Android WearがiPhoneでも利用が可能に
Googleは、Android WearをiPhoneで利用可能にする『Android Wear for iOS』をリリースしました。
対応するiOSデバイスは、iOS 8.2以降がインストールされたiPhone 5、iPhone 5c、iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plusとなっています。 すでに、AppStoreに無償アプリとして公開されているので、すぐに使い始められます。
今後発売されるすべてのAndroid Wearは、Android Wear for iOSに対応しますが、現行ではLG Watch Urbanのみ対応とアナウンスされています。しかし、これ以前に発売されたAndroid Wearも非公式ですが対応しています。たとえば、筆者が所有するLG G Watchは問題なく使えます。ただし、Androidとペアリング済みの端末は、初期化してからiPhoneとペアリングする必要があるのと、Android Wear 1.3にアップデートする必要があります。
ブラッシュアップはこれからか?
Android Wear for iOSは、Androidとの組み合わせ使っている時と同じことができるかといえば、そうではありません。
iPhoneの通知や着信を受信できますが、Android Wear用のアプリやウォッチフェイスがインストールできなかったり、Android Wearで収集したフィットネスデータを端末外に持ち出せないなどの制約があります。フィットネスデータは、iOSのHealth Kitへの対応を期待しますがiOS特有の機能には対応していません。
今回のリリースでは、iOSへの移植に伴ってナーバスな機能や仕組みは外されています。
まずは、Android WearがiPhoneとの組み合わせで使えるようになったレベルです。それでも、iPhoneで使えるスマートウォッチにAndroid Wearが追加されたのは喜ばしいことで、iPhoneユーザは相当数の選択肢を手に入れたことになります。
今後は、Googleのプロダクトと同様に段階的にブラッシュアップされていくはずです。Android Wearの楽しみは、多くのウォッチフェイスがあることなので、Playストアで無償で配布されているものだけでも早々にインストールできるようになることを期待します。
Android Wearのアプリはどうなるのか?
Apple Watchに対抗することを考えると、Android Wear向けのアプリを考慮から外すことができません。しかし、開発と流通の側面で問題を解決する必要があります。
まずは、開発です。現状は、iOSアプリがAndroid Wearと連携する仕組みが存在しません。iOS用のフレームワークを用意してアプリを開発すれば連携は可能になります。たやすい話ではありませんが、この程度であれば時間が解決するはずです。
次は、アプリの流通です。Android Wearのアプリは、Androidアプリに同梱されてPlayストアで配布されています。
スマホアプリと連携することなく単体で動くものであれば、Android Wear用のアプリを抜き出して、インストールする仕組みをAndroid Wear for iOSに用意することでアプリがインストール可能になります。
しかし、単体で動くアプリは数が少なく、多くはスマホアプリと連携するので、別の方法が必要になります。Apple Watch用のアプリもアプリに同梱されてApp Storeで配布しているので、この仕組みがAndroid Wearでも使えれば、App Store経由でAndroid Wearアプリの配布は可能です。これが実現すれば、ユーザーはApple WatchかAndroid Wearのどちらを使っているか意識することなく、アプリをインストールすれば良いだけで使い勝手の良い環境になります。
最悪のケースは、スマホアプリとAndroid Wearアプリを別々の場所と方法でインストールすることです。たとえば、スマホアプリはApp Storeでインストールして、Android Wearアプリは、WebのPlayストアからインストールするような形です。こんな風になるのであれば、この先で便利になるのがわかっていても億劫で、次第に使わなくなる可能性はあります。
アプリの開発は比較的用意にクリアできそうですが、アプリの流通に関してはAppleの理解と協力なしには、ユーザフレンドリな環境が構築できそうにありません。GoogleとAppleで、当然ながら思惑は違うはずで今後の動きに注目です。
今週は、このあたりで。また来週。