Webフレームワークの新しい波 Waves探訪記

第2回Wavesのインストール

今回はWavesのインストール方法について説明していきます。

Ruby

まずRubyがなくてはなりません。最近のほとんどのOSには簡単に目的のプログラムをインストールするためのパッケージ管理システムが付属していますので、それを使うのがシンプル、かつトラブルも少なくて済みます。Fedoraのyum、Debianのapt、FreeBSDのports、MacOS XのMacPortsなどです。これらを利用してRubyの最新版をインストールしてください。

ちなみにWavesの動作にはバージョン1.8.6のRubyが必要になります。最新の1.8.6-p114では、WEBrick(rubyに添付されているWebサーバアプリケーション)の脆弱性が修正されていますので、これ以降のものが望ましいのですが、まだパッケージ化されていないところが多いようですので、WebサーバとしてはWEBrickを使わないようにするなどの対応をとってください。

Windows用にはActiveRubyが、次に説明するRubyGemsもバンドルされていて、使いやすいと思います。ActiveRubyはいち早く1.8.6 p114に対応しています。他にもOneClickRubyが有名ですが、こちらは2007年末から新しいパッケージが出ていません。

ただし、Rubyは問題ないのですが、WindowsではWavesがまだ完全には動作しないようです。現状については後述します。

RubyGems

Wavesは、Rubyのパッケージ管理システムであるRubyGemsを使ってインストールしましょう。比較的新しいRubyのパッケージにはRubyGemsを標準でバンドルしているものもあるようです。もしまだRubyGemsをインストールしていない場合は、RubyGemsのダウンロードページから、ダウンロード、展開して、展開したディレクトリで以下のコマンドを実行します。

RubyGemsのインストール
ruby setup.rb

インストールが完了するとgemというコマンドが利用できるようになります。まずRubyGemsを利用してインストールしたパッケージの一覧を見てみましょう。

ローカルパッケージのリスト
gem list -l

まだ何もインストールしていなければ当然何も表示されません。またサーバ(リポジトリ)に用意されているパッケージの一覧は-rオプションで見ることができます。

Waves

では、RubyGemsを使ってのWavesのインストールです。現時点ではWavesのバージョンは0.7.2で、0.7.3がもうすぐ出そうな感じです。Wavesは関連パッケージが多いのですが、それらも自動的にダウンロード、インストールされます。ただし、何も指定しないと実際にインストールするかどうかそのつど問い合わせがあるので、それが面倒な場合は以下のように-yオプションを使います。

Wavesと関連パッケージのインストール
gem install waves -y

gemのバージョンにもよりますが、最新版では-yオプションがデフォルトで有効になっています。これで関連パッケージがダウンロードされますが、途中で複数のバージョンがサーバ上にある場合に、どれをインストールするか問い合わせが入ることがあります。その場合は適当なバージョン(通常最新版)と、プラットフォームを選択します。プラットフォームはWindowsとそれ以外に分かれていることが多く、LinuxやMacOS Xの場合は単に"ruby"と記されたパッケージを選択してください。

インストールが完了すればwavesコマンドが使えるようになっているはずです。waves --helpとタイプして確認してみてください。

Windows系OSへのインストール時の注意

前述したようにWaves 0.7.2はWindowsの対応が不十分です。例えばwavesコマンド(Ruby on Railsのrailsコマンドに相当。アプリケーションの枠組みを自動的に作る)を実行しても何も生成されません。これはwavesコマンドが内部でUnix系のコマンドを発行しているためです。こうした問題点を修正したものがWaves 0.7.3で、Windowsでの動作を意識したものになっています。

rc2ではまだマイグレーションが正しく行われないなどの問題がありました(Windows XPで確認⁠⁠。もうじきリリースされる0.7.3の正式版では、Windowsでも問題なく動作することを期待しましょう。

MacOSX系OSへのインストール時の注意

MacOS XにはRubyがバンドルされています。ただしバージョンがやや古いので、最新版のインストールが必要になります。そのためにはMacOS Xのパッケージ管理システムであるMacPortsの利用をお勧めします。MacPortsの利用には、Xcode、X11、X11SDKのインストールが必要です。前もってシステムDVDからインストールしておいてください。

MacPortsは、ダウンロードページから対応するOSのバージョンにあわせて取得し、pkgファイルを実行すればインストールされます。インストール後はportsというコマンドが使えるようになるので、まずはMacPortsを最新版にします。

MacPortsを最新版に更新
sudo port -v selfupdate

次に、Rubyを最新版にします。

Ruby最新版のインストール
sudo ports install ruby

通常MacPortsでインストールしたものは/optというディレクトリの配下に入るので、/opt/local/binを標準のPATHより前に設定しておいてください。

まとめと次回の予定

RubyとWavesは関連パッケージが多岐に渡るので、パッケージ管理システムでインストール、管理するのが現実的です。RubyにはRubyGemsというパッケージ管理システムがあるので、これをメインに説明しました。

次回からはいよいよWavesでアプリを作ってみることにします。

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