音声サービスの普及段階に入る兆しが見えはじめた
Amazon公式認定のAlexaエージェンシーが中心となり、国内初となる音声ユーザーインタフェースをテーマとする「VoiceUI Show ~2019 Spring~」が5月31日に開催されました。
これは、主にAmazon Echoを使ってマネタイズしているビジネスイベントで、音声をユーザインターフェースとしてマネタイズを進めている事例の紹介を見ることができました。事例紹介があったのは以下の企業です。
- 株式会社ZOZOテクノロジーズ
- 日本航空株式会社
- オルビス株式会社
- 日本テレビ
- 日本放送
- アイプロスペクト・ジャパン株式会社
どれもAmazon Alexaの活用事例で、スキルを開発するまでのいきさつや工夫・苦労した点、今後の方向性などが紹介されました。また、ランチディスカッションでは、本連載でも触れたことがある、GUIと音声ユーザが異なる、
- 話言葉と書き言葉が違う
- だらだらと読み上げない
- 音声は時間軸に対してしか情報が伝わらない
といった点について、Alexaのスキルを開発するにあたってのノウハウとして紹介されました。
この中から、音声をうまく使った、非常に感心した事例がいくつかあったので紹介します。
コーデ相談 by WEAR
Echo ShowやEcho Spotを活用したZOZOテクノロジーズの「コーデ相談 by WEAR」です。名前通りのスキルでAlexaにコーディネートの相談ができます。
たとえば、「白いシャツのコーデを教えて」と話しかけると、白いシャツのコーディネートを画面に表示します。ユーザは、これをコーディネートの参考にするというワケです。コーディネートを見せるので、情報を伝えるのはディスプレイが主になります。スマートディスプレイは、音声がメインなのは変わりませんが、結果を得るのにディスプレイを主としており、音声はスキルのキャラクタ作りに活用しているのは面白いアイデアです。
音声は、話者の個性や感情を多く残すことができます。
これをスキルのキャラクタ作りに活用するのは、今後増えていくスマートディスプレイで、主流の使い方になる可能性が考えられます。こうなれば、キャラクタ作りにもフォーカスが当たり、これの声質や話し方がポイントになる可能性もあります。
今日のうるおい
オルビス株式会社の「オルビスの「今日のうるおい」」は、オルビスが発売するサプリメント「ディフェンセラ」のスキルです。これは、音声とリマインダーを使っています。
サプリメントの効果を得るには定期的な摂取が必要です。しかし、新しいことが習慣になるまである程度の時間がかかりますが、このスキルで毎日の飲み忘れがないようにリマインドして、サプリメント摂取の習慣付けの手助けをします。
スキルで習慣付けの手助けをするのは、ユニークな視点です。
アプリでも同じことはできますが、自由度が高いだけにやりたいこと以外にも気を使う必要が出て大袈裟になります。しかし、スキルであれば良い意味でできることが限られていて音声のみなので、これを逆手に取ればフォーカスしたものが作れます。
このスキルを知ったあと、子供のころ、登校前に母が忘れ物がないかと世話を焼いてくれたの思い出しました。インターフェースに音声を使うからこそ、こうしたシーンが蘇ったのかもしれません。音声操作は、コンピュータと接している感覚を和らげることができるので、定期的なタスク実行に感じるストレスを軽減する効果はありそうです。
どう使うか視点の視点が重要
Voice UI Show開催のタイミングで、Alexaのスキル内課金が開始されて、今回のスピーカとして参加していたアマゾン ジャパンからも紹介があり、スキルでマネタイズする方向性も見えてきました。
Alexaのスキル内課金のタイプは、買い切り型、サブクリプション型、消費型の3種類に分けられます。すでに、アタック25スキルなどは、スキル内課金に対応しています。
たとえば、サブスクリプション型の課金は、オルビスの「今日のうるおい」のような習慣付けのスキルと組み合わせて使うことで、ユーザに継続的に課金してもらえる機会を設けることができるでしょうし、購入操作を省くことができれば、ユーザの利便性の向上にもつなげることができます。
スマホアプリは、開発の敷居が高くなり気軽にはじめることができなくなりました。Alexaのスキル開発は、時間の経過と供に敷居が低くなっています。また、音声の特徴を理解して、これを活かすのも難しくありません。いまは、ツボを押さえたユニークなスキルであれば勝負ができます。興味のある方は、チャレンジしてみるのはいかがでしょうか。