概要
本書は『Vyatta入門(2011年)』の続編である。ユーザのニーズに合致したプライベートクラウドを構築するためには,ソフトウェアルータである「Vyatta」が必須である。クラウド上に仮想ネットワークを自在に構築し,ネットワークに起きるトラフィックの問題やロードバランスの問題などを解決し,QoSまでネットワークエンジニアの思い通りに構築できるのがVyattaの特徴である。本書はオープンソース版から商用になったVyattaの仮想ルータ「vRouter」の新機能を余すことなく紹介する。
こんな方におすすめ
- 本書は,Brocade Vyatta vRouterを用いたプライベートクラウドの設計・構築・管理を担当するシステムエンジニアおよび研究者を対象としています。
- 本書の読者には,以下の基礎理解が必要です。
Microsoft Windows および UNIX オペレーティング・システム
VMware vSphere Hypervisor
Microsoft Hyper-V
HTTP,HTTPS,TCP/IP,IP-VPN,IPSec,VRRP,BGP,静的ルーティング
QoSおよびFirewall
著者から一言
システムを支えるすべてのシステムエンジニアに捧ぐ。
――― 松本直人 / 日本Vyattaユーザー会
補足その他
日本Vyattaユーザー会は過去何年間にもわたり,コミュニティがいかに変化を推進する原動力となり得るか示し続けてきました。2009年6月に最初のVyatta本が日本で出版された時,それは世界でも初めてのことであり,(米国の)Vyattaチームを驚かせました。その後数年が経った今日では,本の出版が日本でのVyattaに対する興味の広がりを加速させ,その結果として業界全体がネットワーク・インフラに対する考え方を再定義することの一助となったのは明らかといえるでしょう。
最初の出版から多くの変化がありました。仮想化はネットワークへの要求を新しいものとし,クラウドはさらに効率的かつ柔軟なサービスを求め,通信業界は彼らのビジネスモデルが要求するソフトウェアベースのネットワーク・インフラを表現するために"NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能の仮想化)"という用語を作り出しました。これらの変化が起きている間に,Vyattaは世界中の巨大データセンターや通信事業者に導入され,製品として劇的に進歩しました。
このような背景から,この2冊目となるVyattaの書籍は最初の本を超え,数年にわたる経験から学び導き出された内容が含まれています。これはまさに信念に基づいた努力の賜物であり,全コミュニティからの賞賛に値するものです。
我々は日本Vyattaユーザー会,中でも松本さんを多いに称えます。
古くからの人,新しい人,多くのメンバーが彼の寛大な努力の恩恵を受けることでしょう。
ブロケード コミュニケーションズ システムズ
ソフトウェア・ネットワーキング事業担当バイスプレジデント
ケリー・ヘレル