きちんと学びたいテストエンジニアのためのTestLink入門

第4回TestLinkのインストール

ここまでの連載で、⁠テスト管理とは」⁠TestLinkのコンセプト」など、TestLinkを使うための前提知識について整理してきました。ここからは、いよいよTestLinkの実際の使い方について踏み込んでいきます。まず今回は、TestLinkをインストールしてみたいと思います。

はじめに

実は、インストール作業はTestLinkを使う上での鬼門と言っても過言でない部分です。今までにご説明したように、TestLinkはWebアプリケーションであるため、インストールするためにはWebサーバ環境を整える必要があるからです。これがTestLinkを導入するうえでの障壁となってしまうことが多いようです。そこで、今回は以下の2つのパターンのインストールをご紹介します。これ以外のインストールパターンについても最後に少し触れたいと思います。

Windows PCへのTestLinkのインストール

Webアプリケーションに不慣れな方を対象にして、ローカルのWindows PCにTestLinkをインストールしてみます。ここでは、⁠All In One TestLink」というWindows用の簡易インストールパッケージを使用します。TestLinkに興味のある方は、まずこちらでお試しいただくと良いでしょう。

LinuxサーバへのTestLinkのインストール

Linuxサーバ上で、ApacheやPHP、MySQLなどをご自分で設定できる方を対象としてます。こちらでは、TestLinkのソースコードが圧縮されている配布パッケージを使用します。また、インターネット上に公開されているサーバにインストールすれば、複数の拠点間で情報共有を行うこともできるでしょう。

なお、どちらのインストール方法を選んでいただいても、特に機能の制限などはなく、TestLinkの全機能を使うことができます。また、バグ管理システム(BTS)と連携させることもできます。⁠All In One TestLink」にはバグ管理システムMantisが同梱されているため、別途インストールする必要がありません。

図1 目的別フロー
図1 目的別フロー

Windows PCへのTestLinkのインストール

概要

こちらのインストールパターンでは、⁠All In One TestLink」を使用します。⁠All In One TestLink」とは、TestLink日本語化部会が公開している、Windows用の簡易インストールパッケージのことです。このパッケージには、 TestLinkおよびMantisと簡易WebサーバXampp Liteがセットアップ済みの状態で圧縮されています。解凍して実行ファイルをクリックするだけで、TestLinkが使えるようになることが特徴です。

準備

  • OS:Windows
    Windows XPが推奨です。ただし、同梱されている簡易WebサーバXampp Liteが動作すれば問題ありません。XamppLiteは以下のOSで動作が確認されています。
Win98Se:                        only apache/mysql support
Windows 2000 (w2k):             all servers okay
Windows Server 2003 R2:         all servers okay
Windows XP Service Pack 2:      all servers okay
VISTA Ultimate:                 all servers okay

Windows comatibility list(wixampp)より

  • ハードウェア要件
    ディスクの空き:250Mバイト以上
※ ハードディスクドライブだけでなくUSBメモリドライブにもインストール可能です。
  • ソフトウェア要件
    すでにWebサーバ(Apache、IIS)やMySQLがインストールしてある場合は、いったんサービスを停止(もしくはアンインストール)する必要があります。お使いのPCにApache、MySQLのWindows版、もしくはTrac Lightning等のアプリケーションがすでにインストールされている場合がこれに該当します。

インストール

それでは実際にインストールしてみましょう。

1. 「All In One TestLink」のダウンロード

SourceForge.JPのダウンロードページからダウンロードします。

2. ダウンロードしたパッケージを解凍

ダウンロードファイルは自己解凍形式のEXEファイルになっています。これをダブルクリックすると解凍が始まります。ここで、⁠展開先のフォルダ(D):」「C:¥」 に設定し、⁠展開(E)」をクリックします。

※ ドライブのルートフォルダであれば「C:\」でなくても構いません。つまり、⁠D:\」などでも良いですが、⁠C:\xxxxx\」などのディレクトリではだめだということになります。以下では「C:\」に解凍したとして説明をしていますので、解凍先のドライブ名にあわせて適宜読み替えるようにお願いします。
図2 All In One TestLinkパッケージの解凍
図2 All In One TestLinkパッケージの解凍

3. 簡易Webサーバを起動

エクスプローラでフォルダ「C:¥xampplite」に移動し、xampp_start.exeをダブルクリックします。

図3 xamppliteフォルダの表示
図3 xamppliteフォルダの表示

4. WebブラウザからTestLinkを起動

Webブラウザを起動しhttp://localhost/testlinkにアクセスします。図4のような画面が出ればインストール成功です。

図4 TestLink起動直後の画面
図4 TestLink起動直後の画面

うまく動かない時は…

以前JaSST '08 KansaiでTestLinkのワークショップを行った時には、40台のうち9割以上のノートPCで「All In One TestLink」がそのまま動きましたが、動かない事例もありましたので、その時の現象と対処方法を以下に紹介します。

現象1.localhostと入力してもアクセスできない
原因:PCの設定などでlocalhostの名前解決ができないことがあります。
対策:http://127.0.0.1/testlinkをブラウザで開いてみてください。
現象2.Xampp Liteが起動時にエラーになる
原因:常駐ソフトがすでに80番ポートを使用してしているため、Xammp Liteがエラーになることがあります。
対策:常駐ソフトを終了してください。
現象3.ブラウザで「404 Not Found」とエラーが表示される
原因:80番ポートがブロックされていることがあります。
対策:ウィルス対策ソフトとファイアウォールを一時終了してください。
現象4.Xammp Liteが起動しない
原因:フォルダの中に展開すると起動しません。
対策:展開先は必ず「ドライブの直下」にしてください。例:「C:\」⁠D:\」など。

