Silverlight2.0 Beta1が登場
先週3月5~7日にかけてアメリカのラスベガスでMicrosoftが主催するMIX08が開催されました。MIX08ではIE8やWindows Liveなどに加えて待望のSilverlight2.0のBeat1が発表されました。そこで、今回は当初の予定を変更して、Silverlight2.0についてその主な特徴と機能をご紹介します。
まずはインストール
まずは、Silverlight2.0をインストールしましょう。ランタイムは以下よりダウンロード可能です。
Silverlight1.1αをインストールされている方は、かならず先にアンインストールしてください。
また、同時に開発環境であるMicrosoft Silverlight Tools Beta 1 for Visual Studio 2008 とExpression Blend 2.5 March 2008 Preview もリリースされています。
日本語が標準サポートされた
まず、なんといっても日本語が標準でサポートされたことでしょう。Silverlight1.0で実際に開発を行っておられて、試行錯誤で日本語を表示されていた方には非常にうれしい内容だと思います。かくいう筆者もその一人です。
論より証拠ということで実際に日本語が表示されるか見てみましょう。システムフォントが使用されるようになったので、問題なく表示されるはずです。前回、作成したメッセージカードアプリをSilverlight2.0がインストールされた環境で起動して、日本語を入力してみてください。いかがでしょうか? 以下のように問題なく表示されたと思います。
では、日本語が入っていないSilverlight埋め込みのフォントを指定して、文字列の中に日本語を含めてみると、どのようになるでしょうか?
<TextBlock Text="Hello こんにちは Silverlight!" FontSize="24" FontFamily="Comic Sans MS" />
コントロールが追加された
また、多数のコントロールが追加されました。RectagleやEllipseなどを組み合わせて、イベントやStoryboardを駆使してコントロールを作っていたSilverlight1.0開発者にとっては非常にうれしい内容です。Silverlight2.0になって大幅にコントロールが追加されました。以下がその追加された一覧です。
System.Windows.dll
Border
Grid
ItemsControl
MultiScaleImage
OpenFileDialog
StackPanel
TextBox
System.Windows.Controls.dll
Button
CheckBox
HyperlinkButton
ListBox
RadioButton
ScrollViewer
ToolTip
RepeatButton
Scrollbar
ToggleButton
System.Windows.Controls.Extended.dll
Calendar
DatePicker
GridSplitter
Slider
WatermarkedTextBox
System.Windows.Controls.Data.dll
DataGrid
見慣れたコントロールがずらりと並んでいます。パッと思いつくもので見当たらないのはComboBoxとProgressBarくらいでしょうか。しかし、正式リリースまでの間にまだ追加されるとのことなので今後に期待しましょう。
一覧にあげたように各コントロールは4つのアセンブリ(dll)に分かれています。そのうちランタイムに含まれるアセンブリはSystem.Windows.dllのみで、それ以外のアセンブリは含まれません。それらのアセンブリはSDKのみに含まれます。つまり、この含まれないアセンブリは実行時にアプリケーションの一部として同時にダウンロードされることになります。これは、Silverlightのアプリケーションの性質上、コントロールを使用しないアプリケーションが多数作成されることが考えられるので、ランタイムのサイズをできる限り小さくするためだと考えられます。
さらに驚くことにこのランタイムに含まれない3つのアセンブリはソースコードがテストコードとともに公開されています 。
筆者もダウンロードして中を確認しましたが、非常に有用なソースコードでした。これは内部の動きを確認する場合や、コントロールを拡張する場合、また自身で新しいコントロールを作成する場合などにとても参考になりそうです。しかも、テストコードで使用されているテスティングフレームワークのアセンブリも付属していました。これはこの連載の中でご紹介できたらと思います。
マネージド・プログラミングが可能になった
つまり、.NET開発者が慣れ親しんだC#やVB.NETでの開発が可能になりました。はじめに記載したMicrosoft Silverlight Tools Beta 1 for Visual Studio 2008を用いればVisual Studio 2008上で今までのASP.NETやWindows Formなどとほぼ変わらないスタイルで開発することが可能です。これは上記のコントロールが追加されたこととあわせると、既存の.NET開発者がSilverlight開発を行うハードルを一気に下げてくれます。
その他に追加された様々な機能
Silverlight2.0では本当にたくさんの機能が追加されました。Silverlight1.1という名称から変更したのもこうやってみると頷けます。これら追加されたすべての機能を詳細に取り上げようとすると本の1、2冊は優にかけてしまいそうなくらいですので、以下にトピックだけ記載します。この中からご興味のあることを調べていただけたらと思います。
UIコントロール
Layoutマネージメント
データバインディング
スタイル・テンプレートサポート
Compressedパッケージフォーマット(XAP)
スプラッシュスクリーン
Windows2000サポート
DRM対応
Streaming
Progressive Download
ローカライゼーション
Dynamic Silverlight
Cross Domainアクセス
次回予告
Silverlight2.0の登場で既存の.NET開発者のRIAへの間口は大きく広がりました。SilverlightのライバルといわれるAdobeのFlex3.0やAIR1.0も先日リリースされました。今後はRIAの普及がどんどん拡大し、エンタープライズナ領域への導入も現実味を帯びてくることでしょう。
さて、次回は早速Silverlight2.0でなにか簡単なアプリケーションを作成しようと思います。Silverlight2.0はマネージドプログラミングのためSilverlight1.0 から開発スタイルが大きく変わっているためです。また、Silverlight1.1からもアーキテクチャが変更になっているため開発スタイルの変更が必要になります。簡単なアプリケーションを開発することで、そのスタイルを体験したいと思います。