概要
「ホームページ制作なんて,人間の仕事じゃない」
一流IT企業・キングスター社に勤める平木の口から出た意外な言葉。地方で花屋を営む城之内は,売上が落ち込むばかりの現状を打開するため,まさにキングスター社にホームページの制作を依頼しようとしていたところだった。
城之内が平木の真意を質そうとしたのも束の間,城之内と平木にカミナリが落ち,二人の体は入れ替わってしまった!
平木となった城之内が目の当たりにする,IT企業の儲けのカラクリとは?
城之内となった平木が考え出す,弱小店舗が大企業に負けないための驚くべき秘策とは?
「誰も教えてくれなかった“ホームページの値段のカラクリ”とは?」
「SEO対策をしても結果が出ない理由とは?」
「ネット広告がお金のムダにならないか,どう見極めればいいか?」
ネットショップの店長・コンサルタントとして数多くの実績を持つ著者だから書けた,IT業界のリアルと売上アップのノウハウがみるみるわかる新感覚ビジネスノベル!
こんな方におすすめ
- これからの時代のネットのあり方を知りたい中小企業の経営者,Web担当者,マーケティング担当者の方
著者から一言
ネットビジネスには,今,2つの厳しい現状があります。
ひとつは,「異常な競争状態」です。
消費者に価格が丸裸にされたネット市場は,激しい安売り合戦を強いられています。さらに,参入が容易なネットビジネスは,たくさんのライバル会社を市場に生み出し,競争を激化させています。
結果,「広告費はどんどん高騰しているにも関わらず,商品価格がどんどん下がっていく」という悪循環を引き起こしており,多くの企業が「打つ手がない」と頭を抱えている状況が続いています。
もうひとつの厳しい現状は,「サービスの劣悪化」です。
市場全体が頭打ちの状態になっているので,ホームページ制作やネット広告などのサービスを提供する企業側も,安い手数料で仕事を請けざるを得ません。
そのため,質の悪いサービスが市場に多く出回るようになり,結果,効果の薄いサービスや広告に安易に手を出してしまい,販促に失敗する企業がここ数年で増えているように思えます。
5年ほど前までは,ネットビジネスは中小企業に最適な販促手法でした。しかし今,「中小企業にネットビジネスは最適か?」と聞かれれば,素直に「イエス」と答える自信が正直ありません。
それだけ,今のネットビジネスの現状は,ほかの業界に比べて厳しいというのが,私の率直な印象です。
本書を執筆した理由は,これからネットビジネスに携わる人たちに,厳しい市場で戦っていくための「覚悟」を持っていただきたかったからです。
ネットビジネスの世界では,情報を持っている人と,情報を持っていない人との間に,非常に大きな格差が存在しています。
ネットビジネスの知識も経験もない人は,情報をまったく持っていないので,サービスを提供してくれる相手を信じるしかありません。しかし,サービスを提供する側は,不利な情報をクローズドにして,相手が全面的に信頼してくれるのをいいことに,劣悪なサービスを提供できる立場にあります。
本書のストーリーも,数年前に,その情報格差を利用して急激に売上を伸ばしたホームページ制作会社をモデルにして執筆しました。
結局,そのホームページ制作会社は悪事がバレて消滅してしまいました。しかし,大なり小なり,相手が事情をわからないのをいいことに,劣悪なサービスを提供している企業が,商売の世界に多く出回っているのは事実です。
その現状をわかりやすく解説するために,ネットサービスを〝提供する側〟と〝受ける側〟の主人公をひっくり返して,ストーリー形式でノウハウを解説したのが本書です。
ネット市場の激しい価格競争を勝ち抜き,劣悪化したサービスを見極めるためには,質の良い情報を見極めていく力を身につけなくてはいけません。
本書に出てくる平木のように,現状を打破する行動力と,城之内のように自分で知識を学び,それをお客さんのために生かしていこうとする思いやりの姿勢があれば,必ず,今の厳しい現状は打破できると思います。