開発環境が整ったら、いよいよPHPプログラミングが始められます。まずPHPプログラミングとは何をすることなのかを確認し、そのあと実際のプログラミングを体験します。
PHPプログラミングの基本的な手順
第1回で、PHPはWebアプリケーションの開発/実行のためのプログラミング言語と紹介しました。ですから、何らかのWebアプリケーションをPHPによって実行することができれば、PHPプログラミングができたことになります。そこに至るには、以下のような手順を踏むことになります。まずはこれらについて説明します。
- PHPプログラミングの基本的な手順
-
- 「ちょっとしたこと」がうまく実行できるかを確認
- PHPによるソースコード(プログラム)を作成し、ファイルとして保存
- Webサーバが利用するディレクトリに2.をコピー
- Webサーバ(必要ならデータベースも)を起動
- Webブラウザからアクセスし、うまく実行できるかをチェック
- うまく実行できたら、PHPプログラミングは完了
1. 「ちょっとしたこと」がうまく実行できるかを確認
プログラミングの流れが説明されるとき、一般的には上記の2.から始まることが多いのですが、実はプログラミングで躓(つまず)きやすいのは、意外に「ちょっとしたこと」だったりします。
筆者がかつてプログラミングを始めた当初は、たった1つの記号が抜けていたために、作成したソースコードがプログラムとして実行できなかったことを、3日間も気づかずに悩んでいたことがありました。記号が1つ抜けていたことは、後で思い返せば「ちょっとしたこと」だったのですが、最初はなかなかそれに気がつきません。
このようなことを防ぐためにも、まずは「ちょっとしたこと」がうまく実行できるかを確認しておくことが、その後のプログラミングに影響してくるのです。
2. PHPによるソースコード(プログラム)を作成し、ファイルとして保存
Webアプリケーション(web application)の元(ソース, source)となるのは、これから作成していく、PHP言語を用いて記述されたソースコード(source code)です。これは「メモ帳」や「テキストエディタ」などでも保存/読み込みができるテキストファイルです。
これがコンピュータ(Webアプリケーションの場合はWebサーバなど)に読み込まれることでプログラム(program)となり、WebブラウザからのアクセスによってWebアプリケーションとしての処理が行われます。
この作業は、一般的にプログラム作成などとも呼ばれますので、狭義のプログラミングと言ってよいでしょう。ですが、これだけでPHPプログラミングが完了したといってよいわけではないのが現実です。その理由は後述します。
3. Webサーバが利用するディレクトリに2.をコピー
2.で作成されたソースコードは、Webサーバによって読み込まれて初めてWebアプリケーションとして機能します。ですから、Webサーバがソースコードを読み込む所定のディレクトリ(directory あるいはフォルダ, folder)に作成したソースコードをコピーしておきます。
4. Webサーバ(必要ならデータベースも)を起動
ソースコードをコピーしたら、Webサーバを起動します。データベースが必要ならば、それも起動しておきます。Webサーバが起動されるとPHPのソースコードが読み込まれます。
開発環境によっては、Webサーバが起動済みでもソースコードがコピーされたら自動的に読み込まれることもありますが、それはまだ一般のユーザにWebアプリケーションを公開する前や、一時的に公開していない場合に限られます。
5. Webブラウザからアクセスし、うまく実行できるかをチェック
Webサーバが起動しても、それだけではWebアプリケーションは実行されません。Webブラウザからのアクセスによって初めて実行されます。このときうまく実行できるかをチェックすることをデバッグ(debug)といいます。これは実際にコンピュータの内部に虫※が迷い込んで不具合を起こすことがあり、虫を取り除く作業が必要だったことが由来です。
Webアプリケーションがすぐにうまく実行できれば良いのですが、プログラミングに慣れるまではなかなかそうはいきません。1.をきちんとしたつもりでも、結局エラー(間違いが発見された、何らかの理由でプログラムの実行を続けられない)となってしまい、画面表示すらままならないことなど、筆者は何度も経験しました。
なかなかうまくいかないと気が滅入ってしまいそうですが、それでもうまくいかない原因を取り除けば必ず実行できるときが来ると信じて修正を続けましょう。
6. うまく実行できたら、PHPプログラミングは完了
Webアプリケーションがすぐにうまく実行できたら、晴れてPHPプログラミングは完了です。これでほっと一息です。
と思ったら、作成したWebアプリケーションに新たな機能を追加したり、別のやり方に変更してほしいといった依頼を受けることがあります。そうすると、また1.からやり直しということになります。
こうした作業が各所で繰り返されて、日々新たなWebアプリケーションが生まれ、進化しているのです。プログラミングに慣れないうちは気が滅入ることもあるかもしれませんが、自分を信じて前に進みましょう。
「ちょっとしたこと」をPHPで実行
ではPHPで「ちょっとしたこと」を実行してみましょう。ここではWindowsの場合で手順を説明しますが、LinuxやMacなどでも同様の方法がありますので、調べてみてください。
まずPHPがインストールされていることを確認しておきます。これはインストール直後に行えば、その後は必要ありません。
「スタート」→「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→「コマンドプロンプト」とクリックして開いたウィンドウでphp -vと入力してEnterを押したとき、以下のメッセージが表示されればPHPを利用できます。これが表示されなければ、インストールをやり直してください。コマンドプロンプト画面を閉じるには、exitと入力してEnterを押してください。
上記が確認できたら、続いて「php -r "print 'PHPプログラム実行';"」と入力してEnterを押してみます。次の行に「PHPプログラム実行」と表示されたでしょうか。これは今あなたが作成したPHPプログラムの実行結果です。記号1つ抜けてもエラーの元なので入力は慎重に行ってください。
ちなみに、コマンドプロンプト画面で漢字を入力する時も、他のWindowsアプリケーションと同様の操作(半角/全角キーなど)で入力できるようになります。漢字が入力できないときは、'~'の部分にアルファベットで別のメッセージを入力してください。
「ちょっとしたこと」にも程度があります。もう少し長いソースコードを作成し、プログラムとして実行する場合は、「php」とだけ入力してEnterを押した後にソースコードを作成していきます。最後に左右どちらかのCtrlを押しながらZを押す(Ctrl + Z)と、それがプログラムとして実行されます。これによって、たとえば以下のようなプログラムを実行させることができます。なお、ソースコードの作成を途中で中止する場合は、Ctrl + Cを押します。
次回は、もっと長いソースコードを作成するために、PHP言語で記述可能なものについて紹介します。