機能と技術からわかる!システム基盤の実力

第12回“見える化”業務マニュアルをもっと活かす

はじめに

前回までは「Cosminexusホワイトペーパー」を通じて、おもに大規模システム基盤を支える技術的なバックボーンや機能を中心に紹介してきました。今回からは日立が無償で開催している「オープンミドルウェアセミナー」の受講を通じて、より実務に近い部分でシステム構築やその活用を紹介していきます。

今回のテーマは、⁠業務マニュアルの活用」についてです。

業務マニュアル活用への工夫

たいていの会社にはその会社の業務ルールがあり、その作業手順などを規定した業務マニュアルが存在するかと思います。従来、業務マニュアルは仕事の手順を誰にでも理解できるものとして整備・活用されてきました。業務マニュアルが用意されていることで教える側の手間を省くことができ、業務内容を一定のレベルに保つことや人や部署によって仕事の進め方が異なるといった属人性の排除も期待できます。これらに加えて、近年では内部統制やコンプライアンスといった、企業統治の観点からもその重要性が増しています。

図1 重要性の増す業務マニュアル
図1 重要性の増す業務マニュアル

そこで本稿では、業務マニュアルを「作る側」⁠管理する側」⁠使う側」という視点から、業務マニュアルを効果的に活用するためのポイントとそれらを実現する日立のソリューションを紹介していきます。

文書を作る視点から

文書を用意する側にとって重要なのは、ありふれた環境で誰もが簡単に文書を作成できることです。ツールの使い方からいちいち覚えたくはありませんし、ツールによって使い方が違うといったことがあるとさらに面倒です。

また、頻繁に内容が更新される業務マニュアルでは「文書を作りこまないこと」も重要なポイントです。見栄えよく作りこまれたマニュアルは、利用者にとっては便利かもしれませんが、更新する側にとっては毎回手間がかかってしまいます。文書作成のための手順やルールはシンプルであるべきです。

「DocumentBroker 事務規定 業務ナビゲーション」は、後述する文書管理システム「uCosminexus DocumentBroker」をベースに、事務規定業務向けに機能を強化した製品です。文書作成に標準的なWordを用いるので、改訂担当者の習得コストを抑えることができ、またテンプレートやマクロを用いることで、文書体系の維持も図ることができます。

特に銀行に代表される金融業務では、法改正などにより業務規定が変更されることがよくあります。その際に、改訂を担当した人によって文書体系がバラバラでは、業務に支障が出かねません。また、システムとして改訂作業から、審査、承認といった一連の作業を行うことができ、承認・公開された事務規定はネットを介して閲覧が可能となるため、紙やメディアの配布で通達を出すことと比べて、手間とコストが飛躍的に低減されます。

図2 Wordでの編集操作(DocumentBroker 事務規定 業務ナビゲーション)
図2 Wordでの編集操作(DocumentBroker 事務規定 業務ナビゲーション)

文書を管理する視点から

文書管理システムを用いない場合、Wordなどで作成したマニュアルをExcelで手動でファイルを管理するといった方法がよく見受けられますが、このような手法では本当にそのファイルが最新のマニュアルなのか、心もとないことも多いでしょう。作り手の負担をサポートするためにも、文書の登録や更新、バージョン管理が容易に行えること、変更履歴が簡単に参照できることなどが重要です。

運用面では、⁠特定の人や部署にしか公開しない」⁠Aチームには書き込みの権限を与えるが、その他のチームには閲覧のみ」といった運用のアクセス権の管理も簡単に設定できるに越したことはありません。紛らわしい古いマニュアルにアクセスさせないといったことも考えられます。また、特定の日時に自動的に公開するような予約機能があると、うっかり公開し忘れたということもなくなります。

「uCosminexus DocumentBroker」は、Cosminexusの文書管理基盤のスタンダードとなる製品です。ここで紹介したアクセス権設定などのセキュリティ面以外に、コンプライアンス(証拠や記録としての文書保管⁠⁠、セーフティ(データベースのクラスタ構成による高い保全性と信頼性⁠⁠、スケーラビリティ(小さく始めて、文書量の増大に応じてサーバの増設が可能)の4つのコンセプトからマニュアル管理に求められている「わかりやすさ」⁠調べやすさ」⁠使いやすさ」を支えています。

図3 uCosminexus DocumentBrokerの画面(アクセス権限の設定)
図3 uCosminexus DocumentBrokerの画面(アクセス権限の設定)

文書を使う視点から

文書を利用する視点からは、まず最初にハードルが存在します。それは、いかに利用者にマニュアルを参照してもらうようにするかが重要です。というのも、手慣れた業務や定型的な業務ではマニュアルを参照せずに作業することが多いからです。その結果、属人性が進行したり業務ルールの変更に気がつかないといったことも考えられます。

このような状況に陥らないためにも、業務マニュアルは利用しやすい状態で提供されていなければなりません。システムとしては、体系立てて見せること、検索機能を充実させることなどが考えられます。マニュアルを参照するために専用ソフトが必要… といった事がらも障壁となります。

これらの障壁を取り除いたうえで、業務マニュアルを見たほうがよいと思える見せ方の工夫も必要です。「uCosminexus Navigation Platform」では、業務の手順をフローチャートで表し、まずは業務全体の流れを把握できるようにしています。そして、知りたいフローについては補足情報を表示したり、該当する業務マニュアルへのリンクを用意するといった二段構え・三段構えの構成で効率的なマニュアルの活用をサポートしています。

また、フローに従って作業を行うことで、自然と業務マニュアル通りの作業を促す効果もあります。サポートセンター(コールセンター)業務に導入されたケースでは、オペレータがフローに基づいて適切な対応ができるようになり、業務改善につながった事例もあります。

図4 uCosminexus Navigation Platformの画面
図4 uCosminexus Navigation Platformの画面

まとめ

業務マニュアルの活用を探る方策として、3つの視点から「uCosminexus DocumentBroker」「DocumentBroker 事務規定 業務ナビゲーション」「uCosminexus Navigation Platform」という3つの製品の機能の一部を取り上げましたが、各製品がCosminexusの文書管理基盤として「作る側」⁠管理する側」⁠使う側」の基本を備えていることは言うまでもありません。各製品についてはWebサイトで詳細な製品の内容を知ることができます。

また、日立オープンミドルウェアセミナーでは各製品についてのハンズオンセミナーなども実施しています。興味のある方、ご自身の手で直接触れてみたい方はぜひそちらもご利用ください。

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