筆者は、手持ちのNexus 7がAndroid 4.4にアップグレードされるのを待っているところですが、Google PlayでNexus 5を購入した方は、手にして楽しんでいる方もいるのではないでしょうか。
いよいよイー・モバイルからNexus 5が発売です
イー・モバイルから登場するNexus 5が、11月15日の発売に決定したと11月7日に発表されました。
価格は50,400円とGoogle Playよりも高価ですが、一括購入すると39,800円に値引きされて、Google Playと同じ価格で購入できます。割賦で購入すると、毎月1,680円の割引を受けることができ、2年間使用すれば実質、10,080円で購入できます。これは、イー・モバイルからNexus 5を購入するメリットとなります。販売されるのは、ストレージ容量が16GBのみなので、より容量の大きい32GBモデルが欲しい場合は、Google Playで購入することになります。
かつて、NTTドコモがGalaxy Nexusを販売しました。
これは日本市場向けにカスタマイズされていないPure Google端末で、これをウリにしていました。しかし、至れり尽くせりの端末に慣れたドコモユーザに受け入れられず、破格値で販売される結果になりました。今回発売されるNexsu 5もPure Google端末なので、イー・モバイルのユーザにどれだけ受け入れられるのか、今後の動きが気になるところです。
イー・モバイルから発売されるNexus 5
Android 4.4 "KitKat" 続報
Android 4.4 "KitKat"がリリースされてから、いくつかの詳細情報がでているのでお伝えします。
Android OSには、Java言語で開発されたアプリの実行環境「Dalvik」がすべての端末に搭載されています。この状況が、Android 4.4 "KitKat"から変化しようとしています。
これまで使われてきたDalvikに加えて、新たなアプリ実行環境として「ART」を導入したことが明らかになりました。ARTとは「Android Run Time」の略で、アプリ実行速度とバッテリ寿命を向上させることを目的に以前から開発が進められてきました。将来は、DalvikからARTに置き変わることになるはずですが、現状は、開発者からフィードバックを集める目的で、Android 4.4 "KitKat"に搭載されました。
このARTは、Dalvikと何が違うのでしょうか?もう少し詳しくご紹介していきます。
Androidアプリは、Java言語で開発を行い、バイトコードにコンパイルされてGoogle Playなどを通じて配布されています。アプリを実行するたびに、Dalvikは、その都度、ある程度まとまった単位で、マシンコードに変換して実行しています。これは、Just-In-Time Compiler(JIT)と呼ばれ、Android 2.2から導入され、アプリの実行速度を劇的に向上しました。
高性能CPUがあれば、こうした処理を都度行っても実用的な速度になります。また、キャッシュ技術で、同じ処理を都度行わないような工夫も可能です。しかし、これも限界があり、キャッシュミスが発生すれば、当然、以前行った処理をもう一度行う必要があります。また、その時にCPUが動作するので、その分だけバッテリを消費することになるので、バッテリに対して負荷がかかります。
また、JITの場合、マシンコードに変換できるのが、ある程度まとまった処理単位となるので、狭い範囲でしか最適化が行えません。CPUは、マルチコア、マルチスレッド化されて行き、高性能化されていますが、JIT方式では、こうしたハードウェア能力をうまく活かし切れないケースが発生することがあります。
ARTは、こうした課題を解決するために開発されてきました。
ARTでは、アプリがGoogle Playからダウンロードされた時点で、バイトコードからマシンコードに変換します。これまで、実行されている度に行われていた変換処理が、この一回限りになるので、バッテリーに対する負荷は低くなります。また、最適化処理は、アプリ実行中に、ある程度まとまった単位でしか行えませんでしたが、アプリが動作する前に、アプリ全体にわたり最適化処理を行います。これで、ハードウェアの能力をフルに活かした最適化を行うことができ、実行速度をこれまで以上に向上させようというワケです。
次の10億人への向けての本命技術はARTか?
ARTの効果は絶大で、アプリ実行速度が半分になったという結果もあるようです。かなり期待できそうです。
Android 4.4 "KitKat"では、メモリ使用量の最適化が行われて、512MBのRAMでも高速に動作するようになりました。同じ理屈で、ARTが採用されることで、瞬間的に高い処理能力を発揮するCPUを使わなくても、Android OSを快適に動作させることができるようになるはずです。高性能なCPUを使わなくても良いのであれば、端末の価格は低くなるはずです。
Android 4.4 "KitKat"がリリースされたときに、次の10億人のユーザにAndroidを提供することが目的とされていましたが、本命は、ARTだったのかもしれません。