Google I/O前の静けさと言うべきか、今週のAndroid界隈は目立ったニュースがありません。今回は、ゆるやかですが状況が変わりつつあるAndroid Autoをご紹介します。
マツダ、Android Autoへの対応を表明
日本では、ホンダと日産がAndroid Autoに対応したことで話題になりました。
広島に本拠地を置くマツダ株式会社が、今後、米国で発売するクルマをAndroid Autoに対応させること、CX-5の2017年モデルの発表会で広報担当者が表明したとCARS.COMが伝えています。
記事では、Car Playへの対応表明も伝えていますが時期は明確になっていません。
マツダには「マツダコネクト」と呼ぶ独自の車載システムがあります。これはカーナビゲーションだけではなく、音楽やラジオを聴いたり、車両情報が確認できるインフォメント・システムで、マツダは新世代カーコネクティビティシステムと名付けています。
マツダコネクトは、シフトノブの後ろにあるロータリースイッチと、その回りに配置された専用ボタンで操作します。運転に必要な情報は、メーターフードの前方にある透明な板に投影されて、ダッシュボードにある7インチWVGAのセンターディスプレイには、ナビの詳細情報やエンターテイメント情報を表示するものと位置付けており、運転に集中できる造りになっているとしています。
Android Autoは、なぜ普及しない?
このように、自社のクルマ向けに作り込まれたシステムの中に、Android Autoが割り込んでも中途半端な印象しか残りません。
筆者は短時間ですが、対抗のCar Playをスズキのイグニスで体験しました。これには、マツダコネクトのような統合システムではありませんが車載システムがあり、カーナビだけではなく音楽やラジオが楽しめるので、CarPlayを使う必要性を感じませんでした。
独自のインフォメント・システムは、専用設計なので高次元でクルマと融合できますが、汎用品のAndroid Autoでは、同じような融合は期待できません。多くのメーカが対応表明は行うものの、差別化要因にすらならないので普及しないのかもしれません。マツダも、もうしばらく時間がかかるのかもしれません。
ずば抜けた、TESLAのシステム
各社、インフォメント・システムの開発に力を入れていますが、TESLAの「MODEL S」に搭載されているシステムは別格です。MODEL Sのコンソールには、17インチのタッチスクリーンが搭載されており、車両のほとんどの機能を操作可能にしています。また、クルマにはLTE回線が搭載されており、これを使ってシステムがアップデートされるので、常に最新のソフトウェアが使えるのも特徴です。
TESLAのクルマは、これまでと違うのではなく、いまの時代にあったクルマを造っています。クルマのIT化が進むほど、これがあたりまえとなるはずです。
Android Autoは単体で使える
TESLA MODEL Sのシステムは別格としても、カジュアル用途であればスマホをカーナビとして使えるの便利です。
こうした要望にも応えるところがGoogleの良いところで、Android AutoアプリがPlayストアに公開されています。
これまでは、対応した車載機が必要でしたが、公開されたアプリはスマホを固定するスタンドとシガーソケットから電源を取るアダプタがあれば使えます。これで、誰もが手軽にAndroid Autoが体験できるようになりました。
Googleマップのナビ機能との違いがわかりづらいのですが、Android Autoはカーナビとして使うために特化したアプリと考えるとわかりやすいです。
アプリ起動後は全画面になり、ボタンなどが大きめのパーツで運転席から少し離れた場所にスマホを固定しても操作し易くなっています。そして、いつものように「OK, Google」で目的地を検索すると、結果が地図に表示されます。目的地を決めればナビ開始のボタンを押さなくても、しばらくするとナビが開始します。このように最低限の選択だけで、ナビとして使えるようになっているのは特化したアプリだからこそです。ナビ性能は、Googleマップで証明済みです。
単体アプリが登場したことで、Android Auto対応の車載機の存在意義は低くなる可能性がありますが、特化したクレイドルが登場するなど、新たな可能性を生み出すことになりそうです。また、クルマの価格によって、搭載システムを使い分けるなども考えられます。
今週は、このあたりで、また来週。