前編では、ITILにしたがった「インシデント管理」と「問題管理」のうち、インシデント管理の進め方を説明しました(図)。JIRAに即導入できるテンプレートを使うことで、迷わずに進められるのではないでしょうか。
ここまででインシデントを解消し、業務は継続できたという状況です。ここからは引き続き「すぐに使えるテンプレートシリーズ」の障害管理テンプレートを利用して、インシデントの根本原因を調査しインシデント発生を防止する「問題管理」の活動を説明します。
インシデントの是正処置
a. 問題管理を起票する
暫定回避し、再発する(または再発する可能性のある)インシデントや、暫定回避できなかったインシデントを「問題」としてJIRAに登録し、根本原因と再発防止策を調査して解決します。テンプレートでは、該当するインシデントを課題リンクで関連付けし、特定された問題の基礎情報を入力します。
b. 問題解決の担当者を割り当てる
問題の基礎情報を課題に登録したら、問題解決の担当者をアサインします。このとき、アサインされた担当者には、問題解決を割り当てられたという内容の通知が送られます。
c. 根本原因・再発防止策を調査する
問題解決にアサインされた担当者は、インシデントの場合と同様に優先度を決め、調査を開始します。 このとき、インシデント管理と同様に、過去の問題から同様の事象がないか調べます。解決済みであれば、その原因・解決策を参考にします。問題の原因が特定できたら、解決策、再発防止策を検討し、是正対応の作業内容について上長へ承認を求めます(図1)。
d. 問題を解決する(是正対応)
上長から承認を受けたら、調査した解決策をもとに是正対応を実施します。対応が完了したら、対応の結果を記載して上長へ承認を求めます。
e. 問題をクローズする
是正対応の内容について上長から承認を受けたら、問題をクローズします。クローズされた問題は、今後同じような事象が発生した場合のナレッジベースとして蓄積されていきます。
帳票出力で管理者に報告
JIRAの課題の出力機能は標準ではXML、Word、印刷用しかなく、Excelでの出力はできませんが、JIRAの拡張機能として追加できるアドオンでExcel出力できるものがいくつかあります。弊社で提供している「すぐに使える障害管理テンプレート」ではExcel出力できるアドオンを使用しているので、JIRAを使用している場合でもExcelファイルの報告書をそのままテンプレートとして使用できます。Excelファイルの報告書の入力項目にJIRAのフィールド項目を設定し、JIRAにテンプレートとしてアップロードすれば、すぐに使用できます(図2)。
おわりに
JIRAは、インシデント管理で重要な「問題発生」から「問題解決」までの間、情報を共有しながら効率的に業務を進めるためのベース機能を持っています。インシデント管理業務をすぐに始められる「すぐに使える障害管理テンプレート」を適用することで、今回紹介した機能を使うことができます。Excelをやめるのではなく、Excelとも仲良くするためのインシデント管理ツールをぜひ試してみてください。
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