GoogleはVRに本気?Eyefluenceを買収
10月25日、視線トラッキング技術を開発する米国の「Eyefluence」がGoogleに買収されたことを発表しました。買収金額などは明らかにされていません。
Eyefluenceは、視線でPCを制御するヘッドセットを開発しており、今年の夏頃に一部のメディアに対してプロトタイプのヘッドセットを公開しました。これは、ユーザが画面のどの部分を見ているかをカメラで判断してPCを操作します。まだ、開発段階ですが、視線を移動するとカーソルが動作して、アイコンを見てウインクするとクリックになるといった風に操作できます。
Eyefluenceは、有力なヘッドマウントディスプレイメーカと協業中との話しもありましたが、この成果が世に出る前に買収されたので、応用製品が登場するのは少し先になりそうです。
Googleが買収した他の例で言えば、WIMM Labsを買収してからAndroid Wearとして登場するまでに1年半近い時間がかかりました。Eyefluenceの技術が、Daydream Viewに組み込まれて手元に届くまでは同じくらいの時間を要する可能性があります。しかし、VR市場が立ち上がっているので、このくらいの時間が経つとVR自体に白黒が付いているか、方向性が定まっている可能性もあります。
Googleは、スタンドアロン型のVRヘッドセットを開発中との噂があり、これにEyefluenceの技術が搭載される可能性もあります。いずれにしても早い段階の製品化がキーとなりそうです。
Eyefluence技術はどう使われるか?
Daydream Viewは、専用コントローラーを手に持って操作します。
何かを選んでクリックするような操作は、視線トラッキングで置き換えられるはずですが、専用コントローラの操作をすべて置き換えられないので、これが不要になるとは思えません。
視線や目を使った操作は、動きのバリエーションが少ないので、音声認識やモーションと組み合わせて使うことを考えているのかもしれません。しかし、昔から「目は口ほどに物を言う」というので、目からは意外に情報が得られのかもしれません。
Mozilla、次世代レンダリングエンジンを発表
Mozillaが次世代レンダリングエンジンの開発に着手したことを正式発表しました。名前は「Project Quantum」と呼ばれます。
次世代レンダリングエンジンを搭載したFirefoxは、2017年末までにリリースを予定しており、WindowsおよびMac、Androidを対象としています。
現在Firefoxで使われている「Gecko」は、2000年リリースのNetspace 6から使われているレンダリングエンジンです。現在のGeckoは、49.01のバージョン番号が付いており、今年で16年目になる歴史あるレンダリングエンジンです。しかし、ソフトウェアとしては、そろそろ見直しを行うタイミングです。
キーテクノロジーは「Servo」と「Rust」
「Project Quantum」で、キーとなるのが「Servo」と「Rust」です。
Servoは、Mozillaが少し前から研究・開発しているレンダリングエンジンです。
これは、描画やレイアウト処理、HTMLパサー、画像の復号化処理などを並列で実行できるのが特徴です。マルチコアCPUやGPUも利用します。
Rustは、並列処理を行うプログラム言語です。Mozillaは2009年から関わっています。これで書かれたプログラムは、メモリ操作に対する安全性やスレッド間でのデータ競合をコンパイル時に保証することを主眼に置いています。また、速度もC++に匹敵するとされています。先のServoは、Rustで開発されています。
Servoは、今回の発表前から成果を公開しており、動作するようすが以下のビデオで確認できます。
開発者向けには、Servoを組み込んだ簡易Webブラウザが以下で公開されているので、気になる人はダウンロードして試せます。
Servo, the parallel browser engine
速度追求はお腹がいっぱい
複雑になるWebを短時間で描画する必要性は理解できますが、どのWebブラウザも似た方向性で変化がありません。Web閲覧に関わるユーザビリティーに対して、ブラウザからのアプローチは、ここ数年変化がないので異なる観点でのアプローチも欲しいところです。
Opera Softwareの創始者が立ち上げた、Vivaldi Technologiesが開発する「Vivaldi」は、この点にも積極的に取り組んでいるので注目の存在です。
今週は、このあたりで、また来週。