OSSデータベース取り取り時報

第5回「MySQL User Conference」、「PostgreSQLカンファレンス 2015」開催

2015年12月に、日本で2008年以来となるMySQL User Conferenceと、昨年に引き続きPostgreSQLカンファレンスが開催されました。

[MySQL]2015年12月の主な出来事

MySQL 5.7のリリースやMySQLの開発開始から20年、日本MySQLユーザ会15周年、またオラクルが開発するデータベース製品として5年経過したことなどを記念し、MySQL User Conferenceが開催されました。この名称のイベントは旧MySQL社時代の2003年に米国で初めて開催され、日本でも2007年やサン・マイクロシステムズ時代の2008年に開催されていました。また夜にはGREE株式会社主催によるGREE Tech Talk #09がMySQLをテーマに開催され、懇親会的な位置づけとなっていました。

MySQL User Conference Tokyo, Japan 2015

日本で7年ぶりとなる開催には、MySQLを活用されているユーザ企業やコミュニティの方々から幅広いテーマでの講演があり、多くのお客様にご来場いただきました。分散型DBクラスタのMySQL Clusterを活用した事例としては、日本ヒューレット・パッカードによるジェイアール東日本情報システムでの「障害情報システム」の紹介が注目を集めていました。ヤフー株式会社グリー株式会社で大規模なMySQL環境を構築運用しているエンジニアによるとがったテーマのディープな技術セッションや、 日本MySQLユーザ会の会長と2名のOracle ACEの共演など、非常に豪華なラインナップでした。当日の主な資料はMySQLのサイトにて公開されています。

MySQLアドベントカレンダー

年末恒例となるIT系のアドベントカレンダーですが、MySQL関連のアドベントカレンダーも開催されていました。通常アドベントカレンダーでは参加者が持ち回りでブログや記事を書くのが通例のようですが、MySQL関連の2015年のアドベントカレンダーは4本のうち3本が一人で25日間書き上げるという異例の展開でした。日本MySQLユーザ会の会長も思わずMySQLの人たちちょっとおかしいとネタにするほどでした。

MySQL Casual Advent Calendar 2015
http://qiita.com/advent-calendar/2015/mysql-casual
MySQL Fabric&Routerつらくない Advent Calendar 2015
http://qiita.com/advent-calendar/2015/mysql_fabric
MySQL 5.7の「罠」に狙われてもやられないため の Advent Calendar 2015
http://qiita.com/advent-calendar/2015/mysql57-yoku0825-traps
MySQLマニュアルを読む Advent Calendar 2015
http://qiita.com/advent-calendar/2015/mysql_manual

先月のMySQL関連イベントやセミナー、ユーザ会の活動のレポート

初心者向け!MySQL 5.7入門セミナーシリーズ
毎回大好評をいただいているMySQL入門セミナーシリーズがMySQL 5.7に対応し、12月7日、8日の2日間にイントール、レプリケーション、バックアップ/リカバリ、パフォーマンスチューニングの全4回分の内容で開催されました。これからあらたにMySQLを利用される方に向けて、最新の導入や構築のためのノウハウを提供するセミナーです。全4回分の資料はMySQLのサイトにて公開されています。

[PostgreSQL]2015年12月の主な出来事

2015年11月27日に日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)主催のPostgreSQLカンファレンス2015が開催されました。この日本最大級のPostgreSQLのイベントでは、PostgreSQLに関連する最新技術や最前線のビジネス情報を得ることができるため、PostgreSQLに興味のある方々が初心者、上級者を問わずに全国各地から集結します。今年のイベントはPostgreSQL開発者の一人であるMichael Paquier氏による基調講演から始まり、例年通りPostgreSQLへの関心が高まる一日となりました。このイベントの詳細は、後述の「先月のPostgreSQL関連イベントやセミナー、ユーザ会の活動のレポート」にてご報告いたします。

また、2015年12月12日には参加者が自分の話したい内容、相談したい内容を持ち寄る第6回 PostgreSQLアンカンファレンス@東京も開催されました。

PostgreSQL 9.5の開発進捗

PostgreSQL 9.5のRC版(正式版直前の最終フェーズ版)が2015年12月18日にリリースされました。PostgreSQL 9.5.0(正式版)は、当初の予定からずれて2016年1月にリリースされる予定です。

PostgreSQL 9.5の主な新機能(2)

前回に続いて、PostgreSQL 9.5の主な新機能を簡単にご紹介いたします。

GROUPING SETSとCUBE、およびROLLUP
SQL標準(SQL99)のグループ処理である、GROUPING SETS、CUBE、ROLLUPの機能が追加されました。What's new in PostgreSQL 9.5の例にあるように、単独のクエリで小計値を求めることが可能となります。
pg_receivexlog
PostgreSQL 9.2で追加されたWAL(トランザクションログ)をストリームするためのクライアント・アプリケーションですが、PostgreSQL 9.5から同期モードが使用可能となりました。これにより、耐故障性を向上させた、より強固なシステムが構築可能となります。
pg_rewind
PostgreSQL 9.4までは、フェイルバック時に代替システムからのフルベースバックアップが必要でした。PostgreSQL 9.5から加わったpg_rewindによって、元のシステムのデータに代替システムとの差分を当てるだけで、そのデータを再利用したフェイルバックが実現できるようになりました。これによりフェイルバックの所用時間が大幅に短縮されることが期待されます。
wal_compression
GUCパラメータ(PostgreSQLの設定パラメータ)にwal_compressionパラメータが追加されました。wal_compressionを有効にすることで、フルページ・イメージ(full_page_writesが有効となっているときに書き出されるページの内容)が圧縮されるようになり、WAL量を減少させることができます。

