、販売価格の決定権もソフトウェアベンダー側にあるため、安売りなどによる製品価値の毀損の不安がないこともMyCommerceの利点です。
日系企業の海外進出は、まず安価な労働力を求める製造業から始まりましたが、現在では流通業やサービス業も積極的に世界に打って出ています。人口減の影響によって国内市場が収縮し続けていること、そして海外には成長余地を残す魅力的な国・地域が数多く存在していることを考えると、その判断は企業として必然であると言えるでしょう。ソフトウェア業界においても、将来に渡って成長し続けるためには、事業のグローバル展開は避けて通れません。その第一歩として、リスクを軽減して海外販売を可能にするMyCommerceは有用なツールではないでしょうか。