GoogleがHTCのスマホ事業を買収間近
9月7日、Android PoliceがGoogleがHTCのスマートフォン事業を買収間近であると伝えています。
HTCと言えば、古くから携帯端末を手掛ける台湾のメーカです。Androidとの関わりも深く、世界初のAndroid端末「HTC Dream」や日本初のAndroid端末「HT-03A」を発売しています。
2010年は、スマートフォンメーカとしては世界第4位の座を得るほどの勢いがありましたが、マルチタッチ特許でAppleに提訴された2010年頃から風向きが変わりはじめます。2012年以降は、AppleやSamsungとの競争が激化したうえに、ヒット作に恵まれずに販売不振に陥りました。
また、産業スパイ容疑による幹部の逮捕など、本業に集中できない状況が続き、2017年8月期は連結利益が前年度比で、54.4%減と過去13年間で最低の数字を記録しているとの報道もあり、長らく経営不振が続いています。
両社の交渉はすでに最終段階で、GoogleがHTCのスマートフォン事業を完全に買収するか、HTCを戦略的なパートナーとする、どちらかの選択になると言われています。HTCのVR事業は売却の対象ではなく引き続きHTCが運営していくとされています。
Googleは、Motorolaのモバイル事業を買収した後、Lenovoへ売却したことがありました。
このときは、ハードウェア事業に興味があるのではなく、Motorolaが持つ特許が目的ではないかと言われていました。HTCは、2011年にS3 GraphicsをVIAから買収しており、グラフィック関連の特許を多数保有しています。今回もHTCが保有する特許が目的の可能性もありますが、Googleの事業との関連性は低そうです。
次期PixelもHTC製と言われています。経営的に不安定な状態が続き、端末供給が不安定になるのを嫌って、Googleが救済措置を取っていると見ることもできます。老舗スマホメーカがどうなるのか、今後のニュースには要注目です。
Remix OSのJide、企業向けビジネスに集中
少し古い話ですが、Android OSをマルチウィンドウ化したRemix OSを開発する中国のソフトウェア企業Jide Technologyが個人向けの製品およびサービスの提供を終了して、今後は、エンタープライズ向けの分野に集中すると同社のFacebookページやKickstarterのキャンペーンページで発表しています。
Remix OSは、AndroidをWindows風のマルチウィンドウに拡張したもので、自社開発のタブレットと小型PCに搭載して提供しています。最近は、KickstarterでTV向けのセットトップボックス「Remix IO/IO+」のキャンペーンを立ち上げて資金提供を募っていました。
今回の方針転換は、2015年のRemix Miniの成功をきっかけにして企業との取引が増えて、既存リソースを考慮した結果、エンタープライズ向けのビジネスに集中することに決定したとしています。具体的にどういった内容になるのかは公表されていませんが、個人向けのカスタムAndroidで大成功を収めた例はこれまでなく、むしろ縮小のいっとをたどっているので、Jideも同様に厳しい状況だったのかもしれません。
Remix OS以外でもSamsung DeXやLenovoのAndroid搭載のYOGA BOOKは、独自拡張のマルチウィンドウ化したAndroid OSが搭載されています。Samsung DeXは、Remix OSと似た実装です。今回の発表から察すると、これらはJideの仕事なのかもしれません。
今回の方針転換を受けて、PC向けのRemix OSは開発が中止されるはずです。
また、2017年中にリリース予定のRemix OS for Mobileは、スマホをコアにして、デスクトップ、ラップトップ、TVセットトップボックスとして使えるものでした。コンセプトは、Samsung DeXで一部実現されていますが、これも開発中止となるはずで残念です。
今週は、このあたりで、また来週。