Android離れの前兆か?
Androidを搭載していたGalaxy Gearでも、Tizenを利用可能にするアップデートをSamsungが提供開始しました。
Galaxy Gear 2とGear 2 Neoは、Tizenが搭載されています。
造り手の都合だけで考えれば、オリジナルのGalaxy GearもTizenになる方がシンプルです。今回のアップデートで、Samsungのウェアラブルデバイスには、すべてTizenが搭載されることになります。
最近のSamsungは、Googleとも一定の距離を保っているように見えるので、この動きが加速することになれば、スマホやタブレットにもTizenが搭載される可能性が考えられます。
LGも力を付けはじめ、Motorolaもかつての輝きを取り戻し、スマッシュヒットを続けています。しかし、両メーカーともにハイエンド端末はSamsungに、いま一歩およばない状況なので、SamsungがTizenにスイッチすれば、Androidに界にとっては痛手です。
ただし、Samsungが長年培ってきたAndroidの資産を手放して、一夜にしてTizenにスイッチするとも考えられません。また、ユーザ資産も同様です。たとえば、JollaがSailfinsh OSでやっているように、TizenでAndroidアプリが動作するような互換フレームワークを用意してくる可能性は十分に考えられます。
TizenでAndroidアプリは動くのか?
Tizenの狙いは脱Googleなのに、これでAndroidアプリを動かすことはナンセンスとも言えますが、まずは、それが可能なのか考えてみます。
Tizenでは、作り方の違う2種類のアプリが動作します。
ひとつは、C/C++を使うネイティブアプリで、もうひとつは、WebKit2/JavaScriptを使うウェブアプリです。Tizenは、ウェブアプリの方が先で、ネイティブアプリは2.0からサポートされました。
Tizenは、OS基盤はLinuxカーネルとデバイスドライバー、コア部分が存在しています。
この上に、中間層となるNative frameworkとWeb frameworkがあります。最上位層は、ネイティブアプリとウエブアプリになり、大きく三階層に分けられています。たとえるならば、同じ土地の中に基礎を共有化した、ビルが並べて建てられているような造りです。この流れで、ビルをもう一棟建て、Androidアプリが動く仕組みを用意することが考えられます。
OS基盤に、Linuxカーネルを使うのはAndroidも同様です。コアは、Androidのために手を加える必要があるはずですが、この上で、Dalvik VMを動作させてAndroid frameworkとすれば、Sailfish OSと同様に、TizenでAndroidアプリを動かすが可能なはずです。乱暴な考え方で、実現したとしても、肥大化したOSになるのかもしれません。ただ、実現すれば、Tizenが表舞台に立つキッカケになる可能性も十分に考えられます。
Tizenへ移行するメリットは?
技術的には、TizenでAndroidアプリが動作しそうなので、メリット・デメリットなどを考えてみます。
JollaのSailfinsh OSがそうであるように、Playストアアプリを搭載できない可能性があります。となれば、アプリの入手ルートが限られてしまいますが、幸いにも、Samsungは、独自のアプリストア「Samsung Apps」を運営しているので、これを代替として使う方法が考えられ、また、これまで以上の活性化も期待できます。
日用品化したスマホやタブレットで、一夜にして環境を激変するようなことは、しないはずです。となれば、Tizenアプリが出揃うまでは、Androidアプリに頼ることになります。
しかし、やり過ぎるとTizen普及への妨げになる可能性も十分に考えられるので、ソフトランディングをしながら慎重な舵取りを要求されることになるはずです。
Galaxyシリーズは、Samsungの稼ぎ頭であり、ユーザからの支持も得ているので、大きなテコ入れは英断になるはずです。しかし、すべてを上手く回せるならば、Samsungの存在感と技術力を示すよいキッカケになると考えることもできます。
ドコモがTizen搭載端末の発売を延期してから、Tizenの未来はなくなったかと思われましたが、Samsungの動きを見ていると、まだ可能性はありそうです。この原稿が公開される頃には、内容が明らかになっているはずですが、AppleのWWDCと同じ日程で、開発者向け会議が開催されるので、2014年は、皆が驚くような動きがあるかもしれません。
それでは、今週はこの辺りで。また、来週。