ソフトウェアのダウンロード販売に特化したeコマースプラットフォームとして、
幅広いソフトウェア製品の販売に使われるMyCommerce
- ――まず、
「MyCommerce」 を利用している企業の概要を教えてください。 高橋氏:MyCommerceのユーザー企業は現在6,500社で、
企業規模にかかわらずご利用いただいています。できるだけ手間をかけずに販売したいというお客さまのために、 MyCommerceの上位版となる 「Global Commerce」 も提供していますが、 オペレーションにかかわる多くの部分を私たちで代行するため、 相応の費用が発生します。一方、 MyCommerceは初期費用も月額費用もかからないレベニューシェア型でハードルが低いことから、 これから海外向けダウンロード販売を始めるという企業の多くがMyCommerceを選択している状況です。 - ――MyCommerceでは、
どのような種類のソフトウェアが販売されているのでしょうか。 高橋氏:こちらも幅広いですね。コンシューマ向けの製品で言えば、
マルウェア対策などのセキュリティ系、 映像や音楽を編集するマルチメディア関連のアプリケーション、 そしてデータリカバリやバックアップといったユーティリティなど、 さまざまなソフトウェアの販売にMyCommerceが使われています。 MyCommerceを利用して、
ハードウェアベンダーがソフトウェアのダウンロード販売に乗り出す事例も増えています。ハードウェアに付属しているソフトウェアを単体で販売する、 あるいはハードウェアと同じ機能を持つソフトウェアを提供するといった形です。ハードウェアをグローバルで展開するためには、 流通網の整備をはじめとするさまざまなハードルをクリアする必要がありますが、 ソフトウェアであればダウンロード販売の形で手軽に提供することが可能です。今後、 こうしたビジネスが広がる可能性は高いでしょう。 企業向けのソフトウェア製品のダウンロード販売にもMyCommerceは使われています。たとえばサーバー仮想化ソフトウェアやCAD製品などですね。価格が数十万円になるため、
日本ではあまりダウンロード販売で買うというイメージはないかもしれません。ただ海外の企業では、 この価格帯の製品をクレジットカード決済で買うことは決して珍しくないんですね。最近では、 蓄積したデータを分析するために使う、 BI (Business Intelligence) と呼ばれるカテゴリの製品もよく売れています。従来のBIはそれなりの規模のシステムでしたが、 最近ではデスクトップPCで利用できる製品が増えており、 こうした背景からダウンロード販売が伸びているようです。 また、
日本の場合はシステムインテグレータが製品のセットアップなどを行う形態が一般的ですが、 アメリカなどではユーザー企業が自らインストールや設定を行うケースが少なくありません。実際、 このような文化の違いもあり、 グローバルでは多くのお客さまがMyCommerceで企業向けの製品を買われています。
クラウドサービスの課金にMyCommerceを活用する企業も
- ――売上が伸びている販売形態はどのようなものですか。
高橋氏:フリーミアムモデルを採用した製品の売り上げが伸びています。一部の機能は無償で使えるのですが、
特定の機能を使う場合には課金が発生するという形です。その事例の1つとして挙げられるのが、 あるセキュリティベンダーが販売しているウイルス対策ソフトです。ほとんどの機能は無料で使えますが、 高度な機能を利用する、 あるいは高機能版へアップグレードする際に料金が発生します。このビジネスモデルでヨーロッパを席巻し、 アメリカでもシェア上位のプレイヤーを脅かす存在に成長しました。 一定期間ソフトウェアを利用する権利を販売する、
サブスクリプションモデルの売上もいいですね。ここ2年ほどの統計を見ると、 MyCommerceを利用している企業の15~20%がサブスクリプションモデルに移行していて、 それによって1割から2割程度の売上アップを果たしています。フリーミアム同様、 ソフトウェアを利用する際の敷居が低くなるメリットを考えると、 今後も伸びていくのは間違いないでしょう。 ユニークなところでは、
クラウドサービスの課金の仕組みとしてMyCommerceを利用する形態もあります。基本的にはサブスクリプションと同様なのですが、 ソフトウェアではなくサービスをクラウド上で提供するというわけです。今後はこういったニーズも高まると予想しています。
- ――ソフトウェアのダウンロード販売の仕組みを提供するサービスはいくつかありますが、
それら競合と比較した場合のMyCommerceの利点を教えてください。 高橋氏:コスト負担を抑えられること、
マージンが低いことがまず挙げられますが、 それ以上にユーザー企業に評価されているのはマーケティング情報の共有です。 MyCommerceでは、
エンドユーザーが商品を購入した場合、 クレジットカード情報以外のすべてをユーザー企業と共有します。このため、 たとえば登録されたメールアドレス宛に新商品の情報を送るなど、 さまざまなマーケティング施策を展開することが可能です。しかし競合サービスでは、 商品を購入したユーザーの情報がソフトウェア開発会社に渡らないため、 顧客と直接コミュニケーションすることができません。この点は大きな違いであると考えています。
オンラインゲーム用のeコマース基盤も提供
- ――グローバルにソフトウェアを販売する際、
どういった点に注意すべきでしょうか。 高橋氏:まず第三者のクレジットカードを使った商品の購入、
あるいは返金の仕組みを悪用した詐欺行為など、 不正行為への対応を考えるべきです。先日、 MyCommerceを使っているある企業がキャンペーンを実施し、 1カ月で約5000件の注文がありました。そのうち、 20件程度は不正が疑われる注文で、 MyCommerceが備えている不正対策エンジンでブロックしています。ちなみに、 この不正対策エンジンには提携している金融機関と共有しているブラックリストが組み込まれているほか、 ユーザーの振る舞いから不正を検知する機能があります。グローバルでeコマースを展開する際には、 このような仕組みは必須だと考えるべきでしょう。 リバースエンジニアリング対策も重要です。基本的に日系企業では、
リバースエンジニアリング対策を行っていないケースが多いのですが、 それをそのままグローバルに展開すると、 勝手に海賊版が作られたり、 ソフトウェアに含まれる知的財産が盗まれたりするリスクがあります。そこでMyCommerceでは、 ソフトウェアの著作権保護ソリューションと連携するための仕組みを備えています。こういった対策も事前に検討したいところです。 - ――デジタルリバーでは、
MyCommerce以外にどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。 高橋氏:冒頭でお話したGlobal Commerceのほか、
オンラインゲームに特化したソリューションも提供しています。ユーザー管理やアイテム課金を含む決済機能、 MyCommerceと同様の不正行為対策などを提供していて、 すでに多くのメジャータイトルの配信に使われています。自社で開発したPCゲームタイトルをグローバルに展開したいと考えているのであれば、 ぜひご相談いただきたいですね。
- ――最後に、
MyCommerceの今後の展開について教えてください。 高橋氏:さまざまなプランがありますが、
1つは決済対応通貨の拡充です。特にアジア圏ですね。すでに対応している国もありますが、 さらに拡充させます。それと関連して、 決済手段の数も増やしていく予定です。グローバルではさまざまな決済手段があり、 その国だけで使われているローカルな決済サービスも少なくありません。決済手段の多様性はエンドユーザーのメリットにも直結するため、 力を入れていきたいと考えている部分です。 また日本においては、
パートナーと連携してMyCommerceの導入を支援するための仕組みを整える予定です。これまで以上に手厚いサポートを提供するべく準備を進めているので、 ぜひご期待ください。
MyCommerceの導入事例等、