MySQL 5.6とそれ以前のrpm版(以下、旧rpm版)は"MySQL-*"と大文字小文字交じりでしたが、yum版は"mysql-*"と小文字のみのパッケージ名になっています。また、Oracleが提供しているyum版のパッケージは"mysql-community-*"とコミュニティ版であることが明示されたパッケージ名になっています。
MySQL 5.6までは"root@localhost", "root@127.0.0.1", "root@サーバのホスト名"など複数のrootアカウントと、yum版ではそれに加えて匿名ユーザ "''@localhost"などが作成されていましたが、MySQL 5.7では"root@localhost" のみを作成します。skip_name_resolveオプションが有効な環境下ではlocalhostと127.0.0.1は別のホストとして扱われるため、TCP接続の場合は注意してください。
rootアカウントの仮パスワード
MySQL 5.6までは旧rpm版でのみ仮パスワードが生成され"/root/.mysql_secret"ファイルに出力されていましたが、MySQL 5.7ではデフォルトで仮パスワードが生成されるようになっています。また、出力先も"/var/log/mysqld.log"(MySQLのエラーログファイル)に変更になっています。
MySQL 5.6まではGRANTステートメントで権限を付与すると同時にアカウントを作るやり方が一般的でしたが、MySQL 5.7ではこのやり方はワーニングまたはエラーになるようになりました(IDENTIFIED BY句なし、つまりパスワードなしのアカウントをGRANTと同時に作成しようとした場合はエラーになります)。今後はCREATE USERステートメントでユーザを作成後にGRANTステートメントで権限を割り当てるやり方になります。CREATE USERステートメント自体は旧来からサポートされているステートメントであるため、今後の互換性を考えた場合は現在から新しいやり方に変えておく方が良いでしょう。
secure_file_priv
secure_file_privオプションはLOAD DATA INFILEステートメントやSELECT INTO OUTFILEステートメント、LOAD_FILE関数の動作ディレクトリを制限するためのオプションです。オプション自体は旧来から存在しましたが、デフォルトは""(空文字列、任意のディレクトリ内でLOAD DATA INFILEなどを許可)でした。MySQL 5.7ではdeb, rpmなど一部のパッケージものに限り、デフォルトとして"/var/lib/mysql-files"が設定されるようになっています。そのため、デフォルトの状態では"/var/lib/mysql-files"以外のディレクトリからLOAD DATA INFILEなどで読み込もうとした場合にエラーになるようになりました。
アカウントの自動失効
MySQL 5.7で新しく追加された機能の1つに、アカウントの自動失効機能があります。これは最後にパスワードを変更した時間からデフォルトで360日が経過すると、そのアカウントをEXPIRE(無効化)しその後のログインを許可しないという強烈なオプションです。テストのために都度ビルドして利用するようなケースで問題になることは少ないかと思いますが、作成したイメージをそのまま長期間利用する(あるいは、ビルド時にユーザを作成し、その後アカウントが追加されることはあってもパスワードが変更されることはないようなケース)場合はこの機能をOFFにしておいた方がいいでしょう。