先月のPostgreSQL関連イベントやセミナー、ユーザ会の活動のレポート

PostgreSQLカンファレンス2015
冒頭でもご紹介しましたが、2015年11月27日にPostgreSQLカンファレンス2015 が開催されました。まず午前の部ではオープニングセレモニーと次の2つの基調講演が行われました。一つ目は、PostgreSQLの開発者であるMichael Paquier氏によるPostgreSQL 9.5の新機能の紹介です。UPSERTやBRINインデックス、Row-Level Security、pg_rewindなど、注目を浴びている新機能を、実行例を交えながら細かく解説されました。二つ目は、株式会社アシストの徳原氏による講演です。PostgreSQLの導入事例や導入時の課題、今後の展開など、今まで体験されてきた話を中心に業務サイドに焦点を当てた内容となっていました。
午後の部は複数の会場にわかれ、計12の講演が行われました。どの講演も非常に興味深いものでしたが、特に人気だった講演は、JPUGの理事長であるアップタイム・テクノロジーズの永安氏によるPostgreSQLセキュリティ総復習です。接続制限や暗号化、リレーションへのアクセス権限や監査など、PostgreSQLのセキュリティ関連の話が網羅されており、初心者にもわかり易く、上級者にも満足できる内容となっていました。
昨年はPostgreSQLの機能など技術系の講演が多く行われていましたが、今年は事例やセキュリティ関連の話が多かったように思います。実際に業務でPostgreSQLを使用する人々が増加したことや、昨今のマイナンバーに代表されるような強固なセキュリティが必要とされる案件が増加したことで、セキュリティへの関心が高まった影響かもしれません。
なお、これらの講演資料は、PostgreSQLカンファレンス2015のWEBページから閲覧することが可能です。
PostgreSQL Advent Calendar 2015
WEB上では毎年12月にPostgreSQLに関する記事を各執筆者が日替わりで記載していく、アドベントカレンダー(クリスマスまでの期間をカウントするためのカレンダー)のイベントが行われています。昨年もPostgreSQL Advent Calendar 2015が作成されました。

2016年1月開催予定のセミナーやイベント、ユーザ会の活動

初心者向け!MySQL 5.7入門セミナーシリーズ

日程インストール編 in 大阪
2016年1月21日(木⁠⁠ 13:30-16:30
場所日本オラクル株式会社 関西支社
大阪市北区堂島2-4-27 新藤田ビル 9F
内容2015年夏から開催し毎回大好評をいただいているMySQL入門セミナーシリーズがMySQL 5.7に対応。今回は大阪にてインストール編を開催。
主催日本オラクル MySQL GBU

オープンソースカンファレンス2015 Hamanako

日本MySQLユーザ会は、15分で学べるMySQL 5.7の新機能の講演とブース出展の予定です。

日程2016年1月23日(土)10:00-18:00
場所青少年センター浜松市市民協働センター 2F ギャラリー
内容オープンソースカンファレンスでは、オープンソースのコミュニティや協賛企業、後援団体による、オープンソース関連のセミナーや展示などをお楽しみいただけます。入場料は無料です。
主催オープンソースカンファレンス実行委員会
協力ヤマハ株式会社
企画運営株式会社びぎねっと

オープンソースカンファレンス2015 .Enterprise @ Osaka

OSSコンソーシアム データベース部会としてはブース出展のほか、オープンソースビジネス推進協議会と合同でセッションおよびパネルディスカッションを予定しています。

MySQL関連のセミナーはState of the Dolphinにて最新の技術情報を紹介予定です。PostgreSQL関連のセミナーは、高トランザクションPostgreSQLの適用事例(株式会社アシスト)が予定されています。

日程2016年1月29日(金)10:00-17:00
場所グランフロント大阪 北館 タワーB 10F ナレッジキャピタル カンファレンスルームタワーB
内容オープンソースカンファレンスの中でも企業システムでのオープンソース活用をテーマにしたイベントです。
主催オープンソースカンファレンス実行委員会
企画運営株式会社びぎねっと

その他のニュース

無料で高品質なWebサイトを作成できるクラウドサービスを運営するWix.comでは、MySQLをNoSQLとして活用して有料会員と無料会員のサイトへのアクセス制御を行っています。12月に公開されたブログでは、3つのデータセンターを全アクティブとして運用し、サイトに関する1億件以上のレコードに対して分間2,000件の参照処理を1.0から1.5ミリ秒のレイテンシでのアクセスを実現していることが記載されています。

アジア地域のPostgreSQLユーザが対象となるpgDay Asia 2016が2016年3月17日と19日の2日間、シンガポールにて初開催される予定です。また、PostgreSQLの開発者や有識者が一堂に会するPGCon 2016が2016年5月17日から21日の5日間、カナダのオタワにて開催される予定です。そのほか、世界各地で2016年のPostgreSQLのイベントの計画が進められています。

開催日名称開催場所
2016年1月29日FOSDEM PGDayブリュッセル(ベルギー)
2016年2月3-5日PGConf.Russia 2016モスクワ(ロシア)
2016年2月26日PG Day Indiaバンガロール(インド)
2016年3月17日Nordic PGDay 2016ヘルシンキ(フィンランド)
2016年3月17、19日pgDay Asia 2016シンガポール(シンガポール)
2016年4月18-20日PGConf US 2016ニューヨーク(アメリカ)
2016年5月17-21日PGCon 2016オタワ(カナダ)
2016年11月16-18日PGBR 2016ポルト・アレグレ(ブラジル)

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