デジタルコンテンツを日本から世界へ―MyCommerceで始める越境EC

第6回ユーザー企業に聞く、MyCommerceを選んだ理由

幅広いソフトウェアおよびハードウェア製品のオンライン販売を手がけているアクト・ツーでは、決済部分のシステムとしてデジタルリバーのMyCommerceを採用しました。その背景にはどのような経緯や理由があったのか、同社のC.E.O.である加藤幹也氏にお話を伺いました。

低コストでダウンロード販売を実現できることが魅力

――まず、MyCommerceの導入に至った経緯を教えてください。

加藤:アクト・ツーがダウンロード販売を開始したのは1996年で、これまで自社開発、自社運営に取り組んできたという経緯があります。デジタルリバーのサービスは以前から知っていましたが、以前はイニシャルコストやランニングコストが高く、導入を見送っていたんです。ただ、1年ほど前に改めて話を聞いてみると、我々にとってメリットのある価格体系になっていたほか、サービスの質を高めるためにさまざまな努力をしていることが分かり、本格的に検討することになりました。

株式会社アクト・ツー
代表取締役社長 加藤幹也氏
株式会社アクト・ツー代表取締役社長 加藤幹也氏

このときにポイントになったのは、ダウンロード販売におけるリスクです。自前で運営した場合、当然ですが100パーセント自分たちのリスクでダウンロード販売に対応しなければなりません。しかしデジタルリバーのサービスを使えば、決済についてのリスクは自分たちでリスクを負う必要はないわけです。また自社でダウンロード販売のための仕組みを開発した場合、それを維持管理していくことの労力やコスト面での負担も大きなものになります。そもそも私たちはダウンロード販売のシステムを開発することを糧にしているわけではないので、よいサービスが外部にあるのならアウトソーシングすべきだろうという結論に到りました。

――どういった点にMyCommerceの魅力を感じられましたか。

加藤:まずコストですよね。自社開発も不可能ではありませんが、開発や運用維持にかかるコストを考えると、MyCommerceを利用した方が負担は少ないでしょう。それと多言語、多通貨をサポートしていること、そして各国で求められる税務処理が不要である点もメリットだと感じています。

最近広まりつつある、サブスクリプション形式に対応しているのも特長ではないでしょうか。しかもサブスクリプションの利用期間も細かく設定することができます。こうした機能まで含めて、自前で仕組みを作るのは容易ではないでしょう。

――MyCommerceはレベニューシェア型の料金体系で、売上をデジタルリバーとサービスを利用するユーザー企業側でシェアする形になっています。この点は気になりませんでしたか。

加藤:そこは一番気になるところで、もっとも検討すべきところでしょう。最終的に、レベニューシェアの割合は許容範囲だと判断しました。むしろ、自社で開発することを考えれば安いと言えるのではないでしょうか。

アクト・ツーのソフトウェア製品販売ページ。各製品ページにある「購入ページへ」をクリックすると、デジタルリバーの決済ページへ遷移する
アクト・ツーのソフトウェア製品販売ページ。各製品ページにある「購入ページへ」をクリックすると、デジタルリバーの決済ページへ遷移する アクト・ツーのソフトウェア製品販売ページ。各製品ページにある「購入ページへ」をクリックすると、デジタルリバーの決済ページへ遷移する

ハミングヘッズのセキュリティ製品をグローバルに販売

――現状はどのようにMyCommerceを利用されているのでしょうか。

加藤:昨年、アクト・ツーのダウンロード販売のシステムを一新し、そのデジタルコンテンツの決済部分でMyCommerceを使っています。また、セキュリティ製品である「Defense Platform」のインターナショナルサイトの決済機構としても導入しました。Defense Platformはハミングヘッズのセキュリティ製品であり、アクト・ツーはグローバルを含めて販売をサポートしています。

――Defense Platformとはどのような製品でしょうか。

加藤:世界的にも珍しいホワイトリスト型のセキュリティ製品であり、これまでは主に官公庁や社会インフラに携わる企業などで使われてきました。

ホワイトリスト方式は、事前に許可されていない操作やコマンドの実行は遮断するという考え方でセキュリティを確保するものです。Webサイトの改ざん防止を目的とした製品が採用したことで、一般にも認知されるようになりました。ただクライアントPCのセキュリティ向上を目的とした場合、許可すべき操作があまりにも多いために開発は困難です。海外では、私が知っているだけで4~5社がホワイトリスト方式のセキュリティ製品の開発に乗り出しましたが、その多くが途中で頓挫しています。これをやり遂げたのがハミングヘッズであり、そこには日本人特有の根気強さがあったのではないかと思います。

既存のセキュリティ対策としてもっとも広まっているのはウイルス対策ソフトですが、あまりにもマルウェアの種類が増えすぎてしまったことから、全世界に広まっている既存のマルウェアの75%を検知できないと言われています。また脆弱性が見つかって即座に攻撃を行うゼロデイ攻撃も、従来のセキュリティ対策で阻止するのは困難です。

プログラムを書くことでさまざまな用途で使うことができることがPCの大きなメリットですが、それはマルウェアを作れることにもつながるわけです。このことを突き詰めると、ホワイトリスト方式でしかセキュリティを担保することはできないのではないかと考えています。

現在は企業規模にかかわらず、サイバー攻撃などによって多くの情報漏えい事件が発生しています。そうした状況の中、有効なセキュリティ対策であるホワイトリスト方式のセキュリティ製品をMyCommerceを通じて広めていきたいですね。

ハミングヘッズの「Defense Platform」の海外向け販売サイト。こちらでも決済部分についてはMyCommerceが使われている
ハミングヘッズの「Defense Platform」の海外向け販売サイト。こちらでも決済部分についてはMyCommerceが使われている

グローバルへの展開ではマーケティングも重要

――海外向けにソフトウェアをダウンロード販売する際、どういった点に注意すべきでしょうか。

加藤:ソフトウェアの品質が高いこと、そして適切なマーケティングを実施すること。この2つが揃っていなければ難しいですね。特に現在は情報量が多いため、簡単にほかの製品に埋もれてしまいます。そのため、どうやって人を惹き付けるか、そのマーケティングの部分が大切になります。

それとネイティブのチェックを受けることも重要でしょう。私たち日本人が海外の製品を見るとき、翻訳がつたなくて違和感を感じることが少なくありません。逆に言えば海外の人たちにとっても、翻訳の精度が低ければ同じ違和感を覚えることになります。そのため、ユーザーインターフェイスやWebサイトをはじめとするマーケティング施策において、ネイティブな人間がチェックすることは欠かせないでしょう。

――最後に、ダウンロード販売を検討している企業にアドバイスをお願いいたします。

加藤:アドバイスというと僭越ですが、もしソフトウェアを開発していて従来の流通形態で販売しているのであれば、平行してダウンロード販売の仕組みを絶対に持つべきだと思います。特に個人のレベルでは、急速にダウンロード販売に移行しています。MyCommerceであれば初期費用をほとんど掛けずに始められるので、まずは国内を対象に始めてみてはいかがでしょうか。

――本日はありがとうございました。

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