VPSでRuby開発をしよう

第1回言語に見るVPS活用最新動向

今回から、VPSでRubyを使用するWebアプリケーション開発について4回連載の予定で解説します。RubyやRuby on Rails(以下Rails)のインストールから、MySQLを使ったアプリの開発までを解説する予定です。その手始めに、まずはVPSで利用できる開発言語の現状から見ていきましょう。

VPSで利用可能な開発言語

依然PerlとPHPが主流

ほぼすべてのVPSサービスでPerlとPHPを標準サポートしており、依然としてこの2言語が主流といえます。

Perlはこれまで公開されてきたさまざまなスクリプトや外部ライブラリ、モジュールなど、膨大な資産を活用できるのが大きなメリットです。半面、サーバへの負荷がネックとなりやすく、なんらかの対策が必要です。

PHPはCやPerlに似たわかりやすい文法で学習しやすい、MySQLなどDB(データベース)との親和性が高い、HTMLファイルにコードを埋め込めるため画面デザインを設計しやすいといった長所があります。最近では各種のモジュールやフレームワークなども登場し、大型の開発案件にも対応可能です。その一方で脆弱性がしばしば指摘されており、セキュリティ情報に気を配るべきでしょう。

Railsにより人気が高まるRuby

Perl/PHPに次ぐ3番手の言語として、Rubyの人気が急速に高まっています。これにはフレームワークであるRailsが、大きく貢献しています。

図1 RubyコミュニティによるRuby解説サイト
図1 RubyコミュニティによるRuby解説サイト

Rubyはオブジェクト指向のスクリプト言語であり、その特長はRubyコミュニティの表現を借りると、⁠Perlのような手軽さで『楽しく』オブジェクト指向しようという言語」といえます。C++など本格的なオブジェクト指向言語に取り組むには、かなりの勇気と根気が必要ですが、Rubyであれば気軽に始めることができます。

かといってRubyは簡易言語ではなく、実用的なシステム開発にも利用できます。とりわけRailsにより、Rubyプログラマの生産性が格段に向上しました。

Railsはとくに、DBを使用するアプリケーションの開発に効力を発揮します。実際にわずか10分で開発した様子が、インターネット上で公開されています。

10分で作るRailsアプリ for Windows - masuidrive
http://masuidrive.jp/rails/

この連載でも、Railsを利用してMySQL DBを扱う簡単なアプリケーションの開発を目指します。

その他の言語

この他のスクリプト系言語としては、Pythonを利用できるVPSやレンタルサーバがあります。海外と比べてPythonは国内ではまだ普及しているとはいいがたい状況ながら、海外産の市販アプリケーションやゲームなどで使われており、認知度が徐々に高まりつつあります。

また、VPSサービスによっては、JavaやC++/C#なども利用可能です。

Rails開発のためのVPS選び

最低限クリアしたい3つの条件

目標をRailsによる開発に置くことで、VPSサービスの選択ポイントも定まってきます。具体的には、

  1. Rubyが利用できること
  2. Railsが利用できること
  3. Railsを利用するのに十分なメモリがあること

の3点が最低条件です。

拍子抜けするような条件ですが、意外な落とし穴が潜んでいるのです。たとえば、Rubyは使えてもRailsは利用できないサービスがあります。サーバOSやRubyのバージョンなど環境によっては、Railsのインストールや動作に支障が生じる場合もあり得ます。VPSサービスの検討においては、Railsの利用可否を問い合わせるなど確認するのが望ましいでしょう。VPSを始めレンタルサーバサービスではメモリ容量は意外と少ない場合が多く、開発時や実稼働時の安定性を考慮するなら十分なメモリが確保されていることが望ましいといえます。

なお、Railsのインストールを代行してくれるVPSサービスもあります。インストール作業はさほど難しくないとはいえ、余計な作業に煩わされず開発に専念できる点から、一考の価値はあります。

幅広い選択肢から選べる@YMC

Rails開発がしやすいVPSサービスの1つとして挙げられるのが、@YMCのレンタルサーバサービスです。同社のVPSサービスには、基本的なサーバー運用を委託しながら自由度の高い「マネージドサーバー」と、ユーザが自在にカスタマイズできる「カスタムサーバー」の2種類があります。マネージドサーバーではPerlやPHPに加えてRubyとMySQLもインストール済みであり、オプションでRailsやバージョン管理ツールTracなどのインストール代行も依頼できます。メモリ容量は、最も安いマネージドV250プランでも256MB、最上位のマネージドV1000では1GBもの大容量が提供され、安定した動作環境を確保できます。

@YMCのマネージドサーバーの月額料金は3,675円からと手頃で(2009年5月現在⁠⁠、15日間の無料トライアルも可能です。この連載では、@YMCのマネージドサーバーサービスを利用しています。

図2 @YMCのトップページ
図2 @YMCのトップページ

この連載では、@YMCのマネージドサーバーサービスを利用しています。

次回予告

次回はRail開発環境の構築として、RubyとRailsのインストール手順を解説します。

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