メールによるプロジェクト内コミュニケーションの限界
メールによる情報伝達によって摩擦が生じたことはありませんか? 進行状況の把握はメールで十分にできていますか? そろそろメールでは限界ではないだろうか?と、ふと感じたことがあると思います。
メールは手軽に相手に依頼を行い、情報提供できるツールですが、相手に伝わっているか確認することはできません。送信者が気軽にメールを送る一方で、大量の受信メールに埋もれて相手は気づいていない場合も多いです。これでは円滑なコミュニケーションは成り立たず、結果としてプロジェクトの情報共有や意思疎通が十分にできずに、プロジェクトが失敗に至ることもあるでしょう。
しかし、慣れてしまったメール文化を変えろ!と言われても、早々に変えるのは難しいです。ツールを導入するので今日からすべてツールを使って作業しなさいと言われても、すぐには慣れないのが現実でしょう。メールの手軽さを残しつつ、進行管理(プロセス管理)や履歴管理(トラッキング)を行う方法があれば、このような問題は解決すると考えられます。
プロジェクト管理ツール「JIRA」とアドオンの組み合わせで解決
プロジェクト管理ツールであるアトラシアン製品「JIRA(ジラ)」は多くの企業で利用されています。JIRAにはメールを課題(チケット)として取り込む機能や、チケットへの更新やコメントをメールで通知する機能がありますが、JIRAにメール送信者となるユーザが登録されていない場合には利用できません。
そこで今回は、このようなケースも補うためのアドオンと組み合わせる方法を紹介します。JIRAとメールを統合するアドオンはいくつかありますが、その中でも一番実績があって使いやすい「Email This Issue」を利用します。
「Email This Issue」アドオンの特徴
「Email This Issue」アドオンには次のような特徴があります。
誰にでもメールでチケットを送信できる
ユーザがJIRAに登録済みかどうかにかかわらず、ロールやグループ、カスタムフィールドを利用して、チケットやコメント、添付ファイルをメールで送信できます。各チケットには「Email」ボタンが表示され、ここから直接メールを送信することもできます。JIRAがメールクライアントになるので、今まで利用されていたメールクライアントとのやりとりは不要となります。また、チケットの「Emails」タブからはチケットで受信、送信したメールの履歴を確認できます。
何かが発生したタイミングで通知できる
チケットの作成、編集、コメント追加といったさまざまなイベントが発生したタイミングで、メール通知ができます。とくに優れているのは、通知の条件としてJQL(JIRA Query Language)を利用できる点です。チケットのステータスやコンポーネント、担当者などの条件によって、通知する/しない、メールの内容を変える、といった細かな指定が可能になります。JIRAチケットとして登録されたタイミングで、あらかじめ用意したメールテンプレートで自動応答するといったことも容易です。
メールを受信してメールアドレスを保存できる
受信したメールからチケットを作成、コメントを追加するだけでなく、メールの送信元やCc:、Bcc:といったメールアドレスもカスタムフィールドへ登録できます。メールのCc:も保存できるので、依頼者はチームのメンバー間でやりとりを共有できます。
送信メールがカスタマイズできる
JIRA管理者は、あらかじめ用意された送信メールのフォーマットを選び、それをカスタマイズしてメールテンプレートとして設定できます。メールはメールテンプレート(Apache JakartaのVelocity)で作成でき、保存する前にプレビューで確認できます。メールテンプレートはカテゴリ分類が可能で、チケットからメールを直接送信する際にも利用でき、無駄な手入力を極力減らすことができます。また、Field pickerを利用することで、チケットの項目をより手軽にメールの件名や本文に値として埋め込めます。
以上のような特徴を活かしてメールでのコミュニケーションの延長線上にJIRAを置くことで、JIRAを使っていない関係者に負担をかけることなくチケット管理のフローを適用できます。
後編では、どのような設定が行えるかについて手順を交えていくつか紹介します。実際の運用をイメージしながら読んでみてください。
日本だけでなく、アジア圏でもアトラシアン製品販売のトップエキスパートであるリックソフトのWebサイトでは、各アトラシアン製品の体験版を提供しているほか、アトラシアン製品専用のコミュニティも運営しています。まずはアクセスしてみては!
- リックソフトJIRAデモ環境
- https://www.ricksoft.jp/demo/