読者の皆さんこんにちは、
技術的なあれこれよりは、
さて、
【今回の登場人物】
- 柏田マネージャー:
- 5年前に新規事業としてソフトウェアの検証事業を自ら企画し、
以来ずっとソフトウェアテスト関連事業を統括している。無類の釣り好き。 - 大塚先輩:
- 入社10年目。5年前に柏田マネジャーと一緒にソフトウェアテスト事業を立ち上げた。カメラが趣味で、
暇さえあれば写真を撮りに出かける。 - 中山君:
- 入社5年目。本連載の主人公。入社以来ソフトウェアテスト一筋で経験を積んできた。そろそろ大きい仕事をしたいと考えている。
初めてのテスト計画!?
中山君は入社5年目の若手テストエンジニアです。入社以来ずっとソフトウェアテストを担当し、
そんな中山君、
- 中山君:
- 「ふぅ、
ようやく片付いたぞ。なんだかんだで大変だったなぁ。でも、 以前に比べてずいぶん仕事をこなせるようになってきたなぁ。そろそろ大きな仕事もしてみたいな…」 自分が仕事を始めた頃を思い出して感慨にふけっていたところに、
同じ部署の大塚先輩がやってきました。 - 大塚先輩:
- 「中山君。ちょっといいかな? 今、
手は空いてる? 空いてたら第三会議室まで一緒に来てほしいんだけど。」 大塚先輩は同じ部署の先輩ですが、
今まで中山君は一緒に仕事をしたことはありません。 - 中山君:
- (ひょっとすると新しい仕事なのかな?)
これは新しい仕事の説明かもしれません。心が躍ります。
- 中山君:
- 「はい!
すぐに行きます!」 元気よく答えたものの、
大塚先輩は厳しい人だとみんなが話をしているのを思い出しました。多少緊張しながらも、 でもやはり新しい仕事に取り組めるかもしれないとのワクワク感には勝てません。足取りも軽く、 会議室に移動します。ドアを開けると、 部屋にはこれまた一緒に仕事らしい仕事をしたことがない、 柏田マネジャーが座っていました。 中山君が緊張の面持ちで椅子に座ると、
柏田マネジャーは話し始めました。 - 柏田マネージャー:
- 「中山君は入社してから何年目になったのかな?」
- 中山君:
- 「はい、
5年目になります。」 - 柏田マネージャー:
- 「仕事の方はどう?」
- 中山君:
- 「最初のうちは、
キーボードや端末操作だけだったのでよくわからなかったのですが、 最近、 テストケースの作成もやらせてもらえるようになって楽しくなってきました!」 - 柏田マネージャー:
- 「なるほど。では、
そろそろいいころかもしれないね。ところで、 大塚君からみて中山君をどう思う?」 - 大塚先輩:
- 「少し不安なところはありますが、
まあ私がサポートすれば大丈夫と思います。」 - 柏田マネージャー:
- 「ふむ。大塚君が、
そう言うのだったら安心だね。中山君の面倒は大塚君に任せるとしよう。」 そう言うと、
柏田マネジャーはおもむろに中山君に向き直るとこう告げました。 - 柏田マネージャー:
- 「ところで中山君。実はこの新しい案件のリーダを君に任せようと考えている。早速この案件概要を読んでもらえるかな?」
柏田マネジャーは、
案件概要が書かれた書類を中山君に渡しました。パラパラめくりながら内容を確認してみると、 今まで中山君がやってきた仕事と同じような規模・ 内容のようです。 - 中山君:
- 「正直、
不安なところはありますが、 ぜひリーダに挑戦させてください!」 - 柏田マネージャー:
- 「中山君なら、
この案件を成功させられると思う。是非がんばってください。何か困ったことがあったら積極的に大塚君に聞くようにしてね。」 - 中山君:
- 「わかりました! 柏田マネジャー、
大塚先輩、 よろしくお願いします!」
柏田マネジャーが退席し、
- 大塚先輩:
- 「中山君と一緒に仕事をするのは、
これが初めてだよね。よろしく。」 大塚先輩は怖いというイメージをもっていた中山君でしたが、
実はいい人なのかもしれません。 - 中山君:
- 「よろしくお願いします!」
- 大塚先輩:
- 「じゃぁさっそくだけど、
まずは、 テスト計画を作ってみよう。」 - 中山君:
- 「テスト計画ですか?」
- 大塚先輩:
- 「計画は作ったことある?」
- 中山君:
- 「(うっ!)
ま、 まあ、 少しぐらいは……」 - 大塚先輩:
- 「じゃぁ、
大丈夫だ。やってみよう。えーと、 いつまでにできる?」 - 中山君:
- 「3日後ぐらいにはできると思います。」
- 大塚先輩:
- 「3日後か……。わかった。計画書ができたら俺のところに持ってきてね。」
- 中山君:
- 「はい!
メイっぱい頑張ります!」 自分の席に着いた中山君。先ほどとは打って変わって何か様子がおかしいようです。案件概要書をパラパラとめくっては、
ときどきため息をついています。 実は中山君、
計画なんて作ったことがありません。大塚先輩にいいところを見せようと、 つい作ったことがあるなんて言ってしまったのです。それに加え、 友人たちからは計画性が無いと言われることもあります。テストに限らず 「計画」 には自信がありません。 - 中山君:
- (困ったなあ。どうしよう。)
今までの仕事でも、
一応、 テスト計画書というのがありましたが、 多くの場合 「計画」 どおりにテストを終了できたことはありません。そのため、 中山君はテスト計画なんて 「単なる飾り」 だと思っていました。ですから、 今までテスト計画書をまじめに読んだことがありません。 - 中山君:
- (なんで計画書なんて書くんだろう? どうせテストを実施する時には使われないのに無駄な作業だよなぁ。早くテストケースを書いてテストやった方がプロジェクトのためになるのに)
しかし、
3日後にテスト計画書を大塚先輩に見せる約束をしています。作らないわけにはいきません。 - 中山君:
- (前のプロジェクトで使ったテスト計画書が参考になるかなあ)
ちょうど、
前の仕事で使った資料を整理していたところです。少し探してみると、 テスト計画書とおぼしきものが出てきました。 - 中山君:
- 「よし、
これを参考にして作ろう!」
今回はリーダという大役です。待ち望んでいた大きな仕事です。泣き言は言っていられません。とりあえず、
3日後
時間はあっという間にたって3日後になりました。自分なりに必死に作った計画書を大塚先輩に見てもらう日です。
- 中山君:
- 「大塚先輩できました。」
と言って、
中山君は大塚先輩にテスト計画書を見せました。すると大塚先輩は、 一目見るなり大きなため息をつきました。 - 大塚先輩:
- 「これじゃ全然ダメだ。」
中山君が大塚先輩に見せた計画書は図1のようになっています。
さて、
この計画書、
また、
皆さんも大塚先輩の立場になって考えてみてください。
[後編
(イラスト:ひのみえ)