LinuxサーバへのTestLinkのインストール

概要

LinuxサーバにTestLinkをインストールします。以下では、Webサーバ、データベース、PHPが設定済みとして、TestLinkのインストールを説明します。各アプリケーションのインストール、設定方法は、アプリケーションごとのマニュアルをご参照ください。

準備

TestLinkをインストールするのに必要なサーバの条件は以下の通りです。

データベース
MySQL 4.1.x以上(4.0.xはUTF-8をサポートしていないため使用できません)
PostgresSQL
PHP
PHP 5.x以上(5.2推奨)
Webサーバ
Apache 1.3.x、 2.x 以上
サーバ容量
100Mバイト程度
※ LinuxではなくWindowsサーバにインストールする場合は、データベースとしてMicrosoft SQL Server、WebサーバとしてIISを使用することもできますが、今まであまり稼動例がないので注意が必要です。

インストール

1.TestLinkのダウンロード

SourceForge.NETのTestLinkダウンロードページにアクセスし、testlink_1.7.4.tar.gzをダウンロードします。

2.サーバへアップロード

サーバのシェルが使用できる場合は、サーバ上でtarファイルを展開してください。FTPなどを使用する場合は、展開後アップロードします。

図9 展開したTestLinkパッケージ
図9 展開したTestLinkパッケージ

3.パーミッションの設定

以下のディレクトリに書き込み権限を付与します。

/public_html/testlink/gui/templates_c
/public_html/testlink/upload_area
/public_html/testlink/
(インストール完了後このディレクトリのみは権限を外してください)

図10 書き込み権限の設定
図10 書き込み権限の設定

4.TestLinkのインストール開始

TestLinkのURL(例:http://xxxx.net63.net/testlink)をブラウザで開きます。図11の画面になります。

図11 TestLinkセットアップ開始画面
図11 TestLinkセットアップ開始画面

ここで、[New installation]をクリックすると、図12のような情報入力画面に遷移します。

図12 TestLink新規サーバ情報入力画面
図12 TestLink新規サーバ情報入力画面

5.TestLink用のデータベースの設定

データベースの情報を入力します。

Database host:データベースのホスト名 ←①
Database name:データベース名 ←②
Database login:データベースのログイン用ユーザ名 ←③
Database password:データベースのログインパスワード ←④
TestLink DB login:TestLink用データベースへのログイン用ユーザ名
TestLink DB password:TestLink用データベースへのログインパスワード
※ TestLinkのインストーラやインストールマニュアルは、管理者権限を持っているデータベースを使用することを前提に作られています。ただし、手動でデータベース用のユーザを作成すれば、管理者権限がなくてもインストールすることができます。
管理者権限がある場合は、⁠Database login⁠⁠、⁠Database password」に"root"など管理者権限があるアカウント名とパスワードを、⁠TestLink DB login⁠⁠、⁠TestLinkDB password」に任意のアカウント名とパスワードを入力してください。後者のアカウントがデータベースアクセス用に自動で作成されます。
管理者権限がない場合は、事前にデータベースにアクセス可能なアカウントを作成しておく必要があります。⁠Database login⁠⁠、⁠Database password」および、⁠TestLink DB login⁠⁠、⁠TestLink DB password」の両方に、⁠Database name」で指定したデータベースにアクセス可能なアカウントを指定してください。この場合、TestLinkのインストーラ上では「Creating TestLink DB User - Failed!」というメッセージが表示されますが、TestLinkを使用する上では支障がありません。

設定後「Setup TestLink」をクリックします。図13のような画面になります。

図13 入力項目の確認画面
図13 入力項目の確認画面

6.ライセンス条項の確認

画面左下の「I agree to the terms set out in this license.」にチェックし、右下の「Proceed」をクリックします。図14のような画面になります。

図14 インストール最終画面
図14 インストール最終画面

画面右下の以下をクリックします。

「TestLink (using login name:admin / password:admin - Please Click Me!). 」

図15の画面になればインストール成功です。

図15 TestLinkログイン画面
図15 TestLinkログイン画面

7.インストール後の作業

Login Nameに「admin⁠⁠ PASSWORDに「admin」を入力し「Login」をクリックします。インストールに成功した場合「admin」のパスワードを変更してください。未変更の場合、以下のワーニングが出力されます。

「You should change the default password for the 'admin' account! 」

さらに「/public_html/testlink/install」ディレクトリを削除してください。このディレクトリが残っている場合、以下のワーニングが出力されます。

「Install directory should be removed! 」

これでインストールは終了です。

その他のインストール方法

上記のインストールパターン以外でもTestLinkをインストールすることができます。詳しくは「TestLinkインストールマニュアル」html版、PDF版をご参照ください。なお、マニュアル以外にもTestLinkのインストール情報がWeb上で公開されていますので、最後に紹介します。

まず、Windows PC上にサーバモジュールをインストールする例です。これはTestLink日本語化部会の吉村さんがご自身のサイトで詳しく紹介されています。

続いて、有料レンタルサーバのXrea plusにインストールする例を簡単に紹介しています。これはTestLink日本語化部会の判谷さんがまとめたものです。

また、TestLink日本語部会のサイトにTestLinkが動くレンタルサーバがまとめられています。

まとめ

今回は、TestLinkのインストール方法を紹介させていただきました。しかし、インストール後の細かい設定については説明できませんでした。そのような設定については、日本語部会のWebページ上で公開してるTipsをご参照ください。ユーザーが自分でユーザー登録できないようにするには?バグ管理システムと一緒に使う時は?などといった情報が掲載されています。また、インストール中につまづいてしまった部分があるなど、ご質問がありましたら、TestLink日本語ユーザーメーリングリストまでお気軽にお寄せください。

次回は、TestLink上で行う準備作業からテストケース作成までを紹介する予定です。

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