書籍概要

生物ミステリー

イチョウの謎を解く
―一属一種の不思議な木

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概要

植物にあまり関心のない人でも知っている樹木といえば,サクラとイチョウでしょう。

全国各地に約50万本の街路樹が並び,寺社のご神木としても多くの巨樹が知られています。

秋には黄葉が観光の名所となり,東京・大阪・神奈川ではシンボルツリーに指定されるなど,まさに日本人に最も親しまれている木のひとつです。

しかし,その正体は意外と知られていません。

イチョウには親戚がおらず,一属一種として唯一生き残っている存在です。

恐竜時代から氷河期を経て仲間が絶滅するなかで,ただひとり現代に生き残った“特別な木”なのです。

近年,海外ではイチョウに関する本が次々と刊行され,世界的な注目が高まっています。

一方,日本の出版物には誤った記述や思い込みも少なくありません。

本書は,著者が長年の観察を通して事実を検証し,その実像に迫った一冊です。

葉や幹,根の特徴,精子が水中を泳ぐという驚きの繁殖法,さらに江戸から明治にかけての研究史なども紹介。

身近な一本の木を通して,自然科学の奥深さと探究の喜びを味わえるでしょう。

読み終えたとき,道端のイチョウがまったく違って見えてくるはずですよ。

こんな方におすすめ

  • イチョウという植物に興味のある方
  • 植物学に関心のある方

※イチョウを愛する方に特にオススメ。マニアも納得の1冊です。

目次

第1部 イチョウの樹木学

第1章 分類学から見たイチョウと,その研究史

  • 1. 分類学的位置
  • 2. 日本に於けるイチョウの植物学的研究史

第2章 イチョウの樹木学的特徴

  • 1. 葉
  • 2. 枝と葉
  • 3. 幹と樹形
  • 4. 根
  • 5. イチョウの花と種子(銀杏:ギンナン)

第3章 ギンナン栽培の展開

  • 1. 祖父江町のギンナン栽培
  • 2. 静岡市清水農業共同組合銀杏部会
  • 3. イチョウの葉の栽培

第2部 歴史の中のイチョウ

第1章 江戸時代に起きたヨーロッパ植物学の大発展とその日本への影響

  • 1. ケンペルからシーボルトへ,そして日本へ
  • 2. 江戸時代に日本の科学の進歩に貢献した3人の学者

第2章 開国前夜の幕府の混乱と明治への曙光

  • 1. 鳴滝塾に関わる幕末の歴史・高野長英と渡辺崋山
  • 2. 江川英龍から矢田部良吉へ

第3章 創世記の東京大学

  • 1. 東京大学を立ち上げた明治の指導者達
  • 2. 植物学の基礎作りに努力した矢田部良吉教授
  • 3. 植物学教室の第二世代の発展 松村任三教授とその周辺
  • 4. 平瀬作五郎の生涯と蘇った栄誉

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