MicrosoftのAndroidに関わる動きがいくつかありました。直近のニュースではありませんが、これに関する話題を取り上げます。
Microsoftが「Xamarin」を買収
Visual Studioを使いC#でiOSとAndroidのネイティブアプリが開発できる「Xamarin」の買収をMicrosoftが2月24日に発表しました。
MicrosoftとXamarinは、iOSとAndroidのネイティブアプリをVisual Studioで開発できるように協業をしてお互いの製品の連携度合いを高めて来たので、今回の買収はしかるべき流れと言えます。
MicrosoftのVisual Studioは、すぐれた統合開発環境であることは誰しもが認めるはずです。開発言語がC#にはなりますが、将来のVisual StudioでAndroidのアプリが開発できることになれば強力なツールになることは間違いありません。Android Stduoも2.0で大幅な機能強化と改善が行われますが、うかうかできない状況になりそうです。
しかし、Microsoftは、これをいつまで続けるのか?の不安は残ります。
ここ数年でMicrosoftの動きは変わり、Windowsプラットフォームに拘らず自社の資産を最大限活かす動きをしています。しかし、iOSならばApple、AndroidならばGoogleが統合開発環境をリリースしており、Visual Studioはこれらの次の選択肢です。今回の買収は、Visual StudioをiOSやAndroidアプリを開発するための優れた開発環境にすることが狙いなのは理解できますが、継続的に開発を続けるのか不安は残ります。これがふっしょくされなければ、多くの開発者を取り込むのは難しく、マイナーツールで終わる可能性もあります。Xamarinの統合は、Visual Studioの改修だけではなく、安心して継続的に使えるツールであることを開発者に伝える努力も必要になるはずです。
Windows Bridge for Androidが開発中止に
Microsoftは、AndroidアプリをWindows 10向けに変換するツール「Windows Bridge for Android」の開発プロジェクトが中止になったことを2月25日に明らかにしました。
Windows Bridgeは、Build 2015で発表されたツール群で、Windows 10向けのネイティブアプリ不足を解消するために、Androidアプリ、iOSアプリ、Webアプリ、Win32アプリをWindows 10のネイティブアプリ(正確には、Universal Windows Platformで動作するアプリ)に変換するものです。
Windows Bridgeは、2015年秋に正式リリースとされましたが、実際リリースされたのは「Windows Bridge for Webアプリ」と「Windows Bridge for iOS」のみで、「Windows Bridge for Android」は、クローズドベータが開始されたと公表されただけでした。その後は、目立った動きはなく開発遅れのうわさが出始めるほどでした。
Windows Bridge for Androidは、OSに専用のサブシステムを設けてAndroidアプリを実行します。こうした方法は、Windowsが始めてではなくBlackBerry 10でも行われています。これもアプリ不足を補うためでしたが成功したとは言えず、BalckBerryはAndroidを搭載するPRIVを発売することになりました。
Microsoftは、こうした動きを見て、水増しするような方法でアプリをそろえようとせず、時間を要しても、ユーザがWindows 10の良さを伝える環境を用意し、継続的なファンになってもらえるネイティブアプリを増やすことが重要だと考えたのかもしれません。Windows Bridgeは興味深い技術ですが、XamarinがWindows Bridgeの代わりになるようなものではありません。しかし、こう考えれば先で紹介したXamarin買収の動きも納得できます。
Windows Bridgeの構想が発表されたときは、野心的プロジェクトで生まれ変わったMicrosoftを感じ取れたのと同社にしかできない壮大なプロジェクトだと感心しましたが、実情はそう簡単な話ではないはずで、現実的な路線に舵が切られはじめたと考えることもできます。
今週は、このあたりで。また来週。