テストエンジニアのコミュニティ活動のススメ

第3回オンライン活動を活発に行うためのコツ

日本語化部会の特徴=[オンライン活動]

第1回第2回でTestLink日本語化部会の活動の概要について紹介させていただきました。今回からは、メンバー各人の視点にフォーカスして、コミュニティ活動に関する個々のトピックについて扱っていきます。

第3回となる今回は、日本語化部会の特徴であるオンライン活動に焦点をあてていきます。第2回で書いたとおり、私たちの活動のメインはオンラインです。オフ会と銘打って、実際に集まってオフラインで活動を行うこともありますが、やはり活動のメインの舞台は、Webを介したオンライン上にあります。そこで、オンライン活動を活発に行うためのコツを、少しでもお伝えできればと思います。

TEFの他のコミュニティとの比較

日本語化部会のオンライン活動がどれだけ特徴的かということを明確にするため、ここでオフラインでの活動をメインで行っている他のコミュニティと比較してみましょう。

第1回で紹介しましたTEFには、てふかんという部会が存在します。この「てふかん」はTEF関西勉強会の略称で、主な活動はオフラインでの勉強会です。

世話人が「勉強会やるよ~」と声をかけると、有志の誰かが会社の会議室などを予約してくれます。その会議室にて勉強会を行っています。勉強会の内容はさまざまですが、たとえば1冊の本の各章について担当を決め、担当者が勉強して発表します。他の参加者はそれについて、質問したり、突っ込みを入れたり……。他のケースとしては、ソフトウェアテストに関する書籍の著者を講師として、セミナーを開催することなどもあります。

真面目ながら、堅苦しくは無い空気で、とても楽しく行っています。また、勉強会の後には、楽しい楽しい(?)ラーメンツアーが待っています。社外の人と悩みについて語り合ったり、仕事とは関係のない話で盛り上がったり、交流の場としても最適です。

簡単に日本語化部会と「てふかん」の違いをまとめてみました。

部会日本語化部会てふかん
活動内容TestLinkに特化勉強会、セミナーなどいろいろ
活動方法Web上で成果物を作成することが多い直接集まり顔を合わせることが多い
参加者全国から参加関西から参加

オンライン活動を活発に行うためには

さて、他のコミュニティとの比較により、TestLink日本語化部会の特徴が明確になったところで、この特徴に合わせてオンライン活動を活発に行うためのコツを紹介していきたいと思います。

TestLinkに特化 → 目的の明確化

TestLink日本語化部会の目的は、もちろんTestLinkを日本語化し、日本で普及させることです。このように目的が明確になることが、オンライン上で活発に活動を行ううえでの第一歩だと思います。モチベーションを維持していくためには、何かの目的を一緒に達成していくことが大切です。オフラインで集まる場合は、集まる楽しさ、その場で議論する楽しさなどがあります。オンラインではそのようなメリットは享受できないので、それ以外の目的がないと活動が停滞してしまうでしょう。

私たちの場合は、一番初めの目的が明確であったことが活動を一気に推し進めたのだと思います。TestLinkを日本語化すること。細部にはこだわらず、まずは各人ができる部分を翻訳することで、全体の完訳を目指そう。このような明確な目標のもと、翻訳作業は一気に進みました。

オンライン活動を活発に行うための第1のコツ。それが、⁠目的を明確にすること」です。

Web上で成果物を作成することが多い → 作業の見える化

TestLink日本語化部会の活動が活発である理由の1つに、素早くツールを用意してくれるメンバーが存在することが挙げられます。主にメーリングリストで意見の交換を行っていますが、やはりオンラインでの協業は、これだけでは難しいものがあります。

メールは埋もれてしまうと探すのが大変。たとえば…

  • あれ?締め切りはいつだっけ?
  • あれ?今何がどこまで進んでるの?
  • あれ?自分のタスクは何だっけ・・・・・・?

これらを防止するために提案&採用されたのがあしか⁠。この「あしか」に、メーリングリスト上の提案をまとめていくことで、タスクの見える化を図ることができます。

また広報活動も、日本語化部会の大切な活動の1つです。そこでドメインを取得し、XOOPSを使ってサイトを設けました。自分たちの成果をより多くの人に知ってもらうことは、活動を続ける上で1つの励みにもなります。

「Web上のツールを活用して作業・成果を見える化すること」―― これが第2のコツです。

全国から参加 → 各地でのオフライン活動

TestLink日本語化部会の参加者は日本全国から集まっています。実際に参加者が集まるオフラインでの活動がメインになると、これが足かせになることがあります。社外に飛び出してみたいと思われる方でも、⁠セミナーとかってさ、ほとんど東京なんだよね……」と躊躇されることがあると思います。

しかし、普段からオンラインで物理的な制約がない場合は、全国どこからでも参加することができます。そしてこれが逆に、オフライン活動を全国展開するきっかけになります。実際に、私たちは今まで九州、東京、関西の各JaSSTでTestLinkに関する発表をしてきたという実績があります。これらのイベントの直前になると、当然Web上での活動は活発になります。

少し意外かも知れませんが、オンライン活動を活発に行うための第3のコツは「機会を見つけてオフラインでも活動すること」になるでしょう。

以上で第3回は終わりです。オンライン活動を活発に行うための3つのコツは伝わったでしょうか? 皆さんがコミュニティで活動する際に、このコツが参考になれば幸いです。

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