SamsungがGalaxy Note 7の発火原因は「バッテリ」と公式発表
Samsungは、昨年、大きなニュースとなったGalaxy Note 7の発火事故原因を1月23日にソウルで発表しました。
発表は、Samsungのモバイル事業部の責任者であるDJ Koh氏によって行われました。
専用のテスト設備を作って、原因切り分けと検証を行ったところ、事故はバッテリによって発生したと断定されて、ふたつの原因が発表されました。
原因1:小型化によるしわ寄せ
最初の発火が発生したバッテリでは、バッテリケースを小型化したために、バッテリ右上のマイナス電極のゆがみが発生してこれが発火の主因となりました。さらに、マイナス電極の先端が本来あるべき位置に配置されてなかったことも原因としてあげられました。
最初の発火を受けて、100%までバッテリを充電しない対策パッチが公開されましたが、いまからすれば原因に則した対策ではなかったことになります。
原因2:製造工程の問題
次に、交換バッテリが用意されますが、これにも問題があり同じように発火が発生します。
交換バッテリは、プラス電極の溶接に問題があり、これが原因でプラス電極とマイナス電極の絶縁テープとセパレータが破損して接触してショートすることがありました。さらに、バッテリによっては、絶縁テープが貼られていないものが複数発見されたことも報告されています。
問題が深刻化する
一度のみならず、二度も発火事故を起こしたことで、問題はより深刻化しました。
たとえば、Galaxy Note 7は、国内で販売が開始されてなかったにもかかわらず、国土交通省は飛行機内へ持ち込みを禁止する厳しい措置を取りました。
Samsungは、事態を収拾すべくGalaxy Note 7を全品回収のリコール行います。これにより、市場にある300万台のGalaxy Note 7のうち96%が回収されてと発表されました。
ただ、事情に興味がない人もまだいる可能性はあります。筆者は、昨年末にGalaxy Note 7を機内に持ち込めなくて、困惑する女性を一度見たので、これで幕引きとするのではなく、Samsungは広報を続ける義務はあります。
使われていたバッテリは?
発火事故が発生した当初から、バッテリに問題があると見られていましたが、これは正しかったと言えます。2度目の発火事故以降は、バッテリのコントローラーにも問題があるのではないかとされていました。発表では、コントローラには触れていないので、これは関係なさそうです。
使われたバッテリの製造メーカ名は発表されていませんが、昨年秋ごろの報道では、Samsung SDIとTDKの子会社で中国のバッテリメーカAmperex Technology Limited(ATL)とされています。
最初の発火事故を受けて、バッテリの65%を供給していたと見られているSamsung SDI製バッテリの使用を一時停止するとされていたので、交換用バッテリは、ATL製だったと考えられます。最初の発火事故で、おおよその原因がつかめたので、ATL製のバッテリに切り替える判断をしたのだと思いますが、これにも問題があるとは想像してなかったのかもしれません。
安心して使えるGalaxyへの取り組みを公開
後日調査とは言え、どのバッテリでも発火事故につながる可能性があることがわかりました。人命に関わる事故につながる可能性もあるので、原因特定の前に、全品回収のリコールの判断は賢明だったと言えます。
大規模なリコールだったために、DJ Koh氏は、顧客およびビジネスパートナーに謝罪を行いました。また、再発防止の取り組みとして、外部の学者や専門家で構成される「Battery Advisory Group」の設立を発表しています。
もうひとつ、バッテリの安全性を高める取り組みとして、耐久テスト、目視テスト、X線テスト、分解テストなどの8種類のテストを導入することと、新たな設計基準を設けて、安全性を高める対策を実施する予定としています。
発表内容は、YouTubeに公開された動画にまとまっています。わかりやすいので、気になる方は一度見ておくことをオススメします。
今週は、このあたりで、また来週。