Windows Phoneアプリケーション開発入門

第19回Windows Phone Developer Toolsがついに完成!

はじめに

日本時間で17日早朝、Windows Phone Developer ToolsのRTM版が公開されました。

Windows Phone Developer ToolsのBeta版は、30万ダウンロードと好評だったようです。Bing MapsやPanoramaとPivotコントロールが正式対応になったりと、開発者にとってとてもリッチな開発環境となっており、RTM版はBeta版以上にダウンロード件数が増えるのではないかと思っています。

Windows Mobileアプリケーションの開発にあたって、一番の導入障壁であった開発ツールの値段についても、Windows Phone 7からは無償で提供されており、Windows Phone 7開発に興味がある方なら誰でも触れることができます。

本日よりMarketplaceの登録もできるようになっており、10月からオープンとなるMarketplaceでも、Windows Phone 7向けのさまざまなアプリケーションが並ぶと思うと今から楽しみです。

実際にMarketplaceにアプリケーションやゲームを公開する際に気を付けないといけないのは、今までBeta版でビルドしていたXAPをそのまま公開することができません。RTM版のそれとは互換性がないらしく、実際に公開する際にはRTM版でリコンパイルする必要があるようです。

Windows Phone Developer Tools RTMの導入とインストール

Windows Phone Developer Tools Betaをインストールしている方は、RTM版とは共存できませんので先にアンインストールしておく必要があります。

図1 Windows Phone Developer Tools RTM ダウンロードページ
図1 Windows Phone Developer Tools RTM ダウンロードページ

上記のURLにアクセスして、オレンジの円で囲ったvm_web.exeをダウンロードして実行してください。インストールの方法自体はCTPの頃から変更はありませんので、連載第11回の開発環境のインストールをご覧ください。

CTPとの違いは、インストールされるツールが違います。

  • Visual Studio 2010 Express for Windows Phone
    • Windows Phone Emulator Resources
    • Silverlight 4 Tools For Visual Studio
  • XNA Game Studio 4.0
  • Microsoft Expression Blend for Windows Phone

インターネットに繋がっていない、または回線速度が遅い方向けにCDイメージ(.ISO)でもインストーラが公開されています。

Windows Phone Developer Tools RTMで追加されたコントロール

Beta版と比べてRTM版が異なる点は、さまざまなコントロールが追加されているところです。多くのコントロールが標準で使えるようになったことは嬉しいですね。

図2 インストール直後のツールボックス
図2 インストール直後のツールボックス

Panorama と Pivot

Panoramaは、PoopleハブやPictureハブ等で使われている、横方向に画面の連続性のあるアプリを開発することができます。

図3 Panorama コントロール
図3 Panorama コントロール

Pivotは、設定画面の「System」「Application」で使われているように、Panoramaと比べるとあまり連続性の持たない画面遷移を行います。

図4 Pivot コントロール
図4 Pivot コントロール

それぞれはコントロールとして提供されているので、当然組み合わせて使うことも可能です。

Panorama と Pivotが追加されたので、Microsoft.Phone.Controls名前空間に

  • Panorama クラス
  • PanoramaItem クラス
  • Pivot クラス
  • PivotItem クラス
  • PivotItemEventArgs クラス

Microsoft.Phone.Controls.Primitives名前空間に、

  • AnimationDirection クラス
  • PanningBackgroundLayer クラス
  • PanningLayer クラス
  • PanningTitleLayer クラス
  • PanoramaPanel クラス
  • PivotHeaderItem クラス
  • PivotHeadersControl クラス
  • TemplatedItemsControl<T> クラス

が追加されています。

Bing Maps

以前からCodePlexdで開発が行われていたBing Mapsがついに標準コントロールとして、Windows Phone Developer Toolsに追加されました。ツールボックスからドラッグアンドドロップだけで地図アプリを作成することができます。

図5 Bing Maps コントロール
図5 Bing Maps コントロール

標準以外のSilverlightコントロール集 Toolkitも

何よりMicrosoftの力が入っているのがよく分かるのが、Windows Mobile 6.x時代と違い、Toolkitとして公式で次々と新しいコントロールが開発されているところでしょうか。このToolkitは、正式なコントロールとして採用こそされなかったが、次のバージョンで標準になるかもしれないDatePicker、TimePickerやToggleSwitch等汎用性の高いWindows Phone向けのSilverlightコントロール集です。CodePlexにて配布されています。

さいごに

コントロールの数だけなら既存のものを超えるくらい提供されています。これらのコントロールをただ使うだけではなく、組み合わせることによってさまざまな効果が得られるでしょう。またExpression Blendを上手く利用し、本質的な部分により注力した開発を行って頂ければと思います。

MSDNオンラインライブラリのドキュメントも今回のリリースに伴い一新されています。中でも有益なのはサンプルコード集ではないでしょうか。

上記のページの下のほうに、⁠What’s New in the Documentation」と書かれており、Push Notificationsやこんなことがしたいんだけど……と悩んでいる方のヒントになるかもしれません。

それでは楽しいWindows Phone 7 Developer Dayを。

以上で今回は終わりです。ありがとうございました。

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