OpenStack Days Tokyoの歩き方

第2回「OpenStack Days Tokyo 2015」国際サミットへつながるイベント(後編)

2015年2月3日・4日、グランドプリンスホテル新高輪において「創る、活かす、つなぐ」をテーマに掲げて開催される国内唯一のOpenStack専門カンファレンスOpenStack Days Tokyo 2015⁠。OpenStackに強くコミットし、このイベントを牽引する日本HPとNECのOpenStackへの取り組みとセッションのポイントをうかがいました。

日本HPのOpenStackへの取り組みとセッション内容

日本HPは、OpenStack Days Tokyo 2015のダイアモンドスポンサーとなっており、2日目の 2月4日に「OpenStackを『創り、活かし、つなぐ』HP Helion」というセッションを行います。同社の真壁徹氏は、今回のセッションでは、OpenStack Days Tokyo 2015のテーマを全てカバーするといいます 。まず「⁠⁠創る』においては、インフラに強みを持つHPですので、OpenStackそのものをディストリビューションとして売り始め、それに対応するハードを創ることは、来場者の方にもわかりやすいと思います。 HPとしても、地に足を着けてやっていきます。それよりは、次の2つに力を入れています。

まず『活かす』では、OpenStackをクラウドOSとすると、それを使いこなすアプリケーション、クラウドネイティブのアプリケーションを作る仕掛け、動かす仕掛けとして、HPは「Deveropment Platform」というクラウドファウンドリーのディストリビューションをリリースします。その仕掛けを使って、OpenStackをとことん使いこなせる話、こういうアプリを作ればこういうことができますよ、という話をする予定です。

そして『つなぐ』です。エンドユーザさまはもちろん、SIerさまやプロバイダーさまといったパートナーさまでもHPの製品を使ってOpenStackの環境を作る機会が増えてきています。すると今後は、エンドユーザさまとパートナーさまをつないでいくケースも多くなるのではと考えています。また、HPのクラウドサービスは北米中心に展開していますが、来年から、本格的に世界展開する予定です。そうすると、HPのクラウドサービスが日本のユーザにも使われて、かつオンプレミスやパートナーさまのOpenStackのクラウドとつながっていきます。そんな世界を作っていきたいと思います」と概要を説明してくれました。

日本ヒューレット・パッカード
クラウド テクノロジスト グループ
技術担当部長 真壁徹氏
日本ヒューレット・パッカード クラウド テクノロジスト グループ 技術担当部長 真壁徹氏

また「HPは自社技術でクラウドをやろうと様々なトライをしましたが、現在、Helionブランドのもと、クラウドは全面的にオープンソースへシフトしています。HPはもともとハードウェアやインフラソフトウェアに強いのですが、最近はその上のアプリにまで手を出しています。⁠そこまでオープンソースでやるのか』⁠HPは少し戦い方を変えてきたのでは』という反応が多くなっています。そういう反応がセッションでもいただけるのではと期待しています⁠⁠真壁氏⁠⁠。

NECのOpenStackへの取り組みとセッション内容

鳥居氏はNECのOpenStackへの取り組みについて、⁠NECはOpenStackに関しては国内ベンダでは一番投資している会社だと思います。OpenStackに早期に参加し、OpenStack Foundationのゴールドメンバーにもなっています。特にコントリビューションについては、OpenStackコミュニティの活動の統計がWebでランキングを確認できますが、NECは直近で6~8位に常にランクインしています。それだけOpenStackにコミットしているということです」といいます。

NECはベンダであり、クラウドの領域では他のソリューションも提供しています。しかし、オープンソースであるOpenStackを使うことによって、お客様と一緒にひとつのシステムを作り上げていくことができるのが大きなメリットであるといいます。具体的な事例として、先日発表された、NTTドコモとのOpenStackの大規模システムの検証があります。ドコモと一緒に、NECが強いネットワークの部分で、OpenStackがどれだけ使えるのかを検証したという内容でした。

またOpenStackの有効なマーケットとして、テレコムの分野でNFVが盛んに言われています。テレコムオペレータとベンダが一緒になってNFVを検証していくOpen Platform for NFV(OPNFV)という組織ができましたが、NECはそこに参加しており人材や資金を提供しています。これもお客様と共にシステムを創っていくというコンセプトに合致しています。OpenStack Days Tokyo 2015では、NECがOpenStackを単にソフトウェアとして提供するだけでなく、オープンソースであるOpenStackを使ってお客様のシステムを一緒に創っていくというメッセージを出していきたいといいます。

日本電気
ソフトウェア技術統括本部 OSS推進センター
鳥居隆史氏
日本電気 ソフトウェア技術統括本部 OSS推進センター 鳥居隆史氏

NECは2月3日に「OpenStackを活かすNECのクラウドサービスとソリューション」と題したセッションを行う予定です。タイトルと中身は調整中といいますが、NFVの話は出していくそうです。テレコムのシステムのような、ミッションクリティカルに近いコアな部分のシステムをOpenStackで動かすということが、すでに始まっています。その技術やシステムの知見はエンタープライズのお客様のシステムにおいても応用できます。⁠高い知見からの技術トレンドから、詳細技術まで含めてお話をする予定ですので、なかなか聞けない話になると思います。期待してください」と鳥居氏。

クラウドが本当はどういうものかがわかる

どのような方に来場して欲しいかを中島氏にうかがうと、⁠クラウドになんとなく違和感を感じているような人にはぜひ来て欲しいと思います。クラウドと言われてやってきたけど、本当にこれでいいのかと思っている方は多いと思います。OpenStack Days Tokyo 2015に参加することで、クラウドが本当はどういうものかを理解できると思います。それは創る立場も使う立場も同様です」といいます。

さらに2015年10月には、たぶん国内でも過去最大級のオープンソースのイベントとなる「OpenStack Summit」が開催されます。そこでは世界の最前線がどう動いているのか、技術の面でもビジネスの面でも情報を仕入れることができますので、そこに参加することはすごく意義があるでしょう。そのための予備知識、予習としてもOpenStack Days Tokyo 2015は十分に価値があります。⁠国内のベンダを含めた最新動向、使い方などを広く学んでおいて、興味のあるところを次のOpenStack Summitでより一歩踏み込んで、世界の最前線の人達と会話することもできると思います」⁠中島氏⁠⁠。

鳥居氏は、⁠OpenStack Summitのキーノートでは、開催された地域のOpenStackユーザが、壇上でトークセッションをします。日本で開催されるOpenStack Summitでは当然、日本のユーザがキーノートで登壇して欲しいと思います。OpenStack Days Tokyo 2015でいろいろ知識や情報を仕入れてもらうことで、OpenStack Summitで交わされるセッションやオフラインでの技術者、利用者同士の会話にも積極的に参加できるようになるでしょう。オープンソースは誰でも参加でき、コントリビューションできて、誰もがユーザとして発言ができる世界です。そこにいろんな人に飛び込んでいって欲しいですね。東京でのOpenStack Summitはすごくいい機会だと思います」と意気込みを語ってくれました。

日本では、NECを中心にOpenStackのコアな開発をやっている世界トップクラスのエンジニアも何名か育ちつつあります。⁠そうなりたいと思っているエンジニアの方はぜひOpenStack Days Tokyo 2015とOpenStack Summitに参加して、自分のエンジニアとしてのスキルだけでなく、それを世界に発信する場として活用していただければと思います」と中島氏は締めくくってくれました。

OpenStack Days Tokyo 2015

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