うまくいくチーム開発のツール戦略

第23回SalesforceとJiraを連携してみよう!(前編)

はじめに

今回ご紹介するSalesforceJiraは、ツールの成り立ちが異なり、競合製品として比較されることはほとんどありません。しかし、業務のプロセス管理を行うという点は共通しています。

Salesforceは、世界最大級のSasSサービスで、おもにCRM(顧客管理⁠⁠/営業支援システム(SFA)などの機能を提供しています。一般的には、営業業務、コールセンターでの問い合わせ受け付けの管理に使われますが、アプリケーション開発による機能拡張が可能なので、さまざまな業務のプロセス管理に活用できます。

一方、Jiraは2004年にソフトウェア開発におけるバグトラッキングを目的として開発されました。当初はエンジニア向けのツールといった色が強く出ていましたが、バージョンを重ねるたびにUIが洗練され、2015年10月にJira Core、Jira Software、Jira Service Deskの3つの製品として再構築されました。画面、ワークフローを業務に合わせて容易にカスタマイズできるので、現在はさまざまな業務で利用されています。

各製品の違いについては、製品紹介をご参照ください。

Salesforceを使ったプロジェクト管理

前述のとおり、Salesforceはアプリケーション開発が可能なので、開発プロジェクトの進捗を管理できるように拡張できます。とくに取引先とプロジェクトが密接な関わりを持ち、進捗や収支情報をさまざまな切り口でレポートしたい場合、Salesforceを使ったプロジェクト管理は効果的でしょう。

たとえば、受託開発の契約締結後、開発進捗の管理に利用する場合、作業情報にステータスや作業実績(工数⁠⁠、支出などの情報を入力できるようにしておくと、プロジェクトの進捗や取引先ごとの収支状況をリアルタイムでレポート化して関係者間で共有できます。プロジェクトのメンバー層が日々の作業実績をSalesforceに入力することにより、プロジェクトマネージャーは個別に進捗を確認したり、ガントチャートの修正やコストの集計作業に追われたりすることがなくなり、プロジェクトの管理業務に集中できます。

しかし、開発の現場ですでにJiraを使っている場合や、予算の都合で関係者にSalesforceのライセンスが行きわたらない場合など、開発側のプロジェクト管理をJiraで回したほうが作業効率、費用対効果ともに良い場合もあります。

Jiraを使ったプロジェクト管理

Jiraには、Salesforceのような顧客管理や営業支援に関する機能はありませんが、標準的なカスタマイズとアドオンの追加により、同様のプロセス管理とレポート作成が可能です。

Jiraの機能を知らない人も多いと思うので、簡単にJiraの機能とカスタマイズ方法について紹介します。

画面項目の定義

Jiraでは、プロジェクトを遂行するために必要となる個々の作業を「課題」と呼び、課題の追加/編集、表示画面の項目を自由に定義できます図1⁠。

図1 Jiraの管理画面
図1 Jiraの管理画面
ワークフローの定義

課題がどのようなステータスを持つか、ステータスの遷移ルールを含めてワークフローを定義できます図2⁠。

図2 ワークフローの定義
図2 ワークフローの定義
課題の抽出とレポート

課題上で取り扱うほぼすべての項目を検索のキー項目として利用できるので、さまざまな条件で登録した課題を抽出して、レポート化することができます図3⁠。そのほか、課題の閲覧/編集などの権限制御、課題の更新、コメントの追加などをトリガとしたメール通知のルール定義など、きめ細かなカスタマイズができます。

図3 課題の抽出とレポート
図3 課題の抽出とレポート
Jira Softwareの機能

前述の機能は、Jiraの3製品共通の基本機能です。ソフトウェア開発向けの機能が追加されたJira Softwareを使うと、さらに次の機能が利用できます。

  • Agileボードを使ったカンバン、スクラム開発
  • バージョン管理
  • 構成管理ツール(Bitbucket⁠⁠、CIツール(Bamboo)との連携

以上、SalesforceとJiraを連携させる前に、プロジェクト管理の視点でそれぞれの特徴をまとめてみました。後編では、両ツールの有効な連携方法について考えてみましょう。

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