はじめに
さまざまな技術が発展している昨今ですが、最近ではロボット関連のニュースも増えて来ており、いよいよ私たちが小さいころ夢見たロボットが実現するのも、そう遠くは感じない雰囲気になってきました。
今回ご紹介するエデュケーショナルロボット「Romo(ロモ)」も、そんな世界に近づくロボットの1つです。
Romoは米国のロモティブ社がKickstarter(クラウドファンディングサービス)で資金調達プロジェクトに成功し、開発したスマートフォンロボットです。iPhone / iPod touch と接続し、iOSアプリで動作します。エデュケーショナルロボットとして、子どもから楽しめるプログラミング学習や、オンラインビデオ通話機能などさまざまなコンテンツも用意されています。
まずはYouTubeに上げられている紹介ムービーを見てみるとわかりやすいと思います。
そのままでも十分楽しめるRomoなのですが、SDK(開発環境)が公開されており、iOS開発者であれば誰でも自由にRomoのデバイスを使って、オリジナルのロボットをつくることができます。
今までロボットづくりと言うと、デバイスの開発から独自に制御処理のプログラムを書き……と、かなりの労力を必要としたのですが、Romoであればデバイスのことをとくに考えず気軽にiPhoneアプリを開発するのと同じ感覚で制作をすることができます。
なおRomoは、ロボット掃除機ルンバの日本正規総代理店でもあるセールス・オンデマンド株式会社より7月24日に発売されます(現在、Romo公式サイトにて予約受付中)。 もしかしたら、Romo からルンバに次ぐ家電ロボが生まれるかもしれないですね。
本連載では、発売に先駆けて全3回でSDKの紹介と、Romoの可能性について、皆さんにお伝えしようと思います。まず、第1回目は全体の概要についてお知らせいたします。
Romoについて
SDKの解説に進む前にRomoについて、もう少し詳しく説明します。公式サイトでは、次のように紹介されています。
Romo(ロモ)はiPhoneなどで動く「体感型のエデュケーショナルロボット」で、誰でも動かすことが可能です。iPhoneアプリが頭脳の役割になり、様々な感情や動きを表現することができます。楽しみながら子どもの論理的思考や想像力、思考力を育むことができ、遊びや学びの幅がさらにひろがる可能性を秘めています。
iTunes Storeより無料でダウンロードできるRomo公式アプリ“Romo”では、簡単なUIで動作をプログラムして課題をクリアして行くゲームや、顔の検知、色のついたものの追いかけっこ(たとえば赤いボールを認識させると、赤いボールに向かってRomoを追いかけさせることができます)などのコンテンツを楽しむことができます。
もう1つのRomo公式アプリ“Romo Control”では、Romoと直接接続したiPhoneとは別に、もう1台のiOS端末にインストールすることで、Romoを自由にコントロールしたり、Romoを通じて家族や友達とビデオ通話をすることができます。
すでに iTunes Store に日本語対応したアプリが公開されています。本体に接続しなくてもアプリを起動することができます。なんとなく雰囲気などが伝わるかと思います。
本体は、iPhone のコネクタに合わせて、iPod touch(第4世代)/ iPhone 4 / iPhone 4Sに対応しているROMO 3Bと、iPod touch(第5世代)/ iPhone 5 / iPhone 5Sに対応したROMO 3Lの2種類があります。手もとにある余った端末を有効活用すると良さそうです。なお、iPhone4 以前のデバイスでは Romo ビデオ通話を利用できないので注意が必要です。
購入するには
日本の発売日は7月24日に、税別で1万4,500円となる予定です。こちらのオンラインストアで予約することができます。
Romo SDKでできること
さて、現在のRomoだけでも相当色々なことができることにお気づきかと思われますが、せっかく公開されているSDKと使い勝手の良いデバイスをつかって、何か作ってみたくなるところです。連載第1回ではSDKのダウンロードとサンプルアプリを紹介します。
①SDK のダウンロード
開発者向け公式サイトよりSDKをダウンロードをすることができます。
開発者向けサイトでは英語のみになりますが、クイックスタートやAPI一覧が用意されています。
②SDKの構成
SDKのZIPファイルを解凍すると利用規約などの.mdファイルと合わせて、3つのディレクトリが見つかります。
表 SDKの構成
docs | オンラインのRomo SDKのAPI一覧ファイルと同じものになります。 |
examples | Romo SDKを利用した3つのサンプルが用意されています。 |
frameworks | 開発する際に、実際に使用することとなるframeworkが格納されています。 |
Frameworkは次の2種類に分かれています。
RMCore
デバイス自体を動かすためのFrameworkになります。
- モーター制御(左のキャタピラ / 右のキャタピラ / iPhone の上下角度)
- LEDの点灯
また、Romoの各種情報にアクセスすることができます。
RMCharacter
こちらは、Romoの顔となるキャラクターを制御することができるFrameworkになります。オリジナルのUIを制作する余裕がないとき、そのままRomoのキャラクターを使えるのは便利ですね。
RMCore、RMCharacterともに必要な方だけ、または両方同時に使用することができます。
③サンプルコード
ダウンロードしたSDKにサンプルコードが含まれています。また、Romo本体がなくても、サンプルコードをコンパイルすることができます。
HelloRMCore
RMCore を利用した、Romo のハードウェアを自由にコントロールするサンプルです。こちらは実際に本体がないと動作が確認できない内容になります。
HelloRMCharacter
こちらはRMCharacterを使用し、Romoの表情が順番に表示されるサンプルになります。単体で確認をすることができます。
HelloRomo
RMCoreとRMCharacterを同時に利用したサンプルになります。こちらも動作の確認には本体と接続する必要があります。
SDKドキュメント
SDKで提供されている各APIは、SDK内のdocsディレクトリ、またはこちらのサイトで確認をすることができます。
まとめとお知らせ
さて、次回よりそれぞれのFrameworkについてご紹介させていただきます。最後に1つだけ耳寄りな情報のお知らせです。来たる7月13日(日)に「大人の夏休みの自由研究」と題してRomoの公式ハッカソンイベントが開催されます。
参加特典として日本未発売のRomoをプレゼント。その他、豪華賞品が用意される予定です。詳細は公式サイトで確認をすることができます。6月20日より応募受付開始しているので、ぜひ奮ってご参加ください。